

地方上級は人気の公務員試験です。
併願先のひとつに選ぶひとも多くいます。
でも最初は、「地方上級ってどんな試験?」「どんな勉強をしたらいいの?」と疑問に思いますよね。
地方上級の試験内容や難易度、試験科目や学習のポイントをすべて解説します。
地方上級の「概要」
地方上級とは、次の2項目をみたす試験の総称です。
- 「都道府県」または「政令指定都市」がおこなう職員採用試験
- 対象は「大学卒業程度」
47都道府県や政令指定都市などの自治体で働く公務員の筆記試験は、試験日程や出題内容がほとんど同じです。
すべてまとめて「地方上級」とよばれています。
自治体によって試験の名称は「上級試験」「A試験」「大学卒業程度試験」などさまざまです。
地方上級には一般的な事務職である「行政職」のほかにも、機械や土木などの技術職があります
ここでは行政職にしぼって解説していきますね。
地方初級や地方中級という試験もあります。
初級は高卒程度、中級は短大卒程度の試験です。
初級と中級は自治体によっては実施しているばあいがあります。
また地方上級には東京都庁や特別区(東京都23区)の職員採用試験もふくまれます。
ですが、これらの試験はほかと試験日程や試験内容がことなるので、それぞれ別の記事で解説しますね。
地方上級の「仕事内容」
自治体にはいろいろな部署があり、地方上級で採用された行政職員はいずれかの部署で働きます。
- 【総務部】:予算の総括、職員の人事や勤務の管理、情報公開や広報活動
- 【企画部】:総合計画の策定、都市構想、行政のトータルプランニング
- 【福祉保健部】:地域保健医療計画の推進、高齢者や障害者への福祉拡充、地域福祉活動
- 【生活環境部】:生活排水対策、産業廃棄物処理対策
- 【商工部】:地域産業の活性化、観光ビジョンの策定、イベント事業
- 【農政部】:農産物のブランド化、バイオテクノロジーの研究開発、生産性向上
- 【水産林務部】:漁業管理、漁港整備、森林資源の安定
- 【労働部】:雇用対策、労働福祉の向上、健全な労使関係の形成
- 【土木部】:治水事業、港湾整備事業、道路網の整備
- 【建築都市部】:市街地再開発事業、土地区画整理事業
ほかにも選挙管理委員会の事務局や、教育庁などで働くばあいもあります。
地方上級の「異動/昇任/年収」
地方上級で採用された職員は、将来の幹部候補として期待されています。
若いうちからさまざまな部署を経験してキャリアを積んでもらう必要があるため、異動のサイクルは3,4年と短いのが特徴です。
出先機関や民間企業への出向もめずらしくありません。
異動をくり返しながら、役職もどんどんと上がっていきます。
「主事」からはじまり、40歳までに「主任」⇒「主査」⇒「係長」と昇任するのが一般的です。
その後は能力で差がつきやすく、努力しだいで「課長補佐」⇒「課長」⇒「次長」⇒「部長」へと昇任することができます。
昇任するにしたがって、もちろん給与も増えます。
平均年収は下表のとおりです。
団体区分 | 平均給与月額 |
---|---|
都道府県 | 418,752円 |
政令指定都市 | 443,083円 |
市 | 399,144円 |
町村 | 355,293円 |
国 | 433,738円 |
地方上級の「難易度/倍率」
地方上級のほかにも、公務員試験にはいろいろな種類があります。
種類ごとに大卒程度試験の難易度をランキングにしました。
難易度は筆記試験や面接試験、採用人数などから総合的に判断しています。
- 国家総合職
- 国家一般職、国家専門職(国税専門官/財務専門官/労働基準監督官など)、国立大学法人等職員、裁判所職員
- 地方上級(県庁/政令指定都市)、東京都庁
- 東京都特別区(東京都23区)
- 市役所(政令指定都市をのぞく)、警察官/消防官
地方上級の採用試験は、国家一般職についで難易度が高い試験です。
学歴が高くても関係なく落ちてしまう試験ですから、かんたんではありません。
試験の難易度は受験年度や、どの試験区分を受験するかによって変わります。
難易度ランキングは参考ていどにとどめてくださいね。
受験倍率は自治体によって大きくことなります。
だいたい5~10倍くらいが標準です。
人気の自治体は20倍近く、そうでない自治体は2倍くらいのこともあります。
地方上級は併願先の1つとして受験するひとも多くいるので、じっさいの倍率はもっと低くなるでしょう。
地方上級の「試験種類」
地方上級は大卒程度試験ひとつしか種類がありません。
自治体によっては種類を「A区分」「B区分」や、「行政区分」「警察事務区分」など細かく区分にわけて実施しているばあいもあります。
そのばあいは試験内容がことなるのが一般的です。
受験資格は年齢制限のみのばあいがほとんど。
「22~30歳(受験翌年の4月1日時点)」くらいが標準ですが、自治体によってバラツキがあります。
地方上級の「試験科目/配点」
地方上級でよく課される試験種目はこちら。
- 教養試験
- 専門試験(択一式)
- 論文試験
- 面接試験
- 集団討論試験
自治体によって試験種目や配点はちがいます。
1次試験で「教養試験」「専門試験(択一式)」「論文試験」が課され、2次試験で「面接試験」「集団討論試験」などを課すのが、よくあるパターンです。
専門試験(択一式)や集団討論試験を課さない自治体もあります。
配点はすべての試験種目がだいたい同じか、専門試験(択一式)や面接試験の配点を高くしていることが多くあります。
筆記試験の学習に気がむきがちですが、面接試験や集団討論試験の対策も同じくらい力をいれましょう。
教養試験
地方上級の教養試験の出題内容は、自治体のエリアごとに大きく3つの型にわかれます。
- 【全国型】:試験時間120~150分、出題数50問必答。地方上級のベースとなる出題タイプで、広く全国の自治体で出題される
- 【関東型】:試験時間120~150分、出題数50問のうち40問選択回答。関東の自治体で出題される
- 【中部/北陸型】:試験時間150分、出題数50問必答。中部/北陸の自治体で出題される
教養試験科目ごとの出題数は、
科目 | 全国型 | 関東型 | 中部/北陸型 |
---|---|---|---|
政治 | 1 | 1 | 1 |
法律 | 3 | 3 | 2 |
経済 | 3 | 3 | 1 |
社会 | 4 | 6 | 6 |
日本史 | 2 | 3 | 3 |
世界史 | 2 | 3 | 2 |
地理 | 2 | 2 | 2 |
文学,芸術 | 1 | 1 | 1 |
数学 | 1 | 1 | 1 |
物理 | 1 | 1 | 1 |
化学 | 2 | 2 | 2 |
生物 | 2 | 2 | 2 |
地学 | 1 | 1 | 1 |
英文 | 5 | 5 | 5 |
古文 | 1 | 1 | 1 |
現代文 | 3 | 3 | 3 |
判断推理 | 9 | 6 | 9 |
数的推理 | 6 | 5 | 6 |
資料解釈 | 1 | 1 | 1 |
合計 | 50 | 40/50 | 50 |
3つの型以外にも、「法律/経済専門型」「その他の出題型」「独自の出題型」があります。
- 【法律/経済専門型】:「法律区分」や「経済区分」をもうている自治体で出題される
- 【独自の出題型】:「東京都1類B」と「特別区(東京都23区)」で出題される
- 【その他の出題型】:上記のどれにも当てはまらない出題タイプ。全国型と共通問題が多い
専門試験(択一式)
教養試験と同じように地方上級の専門試験の出題内容は、自治体のエリアごとに大きく3つの型にわかれます。
- 【全国型】:試験時間120分、出題数40問必答。地方上級のベースとなる出題タイプで、広く全国の自治体で出題される
- 【関東型】:試験時間120分、出題数50問のうち40問選択回答。関東の自治体で出題される
- 【中部/北陸型】:試験時間120分、出題数50問のうち40問選択回答。中部/北陸の自治体で出題される
専門試験科目ごとの出題数は、
科目 | 全国型 | 関東型 | 中部/北陸型 |
---|---|---|---|
政治学 | 2 | 2 | 2 |
行政学 | 2 | 2 | 2 |
社会政策 | 3 | 3 | 2 |
社会学 | 0 | 0 | 2 |
国際関係 | 2 | 3 | 2 |
憲法 | 4 | 4 | 5 |
行政法 | 5 | 5 | 8 |
民法 | 4 | 6 | 7 |
刑法 | 2 | 2 | 2 |
労働法 | 2 | 2 | 2 |
ミクロ経済学/ マクロ経済学 |
9 | 12 | 8 |
財政学 | 3 | 4 | 3 |
経済史 | 0 | 1 | 0 |
経済政策 | 0 | 2 | 2 |
経済事情 | 0 | 0 | 3 |
経営学 | 2 | 2 | 0 |
合計 | 40 | 40/50 | 40/50 |
論文試験
一般的な地方上級の論文試験の出題形式は、
- 【制限時間】:60~90分が標準
- 【文字数】:800~1,200文字が標準
- 【テーマ】:1つまたは複数提示される。複数の場合は1つを選んで回答
過去にこんなテーマが出題されています。
- 県職員として、どのような姿勢で仕事に臨むべきか、あなたの考えを述べなさい。(青森県,平成25年)
- 都市の機能を維持しながら、誰もが暮らしやすい都市環境の創出をさらに推進していくために、都は今後どのような取り組みを行うべきか、あなたの考えを述べなさい。(東京都,平成25年)
- 人口減少によって生じる課題を挙げ、それを解消するために県としてどのような取り組みを行うべきか、あなたの考えを述べなさい。(広島県,平成26年)
論文試験は「採点基準」と「頻出テーマ」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。
面接試験
一般的な地方上級の面接の試験形式は、
- 【面接時間】:15~30分程度
- 【試験官】:3~5人程度
- 【質問】:5~10項目程度
大まかな面接の流れはこのとおりです。
- 【入室】:控え室から面接会場の入り口手前まで案内される。入室して席の前で待機し、促されたら着席
- 【説明】:試験官または司会から面接の時間や注意事項が説明される
- 【面接】:試験官からの質問に回答する。はじめに自己紹介や自己PRを求められるばあいがある
- 【退室】:退室を促されたら、挨拶して面接会場を出る
面接試験は「採点基準」と「定番の質問」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。
集団討論試験
一般的な地方上級の集団討論の試験形式は、
- 【制限時間】:30~60分が標準
- 【人数】:5~8人が標準
- 【テーマ】:1つまたは複数提示される。複数の場合は1つを選んで回答
大まかな流れはこのとおりです。
- 【着席】:アルファべットや数字など記号が置かれた座席に案内され、着席する。討論中はグループのメンバーを記号で呼ぶ
- 【説明】:テーマや制限時間などが書かれた用紙が配られ、進め方や注意事項について試験官から説明を受ける。「討論開始前に各自が考える時間」「役割分担」「討論終了後の発表」などの有無は、試験によってことなるため説明をしっかりと聞くこと
- 【討論開始】:グループで討論をはじめる。討論の進行や管理はすべてグループに任される
- 【討論終了】:グループとしての結論を導き、討論を終える。時間内にグループ内でまとめを行う、あるいは終了後に試験官へ発表する場合などがある
集団討論試験は「採点基準」と「頻出テーマ」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。
地方上級の「試験日程」
地方上級の試験日程と採用までのながれはこちら。
(平成29年度実施試験の日程)
- 【受験案内】:4月中旬~
- 【受験申込み】:5月上旬~
- 【第1次試験】:6月下旬
- 【第2次試験】:7月中旬~
- 【最終合格発表】:8月上旬~
- 【内定】:10月1日~
第1次試験の日程いがいは、自治体によってちがいます。
自治体によっては第3次試験以降が実施されることがあります。
地方上級の「勉強スケジュール」
地方上級の対策期間がだいたい1年間あるばあいのスケジュール例はこちら。
試験種目 | 月 | ||||
---|---|---|---|---|---|
9~12 | 1~3 | 4~6 | 7 | ||
基礎能力試験 | 一般知能 | ★ | ☆ | ☆ | |
一般知識 | ☆ | ☆ | |||
専門試験(択一式) | ★ | ★ | ★ | ||
論文試験 | ☆ | ★ | |||
面接試験/ 集団討論試験 |
☆ | ★ |
- 【★】:注力して取りくむ試験種目
- 【☆】:取りくむ試験種目
9~12月
試験勉強はまず教養試験の「一般知能」と「専門試験の択一式」からはじまります。
一般知能の科目は出題数がとても多く、毎日コツコツと問題を解きつづけることで得点力がみにつきます。
専門試験の択一式は教養試験一般知識の出題範囲を一部カバーしているので、早くから学習しておきましょう。
1~3月
年明けあたりからは教養試験の「一般知識」や「論文試験」の対策もスタートです。
一般知識は出題数が少なく、範囲がとても広い科目ばかり。
多くの科目にからんでくる一般知識の「時事問題」の学習に注力します。
論文試験は受験する自治体の情報を収集したり、論文の正しい書き方を学習しておくのがおすすめです。
4~6月
「面接試験」や「集団討論試験」の対策は後回しになりがち。
少し対策をすれば評価がぐっと高まる、コストパフォーマンスのよい試験です。
専門試験対策に追い込みをかけながらも、公務員予備校の面接指導の予約が空いているうちに、面接試験や集団討論試験の対策をすすめておきましょう。
7月
1次試験が終われば2次試験(面接試験や集団討論試験など)対策に集中できます。
1次試験が終わる前でも、自治体の「業務説明会」や「職場訪問」があるときは参加することを忘れずに。
地方上級の「教養試験科目の学習法」
政治/法律/経済/社会
地方上級の政治、法律、経済は専門科目と出題範囲がほとんど同じです。
政治は「政治学」「行政学」「国際関係」、法律は「憲法」、経済は「ミクロ経済学」「マクロ経済学」「財政学」に対応します。
専門試験の内容が理解できれば、教養試験の問題はだいたい解くことができます。
専門試験の学習を優先し、本番前に教養試験の過去問演習に取りくんで出題形式になれるのが効率的です。
政治の頻出分野は「選挙制度」「地方自治」「議員内閣制と大統領制」「国際連合」。
まずはこの分野をおさえて、それからほかの分野にも手を広げていきます。
法律はほとんど専門試験憲法の基礎知識でカバーできる問題です。
「人権」と「統治機構」全体から出題されます。
経済はミクロ経済学の「需要と供給」「消費者と生産者の行動」「市場と経済厚生」の頻出分野から標準的な難易度の問題がバランスよく出題されます。
マクロ経済の「金融政策」「経済事情」も頻出です。
はじめは専門試験の経済学に取りくみ、本番前に時事参考書で経済事情の項目を暗記しましょう。
社会は時事問題が広く出題されます。
頻出テーマは「少子高齢化」「環境,資源問題」「国際情勢」「金融,貿易」です。
日ごろからニュースをチェックしておき、最新版の時事参考書が発売されたら知識を一気にかためるのがおすすめ。
数学/物理/化学/生物/地学
数学や物理、化学と聞くと「ぜったい分からない」と拒否反応を示してしまうひとがいますよね。
でも、地方上級の問題は基本的な内容が多く、自然科学が苦手でも正解することができます。
細かな知識や公式を覚えようとせず、過去問演習で頻出問題になれておくことが大切です。
数学は「方程式」「関数」「不等式」がよく登場します。
物理は広い分野から出題されますが、とくに「力学」が多めです。
数学と物理どちらも応用問題を解く必要はありません。
化学は計算問題と知識問題どちらも出題されます。
計算問題は「分子量の計算」「物質量や質量の計算」、知識問題は「無機化学」がほとんどで、難しい問題はありません。
地方上級の生物は2問のうち1問が「人体」から出題されます。
のこり1問はマイナーな分野や、細かい知識が問われるので、人体にしぼって学習するのがおすすめです。
地学の頻出テーマは「気象」「太陽系」「地震」「火山」など。
長文のばあいもありますが、問われるのは基本的な知識です。
英文/古文/現代文
地方上級は現代文よりも英文のほうが出題数は多く、英語力が重視されています。
古文は1問の出題です。
英文も現代文も出題形式は「要旨把握」がほとんど。
選択肢にある内容が本文のなかにあっても、筆者がもっとも主張したいことでなければ正解ではないので注意が必要です。
出題テーマは「社会科学」「人文科学」「自然科学」など多様です。
時間をはかりながら過去問を毎日コツコツ解き、スピードを速める練習をしましょう。
古文は時間をかけず、直前期に過去問を確認するくらいにとどめます。
判断推理/数的推理/資料解釈
地方上級の判断推理、数的推理、資料解釈は出題構成があるていど決まっています。
出題数がもっとも多い重要科目なので、十分な対策が必要です。
判断推理は「論理」「対応関係」「順序関係」「位置関係」「平面図形」「立体図形」から、いつも典型的な問題が出題されます。
いっぽう「操作と手順」「数量関係」からは目新しい問題も登場します。
典型問題が多いので、過去問演習をくり返しておけば対応できます。
数的推理は出題分野が「約数と倍数」「比と割合」「速さ」にしぼられています。
まずは型にはまった「旅人算」「通過算」「流水算」「濃度算」「仕事算」などの計算をマスターしましょう。
数学色の濃い「場合の数」「確立」「数列」はあまり出題されません。
資料解釈は1問の出題です。
時間をかければ必ず解ける問題なので、さっと過去問を確認して出題パターンをみておきましょう。
地方上級の「専門試験科目(択一式)の学習法」
政治学/行政学/社会政策/国際関係/社会学
政治学、行政学、社会政策、国際関係、社会学を合わせて「行政系科目」とよびます。
行政系科目は導入テキストなしで、いきなり過去問演習に取りくんでも大丈夫です。
政治学⇒行政学⇒国際関係の順番で学習し、社会政策と社会学は後回しにするのがおすすめ。
地方上級の政治学の出題は「政党」「選挙」「政治制度」「政治権力」「政治思想」の分野に集中しています。
分かりやすい分野から自由に勉強していきましょう。
同じく行政学も「地方自治」「行政改革」「官僚制」「政策過程」「行政責任/統制」からの出題にしぼられます。
社会政策は「労働経済」と「社会保障」の2分野にわかれます。
どちらも統計データがよく問われるので、白書で確認しておく必要があります。
- 労働経済白書
- 厚生労働白書
- 労働力調査
社会保障からは現行制度も出題されます。
「年金」「医療保険」「介護保険」「生活保護」などの概要は要チェックです。
社会学は「社会学理論」から1問、そのほか「社会集団」「家族」「アノミー」など重要テーマから1問出題されるのが典型パターン。
どちらも学説問題がほとんどなので、有名な学者と主張のキーワードセットで覚えておけば得点できます。
憲法/行政法/民法/刑法/労働法
地方上級の憲法、行政法、民法は出題数が多い重要科目です。
苦手とするひともたくさんいますが、地方上級で必要な知識は過去問の範囲におさまっています。
出題分野にかたよりはないので、全分野の過去問演習をひたすらくり返すことが大切です。
刑法は出題数が少ないわりに、科目の難易度が高く出題分野もはば広い特徴があります。
むりに学習する必要はありません。
労働法は刑法とちがって学習しやすい科目です。
短時間の対策で得点できるようになるので、よゆうがあれば取りくんでみましょう。
ミクロ経済学,マクロ経済学/財政学/経済史,経済政策,経済事情/経営学
地方上級ではミクロ経済学とマクロ経済学、次に財政学が出題数の多い重要科目です。
ミクロ経済学は「消費者理論」「生産者理論」「市場理論」「パレート最適と市場の失敗」「ミクロの貿易論」の分野に分けられ、どの分野からもバランスよく出題されます。
類似の問題がくり返し登場しているので、導入テキストと過去問題集で解法を理解するのがおすすめです。
マクロ経済学は「IS-LM分析」「貨幣理論」「GDP統計」が頻出です。
年度によって難易度に差があるので、1テーマずつていねいに学習をすすめます。
財政学はいつも「予算原則と予算制度」「財政事情」「地方財政計画」「租税」「公債」から出題されます。
暗記色の濃い分野なので、確実に得点できるよう学習しましょう。
経営学はやや専門的なテーマも出題されます。
頻出分野は「経営学説」「経営戦略」「マーケティング」「経営史」「経営事情」など。
はじめに導入テキストやレジュメで主要なトピックを確認します。
次に過去問演習に取りくみ、よく登場するキーワードを解説やレジュメを読んで理解を深めましょう。
地方上級の「論文試験の学習法」
地方上級の論文試験を突破するために必要なポイントは、次の4つです。
POINT.1 正しい文章の書き方を覚える
ふだん文章を書き慣れてないと、文章を正しく書くことは意外と難しいものです。
原稿用紙の使い方や日本語の文法など、細かいルールはあまり覚えていないですよね。
論文試験は内容が優れていることのほかに、「文章が正しいかどうか」も形式面として採点基準になります。
形式面の採点は減点法。
例えばある漢字を間違って記憶していたら、その漢字を使うごとに知らないうち減点され続けてしまうので、こわいですよね。
公務員試験の論文で、おさえておくべき正しい文章のポイントは多くありません。
すべて解説しますので、覚えてしまいましょう。
POINT.2 答案の構成を理解する
論文を書くたびに「書き出しはどうしよう?」「次の段落でなにを書こう?」と、悩んでいませんか。
論文はテーマを見ていきなり書き始めてはいけません。
まず答案の構成をつくりあげることが、なにより大切です。
構成をつくってから文章を書くと、論文全体に論理的なつながりが生まれるので、合格点を目指すことができます。
「次になにを書こうか」と悩まないので文章を書く時間も短縮できるし、練習で書いた回答を1字1句記憶しておくのは無理でも、構成なら覚えられて本番で役立つんです。
どんなテーマでも使える論文の構成をマスターしましょう。
POINT.3 コツを意識する
POINT.2「論文の構成」のとおりに答案が書ければ、合格点は十分にねらえるはずです。
さらに高い得点を目指すときには、下の記事で解説するコツが役立ちます。
コツといっても難しいものではありません。
文章を書くときの心がけのようなものです。
これを心がけて文章を書くようになると、数多くあるライバルの答案から抜け出し採点者の目にとまる論文になりますよ。
POINT.4 頻出テーマの答案をつくり、解答例と比べる
論文試験でよく出題されるテーマは決まっています。
下の記事で紹介している頻出テーマに対する答案を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。
練習として書いた答案は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。
添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう。
解答例は平均的な答案として書いています。
自分の答案と比べると、かいぜんするポイントが見えてくるはずですよ。
地方上級の「面接試験の対策法」
地方上級の面接試験を突破するために必要なポイントは、次の4つです。
POINT.1 回答の構成を理解する
面接で質問されると「どんな話をしよう?」「どういう構成で伝えたらいいだろう」と、焦ってしまいますよね。
面接独特の空気のなかで、質問にすばやく的確に答えるのは難しいものです。
でも、評価の高い面接の回答の構成には決まりがあります。
この決まりを理解しておけば、本番でどう話したらいいか迷うことはありません。
落ち着いて自分をアピールすることができます。
面接官から高評価をもらう回答の構成を理解しましょう。
POINT.2 定番質問の回答をつくり、解答例と比べる
面接試験でよく問われる質問は決まっています。
下の記事で紹介している定番質問に対する回答を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。
用意した回答は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。
添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう。
解答例は平均的な回答として書いています。
自分の回答と比べると、改善するポイントが見えてくるはずですよ。
POINT.3 面接カードをていねいに作る
筆記試験を突破すると、面接カードとよばれる質問項目がならんだ用紙が配られます。
それに回答を書いて、面接時に持参するのが一般的です。
面接直前の控室で配られ、その場で記入するばあいもあります。
民間企業でいうエントリーシートのようなものです。
面接官は事前に面接カードを読み、面接の評価に加味をします。
じっさいの面接も提出されたカードにそって進行することが多いので、面接カードにどんな内容を書いておくかは、とても重要だと分かりますよね。
面接官から高評価をもらう面接カードの書き方を理解しましょう。
POINT.4 落ちる人の特徴を知る
せっかくがんばって筆記試験を突破したら、「面接はぜったい落ちたくない」と思いますよね。
面接に「受かりやすいひと」もいれば、ざんねんながら「落ちやすいひと」もいるんです。
落ちやすいひとには共通点があります。
こちらの記事をよく読んで、面接でこうなってしまわないよう注意しましょう。
あわせて対策法も解説するので、自覚があるひともきっと改善できますよ。
地方上級の「集団討論試験の学習法」
地方上級の集団討論試験を突破するために必要なポイントは、次の3つです。
POINT.1 進め方をおさえる
集団討論はいつも「はじめになにを話そう?」「議論をどう進めたらいいんだろう」と、悩んでしまいますよね。
集まったメンバーによって、議論の中身は毎回ちがったものになります。
でも、評価の高い集団討論の進め方には決まりがあるんです。
これを理解しておけば、なにを話したらいいか迷うことはありません。
自分がリーダーシップをとって、グループの議論をスムーズに進めていくことができます。
採点者に好印象をあたえるポイントがたくさんあるので、すべてお伝えしますよ。
POINT.2 役割分担を知る
集団討論では「司会」「書記」「タイムキーパー」という3つの役割を分担することがあります。
「集団討論で役割、とくに司会を引き受けると落ちる」という噂を信じて、「本番ではなにも担当したくない」というひとが多くいます。
じつは、それぞれの役割にはメリットとデメリットがあるんです。
もちろん、司会をしたからといって不合格になることはありません。
役割を活かして高評価をもらう方法、はんたいに気をつけるポイントを説明しますね。
POINT.3 コツを意識する
自分が練習したとおりに議論が進まなかったり、他人の意見を否定するひとがいたり、集団討論はなかなか思うようにいかないことがありますよね。
集団討論にのぞむさい、よくある困った状況の対処法や、どんなときでも使える高評価のコツを知っていると便利です。
コツといっても難しいものではありません。
ひととコミュニケーションをとるときの心がけのようなものです。
これを心がけて討論できると、数多くいるライバルから抜け出し、採点者の目にとまるようになりますよ。
地方上級の「独学/予備校」
地方上級を受験するひとの半分くらいは独学、のこりは公務員予備校にかよっています。
公務員予備校はお金がかかるので、どうしようか迷いますよね。
独学でも対策可能な試験種目
- 教養試験
- 専門試験(択一式)
地方上級の教養試験と専門試験(択一式)は、独学でも合格レベルまで得点力を高めることができます。
どちらの試験の科目も、質の高い導入テキストや過去問題集がそろっているからです。
難関大学合格者や勉強に自信があるひとなら、市販の参考書をつかってひたすら問題演習に取りくめば合格点をこえることは難しくありません。
予備校で対策したほうがいい試験種目
- 論文試験
- 面接試験
- 集団討論試験
論文試験の対策は、頻出テーマの答案を作成し、専門的なスキルがあるひとに添削してもらう必要があります。
面接試験や集団討論試験は本番の形式で模擬練習をなんどもくり返すことが、合格への王道です。
どれも独学で対策するのは厳しい試験種目ばかり。
公務員予備校では、論文について頻出テーマ分析や、答案作成、添削指導など万全の対策ができます。
面接練習のサポート体制や、先輩合格者の体験記などノウハウの蓄積も十分です。
地方上級は難関の公務員試験。
よほど筆記試験に自信があったり、論文対策や面接対策の環境を自前で用意できるひと以外は、公務員予備校をつかう方法がおすすめです。
地方上級の「府県庁や政令指定都市ごとの試験対策」
地方上級とひとくくりにいっても、自治体によって試験内容や注意するポイントはそれぞれことなります。
こちらの記事で、各府県庁や政令指定都市ごとの「求める人材」「職場環境」「試験種類」「試験内容」「試験スケジュール」「試験対策」「倍率」の解説をしているので、参考にしてください。

これで「地方上級」採用試験の解説はおしまいです。
おつかれ様でした。
地方上級って、地方公務員試験のことですよね?
市役所上級とはなにがちがうんだろう。。