

全国各エリアから勤務地を選べる国税専門官は、人気の公務員試験です。
併願するひとも多く、受験者数は15,000人をこえます。
でも最初は、「国税専門官ってどんな試験?」「どんな勉強をしたらいいの?」と疑問に思いますよね。
国税専門官の試験内容や難易度、試験科目や学習のポイントをすべて解説します。
国税専門官の「仕事内容」
納税者から公平に納税を確保し、日本の財政基盤をささえる官庁が国税庁です。
国税庁のなかの国税局や税務署などで、国税専門官は税のスペシャリストとして活躍しています。
国税専門官とは「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」の総称です。
国税調査官
国税調査官の仕事は納税義務者である個人や会社を訪れて、適正な申告が行われているかどうか調査したり、申告にかんする指導をおこなうことです。
税務署の窓口対応や電話対応も仕事のひとつ。
ときには国税局の管轄内で1,2週間の出張にいくこともあります。
年度末にはものすごい数の確定申告者が税務署にやってくるので、1年でもっとも忙しい時期をむかえます。
国税徴収官
国税徴収官は、所得税、法人税、贈与税などの国税が定められた期限までに納付されないとき、督促や滞納処分を行います。
滞納者の家族構成や資産などを調査し、適切な納税プランを提案することも仕事です。
近年は悪質な滞納者が増えているので、国税徴収官には税法にのっとって冷静に措置をこうじることが強くもとめられています。
国税査察官
裁判所の令状のもと、悪質な脱税被疑者にたいして捜索や差押えなど強制捜査を行い、不正がみつかれば刑事告発することが国税査察官の仕事です。
通称「マルサ」とよばれ、テレビドラマで活躍を目にすることも多いですよね。
肉体的にも精神的にもタフな仕事ですが、それだけに不正をあばいたときの達成感はほかで味わえません。
国税専門官の「研修」
国税専門官は採用直後から、専門職としてふさわしい知識や技能を習得するため、充実した研修制度が用意されています。
- 【専門官基礎研修(3か月間)】:社会人としての良識や公務員としての自覚をみにつけるとともに、各税法や簿記など税務の仕事をしていくうえで必要な知識を習得
- 【実務経験(1年間)】:専門官基礎研修終了後、採用された国税局管内の税務署に配属
- 【専攻税法研修(2か月間)】:個人課税、資産課税、法人課税など専攻ごとに実務的な事項を習得
- 【実務経験(2年間)】:専攻税法研修終了後、税務署にて実務を経験
- 【専科研修(7か月間)】:個人課税、資産課税、法人課税および徴収の各専攻班に分かれ、各税法や簿記会計学などの科目を習得
国税専門官の「転勤/異動/昇任/年収」
国税専門官は「仙台国税局」「関東信越国税局」など全国に11ある国税局(沖縄県は国税事務所)に所属しています。
各国税局の管轄は周辺にあるいくつかの県にまたがり、そのエリアにあるたくさんの税務所のひとつで働くことが一般的です。
所属する国税局のエリア内で転勤の可能性があります。
ただ、転勤は本人の希望を考慮する傾向があり、住居からあまりにも離れた税務署にうつることはまれのようです。
国税専門官は「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」などに分かれます。
はじめ国税調査官として働いていたひとが国税徴収官に異動することもあれば、その逆もあります。
採用からしばらくは税務署で実務経験をつみます。
その後、努力しだいで税務署長や国税局の部課長へ昇任することも可能です。
公開されている採用初年度の給与例はこちら。
(東京都特別区内に勤務するばあいの平成29年4月1日の給与例)
大卒程度試験 |
---|
245,160円 |
国税専門官の「難易度/倍率」
国税専門官のほかにも、公務員にはいろいろな種類があります。
種類ごとに大卒程度試験の難易度をランキングにしました。
難易度は筆記試験や面接試験、採用人数などから総合的に判断しています。
- 国家総合職
- 国家一般職、国家専門職(国税専門官/財務専門官/労働基準監督官など)、国立大学法人等職員、裁判所職員
- 地方上級(県庁/政令指定都市)、東京都庁
- 東京都特別区(東京都23区)
- 市役所(政令指定都市をのぞく)、警察官/消防官
国税専門官の採用試験は、国家総合職についで難易度が高い試験です。
学歴が高くても関係なく落ちてしまう試験ですから、かんたんではありません。
試験の難易度は受験年度や、どの採用地を受験するかによって変わります。
難易度ランキングは参考ていどにとどめてくださいね。
国税専門官の倍率は下表のとおりです。
(平成29年度試験)
採用予定 | 申込 | 1次試験合格 | 最終合格 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
1,200 | 16.168 | 5,962 | 3,341 | 4.8 |
国税専門官の「試験種類」
国家公務員試験で多くのひとが受験する「大卒程度試験」のほかに、国家総合職には「院卒者試験」があり、国家一般職には「高卒者試験」があります。
いっぽう国税専門官には「大卒程度試験」ひとつしかありません。
「22~30歳まで(受験翌年4月1日時点の年齢)」が受験資格です。
国税専門官の「試験科目/配点」
国税専門官の試験は1次試験と2次試験に分かれています。
それぞれで課される試験種目や配点などはこちら。
大卒程度試験 | 試験科目 | 配点 | 時間 | 問題数 |
---|---|---|---|---|
1次試験 | 基礎能力試験 | 2/9 | 2時間20分 | 40問 |
専門試験(多肢選択式) | 3/9 | 2時間20分 | 40問 | |
専門試験(記述式) | 2/9 | 1時間20分 | 1題 | |
2次試験 | 人物試験 | 2/9 | ― | ― |
基礎能力試験、専門試験(多肢選択式と記述式)の配点を合わせると、ぜんたいの7/9をしめます。
筆記試験のウェイトは、人物試験(面接)にくらべてとても大きいですよね。
1次試験は基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)を合わせて合格者が決定されます。
専門試験(記述式)はふくまれないことに注意が必要です。
最終合格者は1次試験と2次試験をすべて総合して決定されます。
それでは、試験種目の内容を1つずつ確認していきましょう。
基礎能力試験
国税専門官の基礎能力試験は、よく「教養試験」とよばれるものと同じです。
ぜんぶで40問が出題されます。
各科目ごとの出題数は、
(平成29年度試験)
分野 | 科目 | 出題数 |
---|---|---|
一般知能 | 現代文 | 6 |
英文 | 5 | |
判断推理 | 8 | |
数的推理 | 5 | |
資料解釈 | 3 | |
一般知識 | 時事 | 3 |
法律 | 1 | |
政治 | 1 | |
経済 | 1 | |
物理 | 1 | |
化学 | 1 | |
地学 | 1 | |
日本史 | 1 | |
世界史 | 1 | |
地理 | 1 | |
思想 | 1 | |
合計 | 40 |
法律や物理などの一般知識分野にくらべて、現代文や判断推理といった一般知能分野のほうがはるかに出題数が多くなっています。
国家総合職とくらべると、現代文が2問多くて英文が2問少ない、資料解釈が1問多いなど特徴があります。
専門試験(多肢選択式)
国税専門官の専門試験の多肢選択式はマークシート方式です。
問題の難易度は国家総合職より低く、国家一般職と同じくらい。
回答が必須の問題と、任意で選択できる問題に分かれています。
全体の回答数は40問です。
出題数の内訳は、
科目 | 出題数 | 回答数 |
---|---|---|
民法/商法 | 8 | 2科目16問 必須回答 |
会計学 | 8 | |
憲法/行政法 | 6 | 9科目54問から 4科目24問を選択回答 |
経済学 | 6 | |
財政学 | 6 | |
経営学 | 6 | |
政治学/社会学/社会事情 | 6 | |
英語 | 6 | |
商業英語 | 6 | |
情報数学 | 6 | |
情報工学 | 6 | |
合計 | 70 | 40 |
会計学や商法など、ほかの試験ではめずらしい科目が登場することが特徴です。
専門試験(記述式)
専門試験の記述式は、マークシート方式の多肢選択式とちがって、設問に対して1,000文字ていどで論述回答する試験です。
たとえば経済学の出題例は、
外部性に関する次の問いに答えよ。必要であれば図を用いて説明してもよい。
- 金銭的外部性と技術的外部性について、以下の用語を用いて説明せよ。
用語:資源配分 - コースの定理について、以下の用語を用いて説明せよ。
用語:交渉、取引費用 - 企業Aが企業Bに外部不経済を与えている状況における、ピグー的課税による外部性の内部化について説明せよ。
出題数は、
科目 | 出題数 | 回答数 |
---|---|---|
憲法 | 1 | 5科目から 1科目選択回答 |
民法 | 1 | |
経済学 | 1 | |
会計学 | 1 | |
社会学 | 1 |
人物試験
国税専門官の人物試験とは面接のことです。
集団ではなく個別に面接がおこなわれます。
「コンピテンシー」とよばれる、成果に結びつく行動や能力をつかった面接方法を採用しています。
質問の中心は「そのときどう行動しましたか?」と、受験生の過去のエピソードから行動や結果を掘りさげること。
地方上級などにくらべて人物試験の配点が低いことも特徴です。
採用面接
国税専門官のばあい、試験で最終合格しただけでは採用になりません。
最終合格したあとに志望する国税局の面接を受けて、内定をもらう必要があります。
全国には11の国税局と1つの国税事務所があります。
国税局等 | 管轄都道府県 |
---|---|
札幌国税局 | 北海道 |
仙台国税局 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東信越国税局 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県 |
東京国税局 | 千葉県、東京都、神奈川県、山梨県 |
金沢国税局 | 富山県、石川県、福井県 |
名古屋国税局 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
大阪国税局 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
広島国税局 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
高松国税局 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
福岡国税局 | 福岡県、佐賀県、長崎県 |
熊本国税局 | 熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
沖縄国税事務所 | 沖縄県 |
日程によゆうがあれば、いくつかの国税局の採用面接を受けることが可能です。
採用面接は最終合格発表の翌日からスタートします。
採用面接では、その名のとおり面接がおこなわれます。
事前もしくはその場で「面接カード」を記入して提出し、それにそって進むのが一般的です。
面接初日にその場で内々定をもらうこともあれば、数日面接してからもらうこともあります。
国税専門官の「試験日程」
国税専門官の試験日程と採用までのながれはこちら。
(平成29年度実施試験の日程)
- 【受験案内】:2月1日~(ホームページに掲載)
- 【受験申込み】:3月31日~4月12日(インターネットから行う)
- 【第1次試験】:6月11日
- 【合格発表】:7月4日
- 【第2次試験】:7月12~19日
- 【最終合格発表】:8月23日
- 【採用面接】:8月24日~
- 【内定】:10月1日~
各国税局によって、業務説明会はずいじ開催されています。
国税専門官の「勉強スケジュール」
国税専門官の対策期間がだいたい1年間あるばあいのスケジュール例はこちら。
試験種目 | 月 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
9~12 | 1~3 | 4~6 | 7 | 8 | ||
基礎能力試験 | 一般知能 | ★ | ☆ | ☆ | ||
一般知識 | ☆ | ☆ | ||||
専門試験(多肢選択式) | ★ | ★ | ★ | |||
専門試験(記述式) | ★ | ★ | ||||
人物試験 | ☆ | ★ | ||||
採用面接 | ★ |
- 【★】:注力して取りくむ試験種目
- 【☆】:取りくむ試験種目
9~12月
試験勉強はまず基礎能力試験の「一般知能」と「専門試験の多肢選択式」からはじまります。
一般知能の科目は出題数がとても多く、毎日コツコツと問題を解きつづけることで得点力がみにつきます。
専門試験の択一式は記述式対策の土台になるので、早くから学習しておきましょう。
1~3月
年明けあたりからは「一般知識」と「専門試験の記述式」の対策もスタートです。
一般知識は出題数が少なく、範囲がとても広い科目ばかり。
専門試験の記述式と、3問が出題される一般知識の時事問題の学習に注力します。
4~6月
「人物試験」の対策は後回しになりがち。
人物試験は少し対策をすれば得点力がぐっと高まる、コストパフォーマンスのよい試験です。
専門試験の記述式対策に追い込みをかけながらも、公務員予備校の面接指導の予約が空いているうちに、人物試験対策を少しずつすすめておきましょう。
7~8月
1次試験が終われば2次試験(人物試験)対策に集中できます。
採用面接は2次試験から1ヶ月くらい後におこなわれます。
よゆうがあるので、対策はその間に取りくめば大丈夫です。
2次試験が終わる前でも、志望する国税局の業務説明会に参加することは忘れずに。
国税専門官の「基礎能力試験科目の学習法」
国税専門官の基礎能力試験の配点は2/9です。
40問が出題されます。
基礎能力試験は一般知能と一般知識にわかれます。
- 【一般知能】:現代文/英文、判断推理/数的推理/資料解釈
- 【一般知識】:時事、法律/政治/経済、物理/化学/生物/地学、日本史/世界史/地理/思想
出題数は一般知能のほうが圧倒的に多くなっています。
現代文/英文、判断推理/数的推理/資料解釈の学習を優先しましょう。
現代文/英文
「現代文」と「英文」の出題数を合わせると11問。
コツコツと学習をつみ重ねれば満点もねらえる科目なので、早いうちからしっかり取りくみましょう。
現代文は標準的な難易度の問題が多く出題されます。
時間をはかりながら過去問演習をくり返せば、対策は十分です。
英文は難易度が高い問題も登場します。
出題テーマがはば広く、なじみのない問題にそうぐうすることも。
国税専門官だけでなく国家総合職や国家一般職の過去問にも取りくんで、得点力を高めるのがおすすめです。
判断推理/数的推理/資料解釈
「判断推理」「数的推理」「資料解釈」の3科目で16問の出題数です。
基礎能力試験のなかでもっとも重要な科目なので、苦手にせず勉強する必要があります。
判断推理と数的推理の問題は、長文で内容も複雑化する傾向にあります。
図表をいくつか使わないと解けない問題がみられることも特徴です。
とつぜん力がつく科目ではないので、少しずつでも毎日継続して学習することが大切。
資料解釈は時間さえあれば正解できる科目です。
過去問演習をとおして、すばやく確実に解く練習をしておきましょう。
時事
過去2年くらいの出来事から出題されます。
頻出テーマは「財政」「社会保障」「環境」「エネルギー」「防災」。
細かなデータをすべて覚えるのは大変なので、数値が上がったか下がったかなど大まかな方向性をおさえるのが効率的です。
法律/政治/経済
法律はおもに憲法の人権や統治から出題されます。
まれに「国際法」「行政法」「労働法」などが問われることもあり、完ぺきな対策は難しいです。
専門試験の憲法の学習をすすめていきましょう。
政治の頻出テーマは「日本の選挙制度」「各国の政治制度」「国際機関」「中東戦争」など。
専門試験の政治学や国際関係の勉強でカバーできます。
経済は法律や政治とちがって、専門試験の経済学と内容がことなる問題が出題されます。
「日本や世界の経済事情」「財政や金融」「経済指標」「経済史」など出題分野は広め。
基礎能力試験の経済の過去問演習にしっかり取りくむ必要があります。
物理/化学/生物/地学
「物理」「化学」「生物」「地学」などから合計で3問が出題されます。
高校教科書の練習問題レベルなので、浅く広く学習するのがおすすめ。
物理は「力のつり合い」「物体の運動」「エネルギーと運動量」「電気回路」「電流と磁場」が頻出です。
原子の構造やエネルギーが出題される可能性もがるので、基本原理を理解しておきましょう。
化学と生物はテーマを横断した総合問題がよく登場します。
化学は「高分子化合物」「食品添加物」、生物は「生態系」「生物の多様性」などマイナーな分野の出題にも注意して、はば広い対策が必要です。
地学はわりと細かな知識が問われます。
中学理科の「大地の変化」というテーマから基礎をかためましょう。
日本史/世界史/地理/思想
日本史は通史やテーマ史からの出題がほとんど。
「文化」「対外交渉」「教育」「戦乱」「貿易」「通貨」などのテーマを確認しましょう。
世界史は出題範囲がとても広いです。
あまり時間はかけず、よゆうがあれば「絶対王政以降の西洋史」にしぼって対策するのがおすすめ。
難易度はあまり高くなく、明らかに誤りの選択肢が多いので基礎を知っていれば正解できます。
地理は高い難易度ではないですが、広い学習が必要になります。
さっと取りくむなら「地形」「気候」を選ぶのがおすすめ。
思想の出題内容はワンパターン。
「西洋近現代」「日本の近代思想」「諸子百家」「江戸時代の思想」について、有名思想家の主著やキーワードを整理しておけば正解できます。
国税専門官の「専門試験科目(多肢選択式)の学習法」
国税専門官の専門試験の配点は3/9、回答数は40問です。
「民法/商法」「会計学」あわせて16問は必須回答。
ほかに9科目64問(1科目はすべて6問)のなかから、4科目24問を選択して回答します。
民法/商法
民法は4問の出題、3大頻出テーマは「意思表示」「不動産物権変動」「抵当権」です。
頻出テーマから毎年くり返し出題されています。
ほかにも「制限行為能力者」「時効」「債権者代位権/詐害行為取消権」「売買」「婚姻」などの重要テーマをかためておけば、高い得点がとれるでしょう。
商法は2問の出題です。
これまでに出題のほとんどを「株式会社の機関」「株式」がしめているので、ほかの分野は思いきってすててしまうのがおすすめ。
会計学
出題の中心は「企業会計原則(一般原則)」と「財務諸表(資産/負債/純資産/収益/費用)」にかんすること。
範囲は広めです。
まずは簿記3級ていどの基礎知識をあたまにいれましょう。
その後に会計学の過去問演習にとりくみながら、簿記2級を学習すると効果的です。
憲法/行政法
憲法と行政法それぞれ3問ずつの出題です。
憲法の人権は「信教の自由」「経済的自由」が頻出テーマ。
統治機構は「国会」「内閣」「司法権」からバランスよく出題されています。
行政法の出題は「行政作用法」「行政事件訴訟法」「国家賠償法」がメインです。
どれも特定の判例から出題されています。
憲法と行政法は過去問演習が威力をはっきします。
判例の正確な理解に力をいれましょう。
経済学
ミクロ経済学とマクロ経済学から4問、経済事情2問から出題されます。
ミクロ経済学は「消費者理論」「生産者理論」「市場分析」から、マクロ経済学はすべての分野からまんべんなく出題されるのが一般的です。
標準的なレベルの問題が多く、計算問題も基本的な解法パターンで素直に解けます。
広い分野を効率よく学習しておきましょう。
経済事情はテーマが広範囲のわりに出題数が少ないので、学習効率がよくありません。
最新版の時事参考書をおさえるていどにとどめ、深入りしないことが大切です。
財政学
財政学は「財政事情」が最頻出テーマです。
のこりは広い分野から出題されています。
どれも基本問題が多いので、過去問と時事の対策にしっかり取りくみましょう。
経営学
経営学は難問がほとんどありません。
頻出分野の「経営学説」「経営戦略」「経営組織」「マーケティング」「日本の企業と経営」などをおさえましょう。
政治学/社会学/社会事情
政治学3問、社会学2問、社会事情1問が出題されます。
政治学は「政治制度」「政党」「デモクラシー理論」が頻出。
政治学いがいにも「行政学」や「国際関係」の知識が出題されることもあるので要注意。
社会学は出題の半分くらいを「社会学理論」がしめています。
学者名とキーワードをセットで覚えておきましょう。
社会事情は「労働事情」「税制」に出題が集中しています。
時事や財政学の学習とあわせれば効率が高まりますよ。
国税専門官の「専門試験(記述式)の学習法」
国税専門官の専門試験(記述式)の配点は2/9。
基礎能力試験の配点と同じです。
1時間20分の試験時間で1題の答案を作成します。
難易度はとても高めです。
問題文の内容を正しく理解し、必要な論点を適切な順番で構成し、制限時間内に論述しなければいけません。
対策のしづらさや難易度の高さから、受験生によって大きな差がつきやすい試験です。
対策のステップ
- 多肢選択式の学習をすすめる
- 主要分野ごとに論点、制度、条文などを整理する
- 主要テーマの答案をつくる
記述式の練習をする前に、まずは多肢選択式の導入テキストと過去問演習に取りくみ、基礎事項を理解して論述の土台をつくることが効果的です。
1つの分野がおわるたびに、論点や重要事項をノートにまとめておきます。
多肢選択式の学習があるていど身についたら、記述式の頻出テーマについて答案をつくってみましょう。
大変ですが、できるだけたくさんの答案を書きあげれば得点力はあがりますし、試験で同じようなテーマが出題される可能性がとても高くなります。
記述式の対策をすると理解がより深まるので、多肢選択式にも効果がありますよ。
答案作成のながれ
- 問題文をよく読む
- 答案の構成をつくる
- 答案を書く
いきなり答案を書きだすのはよくありません。
問題文をよく読んで、なにが問われているのかじっくり把握します。
次に答案の構成を考えましょう。
答案は全体の論理が一貫していなければならないため、はじめに設計図をつくっておく必要があるからです。
それから誤字脱字や文章のつながりに気をつけて答案を書きます。
最後の見直しを忘れずに。
国税専門官の「人物試験の対策法」
国税専門官の人物試験は面接のことで、その配点は2/9です。
一般論文試験よりも高く、基礎能力試験と同じ配点なので気は抜けません。
1次試験が終わってから1か月くらい後におこなわれます。
国税専門官の面接を突破するために必要なポイントは、次の4つです。
POINT.1 回答の構成を理解する
面接で質問されると「どんな話をしよう?」「どういう構成で伝えたらいいだろう」と、焦ってしまいますよね。
面接独特の空気のなかで、質問にすばやく的確に答えるのは難しいものです。
でも、評価の高い面接の回答の構成には決まりがあります。
この決まりを理解しておけば、本番でどう話したらいいか迷うことはありません。
落ち着いて自分をアピールすることができます。
面接官から高評価をもらう回答の構成を理解しましょう。
POINT.2 定番質問の回答をつくり、解答例と比べる
面接試験でよく問われる質問は決まっています。
下の記事で紹介している定番質問に対する回答を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。
用意した回答は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。
添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう。
解答例は平均的な回答として書いています。
自分の回答と比べると、改善するポイントが見えてくるはずですよ。
POINT.3 面接カードをていねいに作る
筆記試験を突破すると、面接カードとよばれる質問項目がならんだ用紙が配られます。
それに回答を書いて、面接時に持参するのが一般的です。
面接直前の控室で配られ、その場で記入するばあいもあります。
民間企業でいうエントリーシートのようなものです。
面接官は事前に面接カードを読み、面接の評価に加味をします。
じっさいの面接も提出されたカードにそって進行することが多いので、面接カードにどんな内容を書いておくかは、とても重要だと分かりますよね。
面接官から高評価をもらう面接カードの書き方を理解しましょう。
POINT.4 落ちる人の特徴を知る
せっかくがんばって筆記試験を突破したら、「面接はぜったい落ちたくない」と思いますよね。
面接に「受かりやすいひと」もいれば、ざんねんながら「落ちやすいひと」もいるんです。
落ちやすいひとには共通点があります。
こちらの記事をよく読んで、面接でこうなってしまわないよう注意しましょう。
あわせて対策法も解説するので、自覚があるひともきっと改善できますよ。
国税専門官の「採用面接の対策法」
最終合格したら、いよいよ採用面接にのぞみます。
採用面接の対策ポイントはこちら。
- 「各国税局の業務説明会」に参加する
- 「併願状況は?」「なぜここを志望するの?」「転勤は大丈夫?」の頻出質問に答える
「各国税局の業務説明会」に参加する
各国税局ではいろいろな時期に業務説明会やインターンシップがおこなわれています。
採用面接ではない業務説明会で、国税局は面接など採用行為を行うことはできません。
ですが、「採用面接の場で、業務説明会に参加したことがあるかどうか聞かれた」というケースが、受験生から多く報告されています。
国税局が独自に開催する説明会は情報収集としても役立つので、必ず参加するようにしましょう。
「併願状況は?」「なぜここを志望するの?」「転勤は大丈夫?」の頻出質問に答える
国税専門官を受験するひとは、ほかの試験を併願していることがよくありますよね。
採用面接では受験生の志望度をたしかめるために、「併願状況は?」「なぜここを志望するの?」と質問されます。
志望度が低いと判断されると採用されづらいので、気をつけましょう。
併願状況は一貫性のある併願先だけ答え、そのなかで訪問先が第一志望と伝えるのがおすすめです。
国税局の管轄エリアは広いため、国税専門官は転勤があります。
「転勤は大丈夫?」の質問には、もちろん前向きな姿勢を示すことが大切です。
国税専門官の「独学/予備校」
国税専門官を受験するひとの半分くらいは独学、のこりは公務員予備校にかよっています。
公務員予備校はお金がかかるので、どうしようか迷いますよね。
独学でも対策可能な試験種目
- 基礎能力試験
- 専門試験(多肢選択式)
国税専門官の基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)は、独学でも合格レベルまで得点力を高めることができます。
どちらの試験の科目も、質の高い導入テキストや過去問題集がそろっているからです。
難関大学合格者や勉強に自信があるひとなら、市販の参考書をつかってひたすら問題演習に取りくめば合格点をこえることは難しくありません。
予備校で対策したほうがいい試験種目
- 専門試験(記述式)
- 人物試験
国税専門官の専門試験(記述式)の難易度の高さはピカイチです。
多肢選択式の学習だけでは歯が立ちません。
人物試験(面接)は、本番の形式で模擬面接をなんどもくり返すことが合格への王道です。
面接カードも回答を作成し、専門的なスキルがあるひとに添削してもらう必要があります。
どれも独学で対策するのは厳しい試験種目です。
公務員予備校では、専門試験(記述式)について頻出テーマ分析や、答案作成、添削指導など万全の対策ができます。
面接練習のサポート体制や、先輩合格者の体験記などノウハウの蓄積も十分です。
国税専門官は難関の公務員試験。
よほど筆記試験に自信があったり、面接対策の環境を自前で用意できるひと以外は、公務員予備校をつかう方法がおすすめです。

おつかれ様でした。
国税専門官は「併願しようかな」と思った試験です。
どんな試験内容なのか気になります。