

文章理解は現代文/英文/古文からなります。
どれも中学や高校でなれ親しんだ科目なので、公務員試験でまったく対策しないひとも多くいます。
でも、文章理解は数的処理とならんで教養試験でもっとも重要な科目たちです。
受験生の正答率がひかくてき高い科目なので、失点することはできません。
英語や文章を読むのが苦手なひとでも、得点できる勉強法を解説します!
公務員試験「文章理解(現代文・英語・古文)」を知ろう!
まずは、文章理解がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
文章理解のおもな分野、出題数は次のとおりです。
分野(出題形式)は4つ
現代文と英語は、出題形式としてどちらも同じ4つの分野に分かれています。
- 【内容把握】:「次の分の内容と合致するものとして、もっとも妥当なのはどれか?」
- 【要旨把握】:「次の分の要旨として、もっとも妥当なのはどれか?」
- 【空欄補充】:「次の分の空欄に当てはまるものとして、もっとも妥当なのはどれか?」
- 【文章整序】:「次の分の後に~を並べ替えて1つのまとまった文章にするばあい、もっとも妥当なのはどれか?」
出題数はとても多い
教養試験で文章理解はどれくらい出題されるのかというと、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
現代文の出題数 | 4 | 6 | 6 | 5 | 3 | 3 |
英文の出題数 | 7 | 5 | 5 | 4 | 5 | 3 |
古文の出題数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 50 | 40 |
全体の出題数 | 40 | 40 | 40 | 44 | 50 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
文章理解を合計すると、市役所上/中級では7問、地方上級や東京都特別区では9問、国家公務員試験では11問も出題されます。
数的処理に次いで、もっとも重要な科目です。
古文は地方上級と市役所上/中級で1問出題されるだけの科目です。
出題数が少ないのでしっかり勉強する必要はありませんし、標準的なレベルの問題ばかりなので、ぶっつけ本番でいくのがよい作戦でしょう。
これ以降でも古文の説明は割愛しますね。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、現代文と英文の頻出分野と難易度を表にまとめました!
現代文 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
内容把握 | ◎ | ◎ | ◎ | ― | ◎ | ◎ |
要旨把握 | ― | ― | ― | ◎ | ◎ | ◎ |
空欄補充 | 〇 | △ | △ | 〇 | △ | ― |
文章整序 | 〇 | △ | △ | 〇 | ― | ― |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
英文 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
内容把握 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
要旨把握 | ― | ― | ― | ― | 〇 | 〇 |
空欄補充 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ― | ― |
文章整序 | 〇 | △ | 〇 | ― | ― | ― |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」「―:近年出題がない」の4つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
現代文と英文どちらも、国家公務員試験では内容把握が数問出題され、空欄補充と文章整序が1問ずつというパターンが典型です。
地方上級と市役所上/中級では内容把握と要旨把握から同じくらい出題されます。
要旨把握といいながらも、じっさいは誤肢(正解以外の誤りの選択肢)が本文と一致せず内容把握と同じように解ける問題が多いんです。くわしく後ほど。
東京都特別区の現代文は要旨把握が頻出。こちらは誤肢が本文と一致するので、内容把握的な解き方では正解できません。
英文のばあいは内容把握と空欄補充がよく出ます。
難易度は?
国家公務員試験の問題は長文で、難易度がやや高めです。
なかでも国家総合職は難問が多かったんですが、近年は国家一般職や国家専門職との差がちぢまっています。
地方公務員試験は標準的な問題が多く出題されます。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- 内容把握と要旨把握が出題のメイン!
- 難易度は標準からやや高め!
勉強の方針
ここまでをふまえて、文章理解の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 内容把握からおさえる!
- 受験勉強の最初に対策する!
内容把握からおさえる
現代文も英文も、内容把握の問題がもっとも多く出題されます。
ほかの出題形式でも内容把握の解き方で正解できる問題が多いので、まずは内容把握からマスターするのが効果的です。
内容把握は「次の分の内容と合致するものとして、もっとも妥当なのはどれか?」と聞かれる問題でしたね。
受験勉強の最初に対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、教養試験のおすすめ勉強順番はこちらです。
- 判断推理/数的推理/資料解釈
- 文章理解:現代文/英文/古文
- 時事対策
- 社会科学:政治/経済/社会
- 人文科学:日本史/世界史、地理/思想/文学/芸術
- 自然科学:生物/地学、数学/物理/化学
文章理解は、教養試験でとても重要な科目です。
文章の読解が苦手なひとは対策に時間がかかりますから、公務員試験を受験すると決めたらすぐに勉強にとりかかりましょう。
なかには現代文や英文が得意で、なにも対策はいらないというひともいるかもしれません。
センター試験で現代文を9割得点していたり、TOEICで高スコアを記録しているひとです。
そのばあいは対策に時間をかけず、本番前に出題形式になれるため過去問を数問解くぐらいで十分でしょう。

公務員試験「文章理解(現代文・英語・古文)」が得点できる勉強法!
文章理解を勉強するときに、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- 毎日コツコツ勉強する!
- 解く流れを理解する!
- 誤肢のパターンをおさえる!
POINT.1 毎日コツコツ勉強する
受験勉強のはじめから毎日コツコツと継続してとりくむことが大切です。
文章理解はスポーツとにているところがあります。
急激に得点力があがることはなく、毎日の積み重ねで少しずつ力がついていく。そして勉強しない期間が続くと、振り出しにもどってしまいます。
受験勉強の初日から試験前日まで長く付き合っていく科目です。
短期間でかたをつけようとせず、「毎日1時間の勉強を1年続ければ十分」とらくな気持ちでいきましょう。
POINT.2 解く流れを理解する
文章理解は内容把握の問題がもっともよく出題されます。
内容把握の解法のコツを覚えることが、文章理解マスターの近道です。
文章理解をすばやく解くことができれば、数的推理など重要科目に使える時間が増やせるのでお得。
解き方の流れは、
- 【選択肢をサッと読む】
- 【本文を読む】
- 【選択肢の正誤を1つずつ確かめる】
STEP.1 選択肢をサッと読む
まずは選択肢をながめて、本文がどんなテーマなのかイメージします。
その後に本文を読むと、理解がとても早まるんです。
ただし、選択肢のほとんど(5つのうち4つ)はまちがっている記述なので、じっくり読みこんで変な先入観をもってしまわないよう注意が必要です。
STEP.2 本文を読む
次に本文を読みこんでいきます。
選択肢から感じたイメージをふまえ、本文で大切だと思う単語や語句にマークしながら読みましょう。
接続詞にしるしをつけ、文章全体の構造や筆者の主張を理解することも大切です。
STEP.3 選択肢の正誤を1つずつ確かめる
最後に選択肢を1つずつ読み、本文と照らし合わせて正しいかどうかを判定していきます。
選択肢のなかから特徴的なワードをひろい、本文でそれについて書かれたところを探しましょう。
本文の記述が選択肢では似た単語や語句に言い換えられているばあいがあるので、見逃さないよう注意が必要です。
選択肢を1つずつ根拠をもって消去していき、正解を選び出します。
POINT.3 誤肢のパターンをおさえる
内容把握の問題で選択肢の正誤を確かめるとき、誤りのパターンをおさえておくと一気に解きやすくなります。
おもな誤肢のパターンは、
- 【本文に記述がない】:選択肢の内容は一般論として正しいが、本文では述べられいていない
- 【本文の内容と矛盾している】:本文で「~である」と述べられているのに、選択肢では「~でない」となっている
- 【本文より言いすぎている】:選択肢の内容が本文で述べられている範囲をこえて、「常に~」「必ず~」など勝手な解釈をふくんでいる
- 【本文の因果関係とことなる】:本文では「AだからBである」と述べられているが、選択肢では「BだからA」であると逆転したり、本文に存在しない因果関係が登場している
- 【本文と主語がかわっている】:本文では「~はAとよばれる」と述べられているが、選択肢では「~はBとよばれる」と、解釈を混同しやすい単語に入れかわっている
各選択肢がどのパターンでまちがっているのか考えながら、問題演習にとりくむと効果的です。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【速読速聴・英単語 Core 1900】導入テキスト(英文用)
- 【公務員試験 過去問 新クイックマスター 文章理解】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- 速読速聴・英単語で重要英単語をマスターする!
- クイマスをくり返し解く!
- 合格の500を解く!
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、文章理解の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「文章理解の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

むかしから現代文の読解や英語が苦手なひとにとって、文章理解は対策にとても長い時間がかかる科目です。
どうしても苦手なひとは「半分得点できれば十分」とわりきって、標準的な問題だけ必ず解けるようにしましょう
英文は単語を少し覚えたくらいで、現代文や古文はほとんど勉強しませんでした。