

法務省専門職員は、人気の公務員試験です。
でも最初は、「法務省専門職員ってどんな試験?」「どんな勉強をしたらいいの?」と疑問に思いますよね。
法務省専門職員の試験内容や難易度、試験科目や学習のポイントをすべて解説します。
法務省専門職員の「仕事内容」
法務省は法律を整備するとともに、罪を犯したひとの処罰と社会復帰の援助を担っています。
人間科学にかかわる知見を活かして、ひとの円滑な社会復帰に取りくむのが法務省専門職員です。
法務省専門職員は次の3つがあります。
- 矯正心理専門職
- 法務教官
- 保護観察官
どの職種の業務にも深い人間理解が要求されるので、試験内容がほとんど共通する「法務省専門職員(人間科学)試験」によって国家専門職として採用されています。
矯正心理専門職
矯正心理専門職とは、非行少年について非行の原因分析や、どうすれば立ち直れるかという処遇上の指針を明らかにする専門職員です。
おもに法務省矯正局所管の少年鑑別所、刑事施設、少年院に勤務します。
少年鑑別所は家庭裁判所から観護措置決定によって送致された非行少年を収容する場所。
矯正心理専門職は非行少年にたいして面接や心理検査をおこない、知能や性格上の特徴、非行にいたった原因などを探り、処遇上の指針をたてます。
その結果は家庭裁判所に提出され、少年院や保護観察所での指導に活用されるのです。
ほかにも刑事施設で受刑者の心身状況を調査し、再発防止に必要な矯正の内容を設定することなども矯正心理専門職の仕事です。
法務教官
法務教官は少年院や少年鑑別所に勤務して非行少年に矯正教育をおこなったり、刑事施設に勤務して受刑者に専門的な指導をする専門職員です。
少年院は家庭裁判所の審判によって保護処分となった非行少年を収容し、学校や職場への適応力をみにつけ、心身健康な少年として社会復帰させるための施設。
法務教官は各少年の特性にあわせながら、教育計画を立て指導にあたります。
いっぽう少年鑑別所での仕事は、少年の身柄を保護しながら、面接や行動観察によって少年の問題性や改善の可能性を探ることです。
刑事施設で受刑者にたいして、性犯罪や薬物依存などにかかわる問題性に働きかける指導をおこなうこともあります。
保護観察官
保護観察官は、犯罪をしたひとや非行少年を少年院や刑事施設ではなく、社会の中で更生保護する手助けをおこなう専門職員です。
日本の刑事司法制度において警察、検察、裁判、矯正の最後に更生保護は位置しています。
保護観察官の勤務地はおもに地方更生保護委員会や保護観察所です。
地方更生委員会は受刑者の仮釈放や少年院在院者の仮退院などを審理する機関で、全国に8庁が設置されています。
ここでの保護観察官の仕事は、審理に必要な調査をおこなうことです。
いっぽう保護観察所は更生保護の第一線機関として、全国に50庁が設置。
保護観察官は仮釈放者らにたいして保護観察をしたり、出所者らの生活環境整備や犯罪予防活動をします。
法務省専門職員の「研修/異動/昇任/年収」
矯正心理専門職と法務教官
採用1年目に初任者を対象とする研修があります。
一定のあいだ実務経験を積んだ後、さらに専門性を育成するための研修を受講。
そのほか幹部職員となるための専門研修や、海外留学制度なども設けられています。
採用からおおむね5年目に専門官に昇任し、その後は努力次第で統括専門官⇒主席専門官⇒施設長等へ昇任することも可能です。
異動は原則として採用施設を所管する矯正管区管内の施設間でおこなわれます。
公開されている採用初年度の給与例はこちら。
(東京都特別区内に勤務するばあいの平成29年4月1日の給与例)
大卒程度試験 |
---|
243,000円 |
保護観察官
採用からしばらくは、合宿形式の研修や、所属庁の指導官から指導を受ける実務訓練期間です。
一定のあいだ実務経験を積むと保護観察官に任官され、その後は統括保護観察官や保護観察所長などへ昇任することが可能です。
異動は原則として採用された地方更生保護委員会またはその管内の保護観察所間でおこなわれます。
公開されている採用初年度の給与例はこちら。
(東京都特別区内に勤務するばあいの平成29年4月1日の給与例)
大卒程度試験 |
---|
213,840円 |
法務省専門職員の「難易度/倍率」
法務省専門職員のほかにも、公務員にはいろいろな種類があります。
種類ごとに大卒程度試験の難易度をランキングにしました。
難易度は筆記試験や面接試験、採用人数などから総合的に判断しています。
- 国家総合職
- 国家一般職、国家専門職(国税専門官/財務専門官/労働基準監督官など)、国立大学法人等職員、裁判所職員
- 地方上級(県庁/政令指定都市)、東京都庁
- 東京都特別区(東京都23区)
- 市役所(政令指定都市をのぞく)、警察官/消防官
法務省専門職員の採用試験は、国家総合職についで難易度が高い試験です。
学歴が高くても関係なく落ちてしまう試験ですから、かんたんではありません。
試験の難易度は受験年度や、どの試験区分を受験するかによって変わります。
難易度ランキングは参考ていどにとどめてくださいね。
法務省専門職員の倍率は下表のとおりです。
(平成29年度試験)
試験区分 | 受験者 | 1次試験合格 | 最終合格 | 倍率 | |
---|---|---|---|---|---|
矯正心理専門職 | A | 141 | 77 | 34 | 4.1 |
B | 243 | 32 | 19 | 12.8 | |
法務教官 | A | 1,231 | 269 | 140 | 8.8 |
B | 447 | 96 | 60 | 7.5 | |
保護観察官 | 303 | 102 | 71 | 4.3 |
法務省専門職員の試験には心理系科目が多く登場します。
ですが、専門的な知識を細かく問うわけではありません。
専門の学部出身ではなくても、しっかり学習すれば試験をのりこえることは可能です。
法務省専門職員は研修制度がとても充実しているので、専門家として必要な知識や技法は採用後に身につけられることも安心ですね。
法務省専門職員の「試験種類」
法務省専門職員は大卒程度試験です。
矯正心理専門職と法務教官はA区分とB区分にわかれています。
受験資格は、
- 22~30歳まで(受験翌年4月1日時点の年齢)
- A区分は男性、B区分は女性が対象(矯正心理専門職と法務教官のみ)
法務省専門職員に学歴要件はありません。
大卒程度試験とはいえ、じっさいに大学を卒業していなくても受験することができます。
法務省専門職員の「試験科目/配点」
法務省専門職員の試験は1次試験と2次試験に分かれています。
試験種目や配点などはこちら。
大卒程度試験 | 試験種目 | 配点 | 時間 | 問題数 |
---|---|---|---|---|
1次試験 | 基礎能力試験 | 2/10 | 2時間20分 | 40問 |
専門試験(多肢選択式) | 3/10 | 2時間20分 | 40問 | |
専門試験(記述式) | 3/10 | 1時間45分 | 1題 | |
2次試験 | 人物試験 | 2/10 | ― | ― |
基礎能力試験、専門試験(多肢選択式と記述式)の配点を合わせると、ぜんたいの8/10をしめます。
筆記試験のウェイトは、人物試験(面接)にくらべてとても大きいですよね。
1次試験は基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)を合わせて合格者が決定されます。
専門試験(記述式)はふくまれないことに注意が必要です。
最終合格者は1次試験と2次試験をすべて総合して決定されます。
矯正心理専門職とそのほかの試験区分では、専門試験の出題内容が少しことなります。
それでは,試験種目の内容を1つずつ確認していきましょう。
基礎能力試験
法務省専門職員の基礎能力試験は、よく「教養試験」とよばれるものと同じ。
矯正心理専門職、法務教官、保護観察官どれも問題は共通です。
ぜんぶで40問が出題されます。
各科目ごとの出題数は、
(平成29年度試験)
分野 | 科目 | 出題数 |
---|---|---|
一般知能 | 現代文 | 6 |
英文 | 5 | |
判断推理 | 8 | |
数的推理 | 5 | |
資料解釈 | 3 | |
一般知識 | 時事 | 3 |
法律 | 1 | |
政治 | 1 | |
経済 | 1 | |
物理 | 1 | |
化学 | 1 | |
地学 | 1 | |
日本史 | 1 | |
世界史 | 1 | |
地理 | 1 | |
思想 | 1 | |
合計 | 40 |
法律や物理などの一般知識分野にくらべて、現代文や判断推理といった一般知能分野のほうがはるかに出題数が多くなっています。
専門試験(多肢選択式)
法務省専門職員の専門試験(多肢選択式)はマークシート方式です。
矯正心理専門職の出題数の内訳は、
科目 | 出題数 | 回答数 |
---|---|---|
心理学 | 20 | 全20問 必須回答 |
心理学 | 10 | 全40問中 20問選択回答 |
教育学 | 10 | |
福祉 | 10 | |
社会学 | 10 | |
合計 | 60 | 40 |
心理学の出題数が半分以上をしめています。
法務教官と保護観察官の出題数の内訳は、
科目 | 出題数 | 回答数 |
---|---|---|
心理学 | 10 | 全40問中 20問選択回答 |
教育学 | 10 | |
福祉 | 10 | |
社会学 | 10 | |
合計 | 40 | 40 |
専門試験(記述式)
法務省専門職員の専門試験(記述式)は、マークシート方式の多肢選択式とちがって、設問に対して1,000文字ていどで論述回答する試験です。
矯正心理専門職のばあいは、心理学から1問が出題され回答します。
出題例は、
(平成29年度試験)
被虐待経験をもつ子どもの心理的特性をいくつか挙げ、それらの特性が生じるメカニズムを心理学的観点から説明しなさい。
法務教官と保護観察官の出題数は、
科目 | 出題数 | 回答数 |
---|---|---|
心理学 | 1 | 4科目から 1科目選択回答 |
教育学 | 1 | |
福祉 | 1 | |
社会学 | 1 |
出題例は、
(平成29年度試験)
- 【心理学】:心理学における「援助行動」については、社会心理学者ラタネとダーリーの研究を先駆けとして多様な研究が行われてきている。それらを踏まえ、援助行動に影響をおよぼす要因について多面的に説明し、援助行動が生じるプロセスについて述べなさい。
- 【教育学】:初等,中等教育段階における学校教育の目的や特徴を、家庭教育と比較しながら説明したうえで、あなたが考える「教育」のあり方について論じなさい。
- 【福祉】:社会福祉の観点から、社会的排除について論じなさい。
- 【社会学】:逸脱行為の抑制および促進の両方に対してマスメディアが与える影響について、社会学的な観点から論じなさい。
人物試験
法務省専門職員の人物試験とは、面接のことです。
集団ではなく個別に面接がおこなわれます。
「コンピテンシー」とよばれる、成果に結びつく行動や能力をつかった面接方法を採用しています。
質問の中心は「そのときどう行動しましたか?」と、受験生の過去のエピソードから行動や結果を掘りさげること。
地方上級などの試験にくらべて、人物試験の配点が低いことも特徴です。
法務省専門職員の「試験日程」
法務省専門職員の試験日程と採用までのながれはこちら。
(平成29年度実施試験の日程)
- 【受験案内】:2月1日~(ホームページに掲載)
- 【受験申込み】:3月31日~4月12日(インターネットから行う)
- 【第1次試験】:6月11日
- 【合格発表】:7月4日
- 【各財務局業務説明会】:7月6~11日
- 【第2次試験】:7月11~13日
- 【最終合格発表】:8月23日
- 【内定】:10月1日~
法務省専門職員の「勉強スケジュール」
法務省専門職員の対策期間がだいたい1年間あるばあいのスケジュール例はこちら。
試験種目 | 月 | ||||
---|---|---|---|---|---|
8~12 | 1~3 | 4~6 | 7 | ||
基礎能力試験 | 一般知能 | ★ | ☆ | ☆ | |
一般知識 | ☆ | ☆ | |||
専門試験(多肢選択式) | ★ | ★ | ★ | ||
専門試験(記述式) | ★ | ★ | |||
人物試験 | ☆ | ★ |
- 【★】:注力して取りくむ試験種目
- 【☆】:取りくむ試験種目
8~12月
試験勉強はまず基礎能力試験の「一般知能」と「専門試験の多肢選択式」からはじまります。
一般知能の科目は出題数がとても多く、毎日コツコツと問題を解きつづけることで得点力がみにつきます。
専門試験の択一式は記述式対策の土台になるので、早くから学習しておきましょう。
1~3月
年明けあたりからは基礎能力試験の「一般知識」と「専門試験の記述式」対策もスタートです。
一般知識は出題数が少なく、範囲がとても広い科目ばかり。
3問が出題される一般知識の時事問題の学習に注力します。
4~6月
「人物試験」の対策は後回しになりがち。
人物試験は少し対策をするだけで評価がぐっと高まる、コストパフォーマンスのよい試験です。
専門試験の記述式対策に追い込みをかけながらも、公務員予備校の面接指導の予約が空いているうちに、人物試験対策を少しずつすすめておきましょう。
7月
1次試験が終われば2次試験(人物試験)対策に集中できます。
1次試験が終わる前でも、「業務説明会」や「職場訪問」へ参加することを忘れずに。
法務省専門職員の「基礎能力試験科目の対策法」
法務省専門職員の基礎能力試験の配点は2/10です。
40問が出題されます。
一般知識にくらべて一般知能の出題数のほうが圧倒的に多いです。
現代文/英文、判断推理/数的推理/資料解釈の学習を優先しましょう。
現代文/英文
「現代文」と「英文」の出題数を合わせると11問。
コツコツと学習をつみ重ねれば満点もねらえる科目なので、早いうちからしっかり取りくみましょう。
現代文は標準的な難易度の問題が多く出題されます。
時間をはかりながら過去問演習をくり返せば、対策は十分です。
英文は難易度が高い問題も登場します。
出題テーマがはば広く、なじみのない問題にそうぐうすることも。
法務省専門職員だけでなく国家総合職や国家一般職の過去問にも取りくんで、得点力を高めるのがおすすめです。
判断推理/数的推理/資料解釈
「判断推理」「数的推理」「資料解釈」の3科目で16問の出題数です。
基礎能力試験のなかでもっとも重要な科目なので、苦手にせず勉強する必要があります。
判断推理と数的推理の問題は、長文で内容も複雑化する傾向にあります。
図表をいくつか使わないと解けない問題がみられることも特徴です。
とつぜん力がつく科目ではないので、少しずつでも毎日継続して学習することが大切。
資料解釈は時間さえあれば正解できる科目です。
過去問演習をとおして、すばやく確実に解く練習をしておきましょう。
時事
過去2年くらいの出来事から出題されます。
頻出テーマは「財政」「社会保障」「環境」「エネルギー」「防災」。
細かなデータをすべて覚えるのは大変なので、数値が上がったか下がったかなど大まかな方向性をおさえるのが効率的です。
法律/政治/経済(社会科学)
法律はおもに憲法の人権や統治から出題されます。
まれに「国際法」「行政法」「労働法」などが問われることもあり、完ぺきな対策は難しいです。
専門試験の憲法の学習をすすめていきましょう。
政治の頻出テーマは「日本の選挙制度」「各国の政治制度」「国際機関」「中東戦争」など。
専門試験の政治学や国際関係の勉強でカバーできます。
経済は法律や政治とちがって、専門試験の経済学と内容がことなる問題が出題されます。
「日本や世界の経済事情」「財政や金融」「経済指標」「経済史」など出題分野は広め。
基礎能力試験の経済の過去問演習にしっかり取りくむ必要があります。
物理/化学/生物/地学(自然科学)
「物理」「化学」「生物」「地学」など自然科学から合計で3問が出題されます。
高校教科書の練習問題レベルなので、浅く広く学習するのがおすすめ。
物理は「力のつり合い」「物体の運動」「エネルギーと運動量」「電気回路」「電流と磁場」が頻出です。
原子の構造やエネルギーが出題される可能性もがるので、基本原理を理解しておきましょう。
化学と生物はテーマを横断した総合問題がよく登場します。
化学は「高分子化合物」「食品添加物」、生物は「生態系」「生物の多様性」などマイナーな分野の出題にも注意して、はば広い対策が必要です。
地学はわりと細かな知識が問われます。
中学理科の「大地の変化」というテーマから基礎をかためましょう。
日本史/世界史/地理/思想
日本史は通史やテーマ史からの出題がほとんど。
「文化」「対外交渉」「教育」「戦乱」「貿易」「通貨」などのテーマを確認しましょう。
世界史は出題範囲がとても広いです。
あまり時間はかけず、よゆうがあれば「絶対王政以降の西洋史」にしぼって対策するのがおすすめ。
難易度はあまり高くなく、明らかに誤りの選択肢が多いので基礎を知っていれば正解できます。
地理は高い難易度ではないですが、広い学習が必要です。
さっと取りくむなら「地形」「気候」を選びます。
思想の出題内容はワンパターン。
「西洋近現代」「日本の近代思想」「諸子百家」「江戸時代の思想」について、有名思想家の主著やキーワードを整理しておけば正解できます。
法務省専門職員の「専門試験科目(多肢選択式)の学習法」
法務省専門職員の専門試験(多肢選択式)の配点は3/10です。
40問が出題されます。
矯正心理専門職は心理学からの出題が半数以上をしめているのが特徴です。
心理学
心理学は基礎とされる分野から、はば広く出題されます。
英文問題が登場することも特徴のひとつ。
頻出分野は、
- 臨床,人格
- 発達
- 社会
- 心理測定法
臨床,人格
臨床,人格は心理学全体の出題数のうち、約1/3をしめます。
「精神疾患」「カウンセリング」「パーソナリティ検査」が重要テーマです。
精神疾患では統合失調症、うつ病、気分障害、パーソナリティ障害、学習障害、多動性障害など代表的な障害について、症状と治療にむけたアプローチを整理しておきましょう。
カウンセリングはいろいろな技法の理論、創始者、療法相互の関係性にかんする理解が大切です。
パーソナリティ検査は検査名、開発者、検査内容の組み合わせを確認する問題が頻出。
質問紙法、投影法、作業検査法など基本的な検査法から学習します。
発達
発達心理学は「ピアジェ」「エリクソン」「ヴィゴツキー」など著名な研究者や、「バンデューラの観察学習」「ローレンツのエソロジー研究」などの理論の理解は必須です。
乳児期⇒幼児期⇒児童期⇒青年期の発達段階ごとに、「言語」「認知」「社会性」「感情」など機能獲得の学習を整理しておくことがおすすめ。
社会
社会心理学は集団と社会的認知に関する出題が基本です。
集団は「社会的促進と抑制」「同調と服従」「協力と利他行動」などが頻出テーマ。
社会的認知は「アッシュの実験」「ステレオタイプ」「認知的不協和理論」などが代表的です。
心理測定法
心理測定法の頻出テーマは「統計」「妥当性と信頼」「各種測定法」。
同じような項目がくり返し出題されているので、過去問演習で基礎をかためることが大切です。
教育学
教育学の頻出分野は、
- 教育史
- 教育社会学
- 教育方法学
- 時事
教育史
有名な教育思想家にかんする出題が多めです。
西洋は近現代の人物、日本は江戸時代や明治期の人物が中心。
各思想家の「主著」と「キーワード」を整理しておきましょう。
明治期から昭和初期にかけての教育制度史も頻出です。
法令や、近代学校体系の構築に貢献した人物をおさえておきます。
教育社会学
有名な人物の学説の正誤判断問題がよく出ます。
教育史と同じように、「主著」や「学説のキーワード」を覚えることが大切です。
そのほか「感情労働」や「隠れたカリキュラム」など重要事項にも注意。
教育方法学
教育方法学は歴史上の有名な学習理論が頻出。
提唱者の名前とセットで覚えておきましょう。
教育評価の問題もよく出ます。
「教育評価の類型」や「評価を阻害する心理的要因」などを学習すること。
そのほか「国際学力調査」「全国学力/学習状況調査」について、動向をチェックしておくのがおすすめです。
時事
時事は毎年出題されています。
文部科学省や内閣府の重要な政策文書をチェックしておきましょう。
- 学習指導要領
- 子ども若者白書
福祉
福祉の頻出分野は、
- 法律
- 社会福祉の援助と方法
- 社会保険
- 労働問題
法律は「社会福祉法」「介護保険法」などを引用した空欄補充問題がよく出ます。
社会福祉の援助と方法は「エンパワメント」「スーパービジョン」「ラポール」など重要な用語をおさえましょう。
社会保険は「公的年金」「医療保険」「介護保険」について、現行制度の概要を確認する問題が出題されます。
労働問題は「M字型カーブ」「非正規雇用」「年次有給休暇」など、わが国の労働の現状を理解することが大切です。
福祉はあまり細かな知識が問われません。
導入テキストや過去問題集をつかって、効率よく学習をすすめます。
最新版の時事参考書で、関係する内容を覚えることも忘れずに。
社会学
社会学の頻出分野は、
- 社会集団
- 社会調査
- 現代社会学理論
- 犯罪と司法制度
社会集団は「マッキーバー」「テンニース」「マートン」の学説が中心。
学者名と類型名の組み合わせを問う問題や、特定の類型をとり上げて正誤判断する問題がよく出ます。
社会調査は「ダブルバーレル質問」「メディアン」などの用語や、「国勢調査」「ロンドン調査」などの具体例がくり返し問われています。
現代社会学理論は「現象学的社会学」「シンボリック相互作用論」「エスノメソドロジー」など意味学派が頻出。
犯罪と司法制度は、学説ではなく「わが国の犯罪動向」や「犯罪対策関連の法律」にかんする話題が出題されます。
最新版の時事参考書に目をとおしておきましょう。
法務省専門職員の「専門試験(記述式)の学習法」
法務省専門職員の専門試験(記述式)の配点は3/10。
多肢選択式の配点と同じです。
1時間45分の試験時間で1題の答案を作成します。
難易度はとても高めです。
問題文の内容を正しく理解し、必要な論点を適切な順番で構成し、制限時間内に論述しなければいけません。
難易度の高さや対策のしづらさから、受験生によって大きな差がつきやすい試験です。
対策のステップ
- 多肢選択式の学習をすすめる
- 主要分野ごとに論点、制度、条文などを整理する
- 主要テーマの答案をつくる
記述式の練習をする前に、まずは多肢選択式の導入テキストと過去問演習に取りくみ、基礎事項を理解して論述の土台をつくることが効果的です。
1つの分野がおわるたびに、論点や重要事項をノートにまとめておきます。
多肢選択式の学習があるていど身についたら、記述式の頻出テーマについて答案をつくってみましょう。
大変ですが、できるだけたくさんの答案を書きあげれば得点力はあがりますし、試験で同じようなテーマが出題される可能性がとても高くなります。
記述式の対策をすると理解がより深まるので、多肢選択式の学習にも効果がありますよ。
答案作成のながれ
- 問題文をよく読む
- 答案の構成をつくる
- 答案を書く
いきなり答案を書きだすのはよくありません。
問題文をよく読んで、なにが問われているのかじっくり把握します。
次に答案の構成を考えましょう。
答案は全体の論理が一貫していなければならないため、はじめに設計図をつくっておく必要があるからです。
それから誤字脱字や文章のつながりに気をつけて答案を書きます。
最後の見直しを忘れずに。
法務省専門職員の「人物試験(面接試験)の対策法」
面接試験は法務省専門職員すべての試験種で課されます。
配点は基礎能力試験と同じなので、学習ポイントをしっかりおさえましょう。
法務省専門職員の面接試験を突破するために必要なポイントは、次の4つです。
POINT.1 回答の構成を理解する
面接で質問されると「どんな話をしよう?」「どういう構成で伝えたらいいだろう」と、焦ってしまいますよね。
面接独特の空気のなかで、質問にすばやく的確に答えるのは難しいものです。
でも、評価の高い面接の回答の構成には決まりがあります。
この決まりを理解しておけば、本番でどう話したらいいか迷うことはありません。
落ち着いて自分をアピールすることができます。
面接官から高評価をもらう回答の構成を理解しましょう。
POINT.2 定番質問の回答をつくり、解答例と比べる
面接試験でよく問われる質問は決まっています。
下の記事で紹介している定番質問に対する回答を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。
用意した回答は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。
添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう。
解答例は平均的な回答として書いています。
自分の回答と比べると、改善するポイントが見えてくるはずですよ。
POINT.3 面接カードをていねいに作る
筆記試験を突破すると、面接カードとよばれる質問項目がならんだ用紙が配られます。
それに回答を書いて、面接時に持参するのが一般的です。
面接直前の控室で配られ、その場で記入するばあいもあります。
民間企業でいうエントリーシートのようなものです。
面接官は事前に面接カードを読み、面接の評価に加味をします。
じっさいの面接も提出されたカードにそって進行することが多いので、面接カードにどんな内容を書いておくかは、とても重要だと分かりますよね。
面接官から高評価をもらう面接カードの書き方を理解しましょう。
POINT.4 落ちる人の特徴を知る
せっかくがんばって筆記試験を突破したら、「面接はぜったい落ちたくない」と思いますよね。
面接に「受かりやすいひと」もいれば、ざんねんながら「落ちやすいひと」もいるんです。
落ちやすいひとには共通点があります。
こちらの記事をよく読んで、面接でこうなってしまわないよう注意しましょう。
あわせて対策法も解説するので、自覚があるひともきっと改善できますよ。
法務省専門職員の「独学/予備校」
法務省専門職員を受験するひとの半分くらいは独学、のこりは公務員予備校にかよっています。
公務員予備校はお金がかかるので、どうしようか迷いますよね。
独学でも対策可能な試験種目
- 基礎能力試験
- 専門試験(多肢選択式)
法務省専門職員の基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)は、独学でも合格レベルまで得点力を高めることができます。
どちらの試験の科目も、質の高い導入テキストや過去問題集がそろっているからです。
難関大学合格者や勉強に自信があるひとなら、市販の参考書をつかってひたすら問題演習に取りくめば合格点をこえることは難しくありません。
予備校で対策したほうがいい試験種目
- 専門試験(記述式)
- 人物試験
法務省専門職員の専門試験(記述式)の難易度の高さはピカイチです。
多肢選択式の学習だけでは歯が立ちません。
人物試験(面接)は、本番の形式で模擬面接をなんどもくり返すことが合格への王道です。
面接カードも回答を作成し、専門的なスキルがあるひとに添削してもらう必要があります。
どれも独学で対策するのは厳しい試験種目です。
公務員予備校では、専門試験(記述式)について頻出テーマ分析や、答案作成、添削指導など万全の対策ができます。
面接練習のサポート体制や、先輩合格者の体験記などノウハウの蓄積も十分です。
法務省専門職員は難関の公務員試験。
よほど筆記試験に自信があったり、面接対策の環境を自前で用意できるひと以外は、公務員予備校をつかう方法がおすすめです。

これで「法務省専門職員」採用試験の解説はおしまいです。
おつかれ様でした。
法務省専門職員って、法務省の役人とはちがうんですよね?
どんな試験で採用されるんだろう。