

地理や思想は出題数が少ないマイナー科目ですね。
ほんらいは奥が深い学問なので、深入りしないよう注意が必要です。
あまり時間をかけず、効率的に学習する方法を解説します!
公務員試験「地理/思想/文学,芸術」を知ろう!
まずは、地理/思想/文学,芸術がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
地理/思想/文学,芸術のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
分野は3つ/2つ/2つ
地理/思想/文学,芸術はそれぞれ3つ/2つ/2つの分野に分かれています。
- 【自然と人間】:地形、気候、土壌、人種、民族、人口、交通
- 【産業】:農林水産業、鉱工業とエネルギー、貿易
- 【世界の諸地域】:アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア、日本
- 【西洋思想】:古代思想、中世思想、近代思想、実存主義、現代思想
- 【東洋思想】:中国思想、日本思想
- 【文学】:日本文学、外国文学
- 【芸術】:美術、建築、音楽、伝統文化
出題数は少なめ
教養試験で地理/思想/文学,芸術はどれくらい出題されるのかというと(平成28年度試験の結果より)、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
地理の出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 |
思想の出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0~1 |
文学,芸術の出題数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0~1 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 50 | 40 |
全体の出題数 | 40 | 40 | 40 | 44 | 50 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 必須 | 必須 | 選択 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
平成28年度の国家公務員試験では地理と思想が1問ずつ出題され、文学,芸術の出題はありません。
社会科学/人文科学/自然科学から全部で13問の出題とされているので、地理や思想の出題数は年度によって変わることがあります。
東京都特別区も同じく地理と思想が1問ずつの出題です。
地方上級や市役所上/中級では地理が2問出題されます。
地方上級に思想は出ず、かわりに文学,芸術が1問登場。
市役所上/中級の思想と文学,芸術の出題は試験日程によって、「思想だけ1問」「文学芸術だけ1問」「どちらも出題されない」の3パターンに分かれます。
日本史/世界史の合計とくらべると、国家公務員試験では同じ出題数、東京都特別区をのぞく地方公務員試験では少ない出題数といえますね。
文学,芸術は地方上級と市役所上/中級で1問出題されるだけの科目です。
範囲がとてつもなく広いわりに出題数が少ないので、ぶっつけ本番でいくのがよい作戦でしょう。
これから文学,芸術の説明は割愛しますね。
出題形式は2つ
問題の出題形式は大きく2通りです。
- 【知識問題】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【組合せ問題】:「図は~を示している。図に関する記述と図の~の組み合わせとして、妥当なのはどれか?」「次の~の記述と、それぞれに該当する~の組み合わせとして、妥当なのはどれか?」
地理と思想どちらも知識問題が多くをしめます。
ときには組合せ問題も出題されますが、問題を解くのに必要な知識はかわらないので、基本的な学習をていねいに続けることが大切です。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、地理/思想の頻出分野と難易度を表にまとめました!
地理 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
自然と人間 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ |
産業 | △ | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 |
世界の諸地域 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ◎ |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
思想 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
西洋思想 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
東洋思想 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」「―:近年出題がない」の4つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
地理の頻出分野は自然と人間、世界の諸地域の2つです。
とくに地形、気候、土壌から代表的な問題がくり返し出題されています。
思想は西洋思想と東洋思想からバランスよく出題され、あまりどちらかにかたよってはいません。
西洋思想のなかでは近代思想が、東洋思想のなかでは日本の思想家がそれぞれよく問われるテーマです。
難易度は?
国家公務員試験の地理と思想はどちらも難易度が高めです。
とくに国家総合職は難問が多く、思想にいたっては過去問演習に十分とりくんでも試験で得点できない場合もあります。
国家一般職のほうは難問や奇問が少なく、基本を問うややレベルの高い良問が出題されます。
地方公務員試験の地理と思想はどちらも標準的な難易度です。
参考書でしっかりと対策をしておけば正解できるでしょう。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- 地理は頻出分野があるが、思想はバランスよく出題!
- 国家はやや難しく、地方は標準的な難易度!
勉強の方針
ここまでをふまえて、地理/思想の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 地理の頻出テーマと思想だけ勉強する!
- 日本史/世界史の後に対策する!
地理の頻出テーマと思想だけ勉強する
地理や思想、それに日本史や世界史など人文科学の分野は勉強の分量が多いわりに、出題数が少ないのでコストパフォーマンスがわるい科目です。
でも人文科学の科目を合計すると、4~7問と無視できない出題数になります。
すべての科目をすててしまうのは不安ですよね。
いくつかの科目は勉強しておきたいところです。
高校時代に学習した科目は、ぜひ対策してみましょう。
高校時代に学習しなかったり、とても苦手だった科目はどうしたらいいでしょうか?
日本史/世界史/思想は暗記科目なので、初めてでも勉強すれば得点できるようになります。
初学者でも勉強しやすい科目ですから、よゆうがあればぜひ対策しておきましょう。
はんたいに地理は理解が必要になる科目です。
ほとんど高校3年間の範囲から出題されるので、すべての分野を勉強しようとすると時間がかかりすぎてしまいます。
そこで頻出テーマの地形/気候/土壌の対策にしぼるのがおすすめ。
このテーマからは代表的な知識を覚えてしまえば得点できる問題も多く出題されるので、効率的に勉強できます。
日本史/世界史の後に対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、教養試験のおすすめ勉強順番はこちらです。
- 判断推理/数的推理/資料解釈
- 文章理解:現代文/英文/古文
- 時事対策
- 社会科学:政治/経済/社会
- 人文科学:日本史/世界史、地理/思想/文学,芸術
- 自然科学:生物/地学、数学/物理/化学
地理の頻出テーマと思想は初学者でも勉強するのがおすすめですが、あくまでもほかの科目の対策が終わってからとりくみましょう。
人文科学のなかでとりくみやすい日本史と世界史を先に片付けてから、地理と思想にすすむとスムーズです。

公務員試験「地理/思想」が得点できる勉強法!
地理/思想を勉強するときに、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- 勉強の範囲を広げすぎない!
- 地理は自然地理を土台に人文地理を理解する!
- 思想は人名⇒キーワード⇒内容をおさえる!
POINT.1 勉強の範囲を広げすぎない
地理や思想はほんらいとても奥が深い学問です。
やろうと思えばいくらでも時間をかけてとりくむことができます。
でも、公務員試験では出題数が少ないし、頻出のテーマをあるていど決まっています。
深入りせず必要最低限の対策にとどめるておくのが大切です。
高校の教科書を引っ張り出して、1から読み直す必要はありません。
地理は試験用の導入テキストを使って知識を整理し、過去問演習をとおして知識を定着させ得点力をあげていきましょう。
思想ははじめから過去問題集に取り組むのがおすすめです。
POINT.2 地理は自然地理を土台に人文地理を理解する
地理は、自然にかかわる内容をあつかう「自然地理」と、人間とその活動をあつかう「人文地理」の2つに大きく分けるられます。
人間の活動はもちろん自然環境に大きな影響を受けますから、自然地理を土台に人文地理をとらえることができるんです。
たとえば「気候⇒農業」「海流⇒漁業」「鉱山資源⇒工業」などが代表です。
自然地理は人文地理にくらべて覚える知識が少なく、体系的な理解が可能な分野。
まずは自然地理で世界の全体像をながめ、それから人文地理の細ごまとした情報をおさえていきましょう。
POINT.3 思想は人名⇒キーワード⇒内容をおさえる
思想は、思想家とその思想の内容を組み合わせる単純な暗記科目です。
思想家の名前⇒思想のキーワード⇒思想の具体的な内容の3点セットで記憶すれば、対策は完ぺきになります。
ほとんどの問題は思想家とキーワードが分かれば正解できるので、この2つだけは必ずおさえておきましょう。
なかには思想の内容がこまかく問われるばあいもあるので、よゆうがあれば有名な思想家の内容を1つずつ理解するのがおすすめです。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【センター試験 地理Bの点数が面白いほどとれる本】:導入テキスト
- 【公務員試験 過去問 新クイックマスター 人文科学II(地理・思想・文学・芸術)】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- 面白いほどで基礎を理解する!
- クイマスをくり返し解く!
- 合格の500を解く!
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、地理や思想の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「地理/思想/文学,芸術の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

地理と思想は出題数が少ない科目です。
でも地理の頻出テーマと思想を過去問の範囲で対策しておけば、小さな労力で得点できる可能性は十分あります。
分量もさほど多くはないので、よゆうがあれば受験勉強の最後にぜひとりくんでみましょう。
地理はなじみのある科目なので勉強しましたが、ちょっと難しくて過去問演習にも時間がかかりました。