

ほんらい国際関係はとても広く深い学問ですから、勉強しようと思えばいくら時間があってもたりません。
でも公務員試験の国際関係にかぎれば、勉強する部分は決まっています。
この記事では、
- 国際関係の出題分野と形式
- 国際関係の頻出分野と難易度
- 国際関係の効果的な勉強方法
- 国際関係のおすすめ参考書
- 国際関係の試験種類ごとの勉強ポイント
をすべて解説します。
国際関係を得意科目にして、本番で高得点をめざしましょう!
目次
公務員試験「国際関係」を知ろう!
まずは、国際関係がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
国際関係のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
分野は5つ
国際関係は5つの分野に分かれています。
- 【国際関係史】:世界の近現代史、日本の外交史
- 【国際機構】:国際連合、欧州連合、地域的国際機構
- 【国際経済】:国際経済体制、開発援助
- 【国際関係理論】:国際政治、対外政策
- 【国際関係の現代的課題】:環境/人権問題、地域紛争、軍縮と安全保障
国際関係史では、17世紀のウェストファリア条約により登場した国家を単位とする世界システムの、冷戦後までの展開を学びます。
世界史の近現代史とかぶる分野ですね。
国際経済では、国際通貨体制や国際貿易体制のながれを中心にあつかいます。
国際関係理論では、理想主義や現実主義などいろいろな国際政治の理論が登場する分野です。
出題数は少なめ
専門試験で国際関係はどれくらい出題されるのかというと、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
国際関係の出題数 | 10 | 5 | ― | ― | 2 | 2 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 |
全体の出題数 | 55 | 80 | ― | 55 | 40 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 選択 | ― | ― | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)※出題なし
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)※出題なし
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
政治/国際区分の国家総合職はもちろん国際関係は必須科目です。
さけてはとおれませんね。
国家一般職のばあいは選択科目です。
ほかの科目を選べば国際関係を勉強する必要はありません。
地方上級や市役所上/中級は必須回答ですが、出題数は2問と少ないですね。
出題形式は3つ
問題の出題形式は大きく3通りです。
- 【五肢択一】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【組み合わせ】:「次の記述に当てはまる~の組み合わせとして妥当なのはどれか?」「次の空欄に当てはまる語句として妥当なのはどれか?」
- 【英文】:「次の英文にかんする記述のうち、妥当なのはどれか?」
地方公務員試験では五肢択一の問題が多く、ときどきかんたんな組み合わせ問題も出題されます。
国家公務員試験ではさらに英文問題の出題が特徴的です。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、国際関係の頻出分野と難易度を表にまとめました!
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
国際関係史 | 〇 | 〇 | ― | ― | 〇 | 〇 |
国際機構 | 〇 | 〇 | ― | ― | 〇 | 〇 |
国際経済 | △ | △ | ― | ― | △ | △ |
国際関係理論 | 〇 | 〇 | ― | ― | 〇 | △ |
国際関係の現代的課題 | ◎ | ◎ | ― | ― | 〇 | ◎ |
難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ― | ― | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」の3つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
国際経済をのぞくすべての分野から、バランスよく出題されています。
ですが、国際経済はあまり難しくない分野なので対策はしておきましょう。
市役所上/中級では国際関係理論からの出題はあまり多くありません。
出題されるばあいは代表的な理論家ばかりです。
難易度は?
国家総合職や国家一般職の難易度は高いです。
問題の選択肢が長文で、細かな知識を問われることがあります。
地方上級や市役所上/中級は標準的な難易度で、過去に問われた知識がくりかえし出題されています。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- ほとんどの分野からバランスよく出題される!
- 難易度はやや高め!
勉強の方針
ここまでをふまえて、国際関係の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- よゆうがなければ、すてても大丈夫!
- ほかの専門試験科目がほとんど終わったら対策する!
よゆうがなければ、すてても大丈夫
国際関係は難易度が高めで、主要科目にくらべれば優先度の低い科目です。
まずは学習するのかどうか、慎重に決めましょう。
国家一般職のばあい、国際関係は選択科目です。
国際関係をすててほかの主要科目で乗りきるのか、苦手な科目があってどうしても国際関係を選択しなければならないのか、考えましょう。
地方公務員試験のばあいは必須回答なので、国際関係をさけることはできません。
でも、公務員試験は満点をとらなくても合格できる試験。
専門試験科目のうち、ほかに苦手な科目が複数なければ国際関係をすてても、ほかの科目で十分にカバー可能です。
もし勉強期間によゆうがあったり、主要科目をどれだけ勉強しても得点が伸びなかったりするばあいは、国際関係に取り組んで得点アップを目指してもいいでしょう。
ほかの専門試験科目がほとんど終わったら対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、おすすめ勉強順番はこちらです。
- 憲法
- 民法 or 行政法
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学
- 行政学 or 政治学
- 国際関係
- 刑法
多くのばあい、国際関係は勉強しなくても合格をねらうことができます。
それでも国際関係を勉強するときは、専門試験科目のなかで刑法(勉強するばあい)の前にとりくみましょう。
国際関係と刑法の出題数はどちらも同じ。
でも、国際関係はほかの科目と相乗効果がみこめるのでお得なんです。
刑法よりは国際関係を優先するのがおすすめです。
国際関係史の分野は教養試験科目の世界史や日本史とかぶりますし、国際関係の現代的課題を学べば時事問題対策になります。
ですが、まずは主要科目や単純な暗記科目をかんぺきにすることが大切ですよ。

国際関係の特徴がよくわかりましたね。
それではいよいよ、公務員試験の国際関係で高得点をとる勉強法を解説していきますよ。
公務員試験「国際関係」が得点できる勉強法!
理論的に難解な国際関係を勉強するとき、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょ
大切な3つのポイント
- 苦手意識をなくす!
- 体系を理解する!
- 勉強の範囲を広げすぎない!
POINT.1 苦手意識をなくす
世界史が苦手だったひとのなかには、国際関係と聞いただけで「難しそう、ぜったいむり」と拒否反応をしめすひともいます。
国際関係というワードから、範囲は世界にかんするあらゆることで、無限の広がりをもっていると考えがちです。
でも、公務員試験の国際関係は出題される分野やよく問われるポイントが決まっていますし、あまり広くもありません。
世界史や日本史が苦手でも、かならず得点できるようになりますよ。
勉強するときに、ばくぜんとした苦手意識は大きなしょうがいです。
「国際関係の範囲は決まっている」「満点をとる必要はない」と安心して、らくな気持ちでとりくみましょう。
POINT.2 体系を理解する
「国際関係は無限の広がりをもっているわけではない」とお伝えしました。
それでは国際関係はどんな体系になっているのか、を理解することが大切ですね。
ある分野の土台となる体系をおさえながら勉強しましょう。
たとえば国際関係史を学ぶときには、次のように近現代の世界の大きな流れをはじめに理解します。
【国際関係史】
- ウェストファリア体制の形成
- 第一次世界大戦の勃発とその後の世界体制
- 第二次世界大戦への道と終結、冷戦の開始
- 冷戦の展開と終結
- 冷戦後の世界
じっさいには「ウェストファリア体制の形成」などの項目をさらに分解して、もう少し具体的に体系を探る必要があります。
分野の全体像がはじめに分かると、「これだけ覚えれば終わりなんだ」とゴールがみえてやる気が出るし、勉強の計画も立てられます。
また、勉強している部分が全体のどこに位置するできごとなのかが分かり、問題演習にとりくむときの理解もスムーズで、知識が定着しやすくなるんです。
POINT.3 勉強の範囲を広げすぎない
勉強がすすむと、細かい知識が気になって専門書籍やネットで調べることが多くなってきます。
国家総合職を受験するばあいや、過去問題集を解くうえで必要な知識であれば問題ありません。
ですが、過去にほとんど問われないような点に時間をかけるのは、効率を大きく低下させてしまうので注意が必要です。
国際関係はやろうと思えばいくらでも広く深く勉強できる学問ですからね。
公務員試験は過去に問われた知識がかたちを変えてくり返し問われます。
過去問の演習で国際関係の土台を完ぺきにしたうえで、よゆうがあればその土台に肉づけするように知識をたくわえていきましょう。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【公務員試験 新スーパー過去問ゼミ 国際関係】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
参考書の特徴やおすすめする理由をくわしく知りたいときは、この記事を読んでくださいね。
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- スー過去をくり返し解く!
- 合格の500を解く!
勉強の効果をもっとも高める参考書の使い方を、くわしく知りたいときはこの記事を読んでくださいね。
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、国際関係の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「国際関係の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

これで国際関係の勉強法の解説は終わりです。おつかれ様でした。
国際関係はとても範囲が広くてたいへんなイメージがあります。
国家総合職をのぞけば、むりして勉強しなくても大丈夫な科目です。
でも、いちど勉強をはじめてみると「意外といける」ことが分かります。
ほかの科目との相乗効果もあるので、もしよゆうがあればとりくんでみましょう。
国際関係はなんだか難しいことばかり勉強するイメージが強くて、ほとんど対策しませんでした。