

日本史や世界史はいちど学んだことがあるひとは、基礎があるので勉強しやすいですよね。
はんたいに学生時代に選択しなかったひとは、「いまさらだと範囲が広すぎてむりだろう」と日本史と世界史をすててしまうことがあります。
でも公務員試験の日本史と世界史は、はじめてでも大丈夫。
事前の知識がなくても得点できるようになります。
この記事では、
- 日本史/世界史の出題分野と形式
- 日本史/世界史の頻出分野と難易度
- 日本史/世界史の効果的な勉強方法
- 日本史/世界史のおすすめ参考書
- 日本史/世界史の試験種類ごとの勉強ポイント
をすべて解説します。
日本史/世界史を得意科目にして、本番で高得点をめざしましょう!
公務員試験「日本史/世界史」を知ろう!
まずは、日本史/世界史がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
日本史/世界史のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
分野は4つ/5つ
日本史/世界史はそれぞれ4つ/5つの分野に分かれています。
- 【古代/中世】:縄文時代、弥生時代、古墳時代、律令国家、武家社会
- 【近世】:豊織政権、幕藩体制
- 【近代/現代】:明治時代、大正~昭和初期、第二次世界大戦前後
- 【テーマ別史】:文化史、仏教史、教育史、政治史、土地制度史、対外交渉史
- 【古代/中世】:古代文明、ローマ帝国分裂後のヨーロッパ
- 【近代】:ルネサンスと宗教改革、近代国家の形成、市民革命と産業革命
- 【現代】:帝国主義政策、第一次世界大戦前後、第二次世界大戦後
- 【アジア史】:中国王朝史、朝鮮半島王朝史、イスラム世界
- 【通史/テーマ史】:アメリカ史、イギリス史、税制、法典、戦争
出題数は少なめから標準的
教養試験で日本史/世界史はどれくらい出題されるのかというと、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
日本史の出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2~3 | 2 |
世界史の出題数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2~3 | 2~3 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 50 | 40 |
全体の出題数 | 40 | 40 | 40 | 44 | 50 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 必須 | 必須 | 選択 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
国家公務員試験や特別区では日本史/世界史ともに1問ていどの出題です。
特別区をのぞく地方公務員試験では、2~3問の出題。
教養試験科目の中心である数的処理や文章理解をのぞけば、標準的な出題数といえます。
出題形式は3つ
問題の出題形式は大きく3通りです。
- 【単純正誤問題】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【下線部正誤問題】:「下線部にかんする次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【資料問題】:「資料にかんする次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
すべての試験種で単純正誤問題が多くをしめます。
地方上級では下線部正誤問題や資料問題もよく出題されます。
国家公務員試験の問題は選択肢が長文で、細かな知識が必要になるので注意が必要です。
どんな出題形式であっても、問われる知識は同じです。
かわった問題が出ても落ち着いて対応しましょう。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、日本史/世界史の頻出分野と難易度を表にまとめました!
日本史 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
古代/中世 | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 | △ |
近世 | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 | △ |
近代/現代 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
テーマ史 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
世界史 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
古代/中世 | 〇 | △ | △ | △ | △ | △ |
近代 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ |
現代 | ◎ | 〇 | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
アジア史 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | 〇 |
通史/テーマ史 | △ | 〇 | △ | ― | 〇 | 〇 |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」の3つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
日本史/世界史ともに近代と現代からの出題が中心です。
時間がないばあいは、この分野を優先的に勉強しましょう。
はんたいに古代/中世の出題はあまり多くありません。
でも、この分野は覚える分量が少なくかんたんなので、勉強しておくのがおすすめです。
日本史はテーマ史が頻出分野です。
世界史のテーマ史はあまり出題がなく、決まったテーマがないので対策は難しめです。
よく出題される税制、法典、戦争などからおさえていきます。
通史はアメリカ史とイギリス史を覚えれば十分です。
世界史のアジア史もよく出る分野。
中国の歴代王朝やイスラム国家の勉強は必須ですよ。
難易度は?
国家公務員試験は全体的に難易度がやや高め。
とくに国家総合職はほかの試験より細かな知識が問われます。
地方公務員試験はおおむね標準的な難易度。
センター試験と同じくらいのレベルです。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- 近代/現代やテーマ史が頻出!
- 難易度は標準からやや高め!
勉強の方針
ここまでをふまえて、日本史/世界史の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 初めてでもすてずに勉強してみよう!
- 社会科学が終わったら対策する!
初めてでもすてずに勉強してみよう
公務員試験の日本史/世界史は頻出分野があり、問われる部分もあるていど決まっています。
高校の日本史/世界史にくらべれば、範囲はずっと限定的です。
これまで勉強したことがないひとでも、十分に得点できるようになります。
地方上級や市役所上/中級を受験するばあいは、日本史/世界史は合計4~6点です。
これは専門試験の主要法律科目と同じていどの出題数。
そして法律科目にくらべれば、日本史/世界史を合わせた勉強時間は短いくらいなんです。
「高校で習ってないからあきらめよう」と、すててしまうのはもったいない科目ですね。
社会科学が終わったら対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、教養試験のおすすめ勉強順番はこちらです。
- 数的推理/判断推理/資料解釈
- 文章理解:現代文/英語/古文
- 時事
- 社会科学:政治/経済/社会
- 人文科学:日本史/世界史、地理/思想/文学/芸術
- 自然科学:生物/地学、数学/物理/化学
日本史/世界史は暗記科目です。
理解が必要な自然科学より、勉強した分だけ安定して得点できるようになります。
社会科学の対策が終わったら、自然科学より先に日本史/世界史にとりかかりましょう。

日本史/世界史の特徴がよくわかりましたね。
それではいよいよ、公務員試験の日本史/世界史で高得点をとる勉強法を解説していきますよ。
公務員試験「日本史/世界史」が得点できる勉強法!
日本史/世界史を勉強するとき、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- 時代ごとに大きな流れをおさえる!
- できごとの因果関係を理解する!
- 勉強の範囲を広げすぎない!
POINT.1 時代ごとに大きな流れをおさえる
日本史/世界史はどちらもたくさんの時代のたくさんのできことを学ばないといけません。
1つずつ覚えるのは時間がかかるし、忘れてしまいやすくなります。
勉強の最大のコツは、細かな知識を暗記する前に、各時代の大まかなあらましを理解することです。
それを土台にして、できごとや知識を肉付けしていきましょう。
たとえば、
【中世ヨーロッパ】
- ゲルマン民族の大移動
- 西ローマ帝国の滅亡
- 封建制の確立
- 十字軍の遠征
- 封建制の崩壊
世界史の中世分野はこれをおさえれば十分です。
「意外とイケそうだな」と思いますよね。
POINT.2 できごとの因果関係を理解する
日本史/世界史の知識ををかんたんに覚えるコツはもう一つあります。
それはできごとの因果関係、つまり「なにが原因となったのか」「それからなにが生まれたのか」を理解することです。
できごとを1つずつ覚えるのではなく、いくつかを鎖のようにつなげて覚えます。
POINT.1の時代ごとに大きな流れをおさえることと同じように、いちど覚えると忘れにくくなるんです。
POINT.1はマクロ的な視点で、POINT.2はよりミクロ的な視点といえます。
たとえば、
【十字軍の遠征】
- 【背景】:イスラム勢力に脅かされた東ローマ皇帝が、ローマ教皇に協力を要請
- 【経過】:第1回「聖地エルサレム奪回成功」→第3回「奪回失敗」→第4回「経済的な利害を優先し、聖地ではなく東ローマ帝国の首都を制圧」
- 【結果】:「聖地奪回ならず。従軍した諸侯や騎士が没落し国王が台頭。貨幣経済が発達し荘園経済が崩壊。イタリア商人が力をつけルネサンスを生んだ」→「封建制の崩壊」
POINT.1で例にあげた十字軍の遠征と封建制の崩壊を、もっと細かくつなげて理解するわけですね。
POINT.3 勉強の範囲を広げすぎない
勉強がすすむと、細かい知識が気になって専門書籍やネットで調べたくなることがあります。
国家総合職を受験するばあいや、過去問題集を解くうえで必要な知識を調べるのであれば問題ありません。
ですが、過去にほとんど問われないような点に時間をかけるのは、効率を大きく低下させてしまうので注意が必要です。
日本史/世界史はやろうと思えばいくらでも広く深く勉強できる学問ですからね。
公務員試験は過去に問われた知識がかたちを変えてくり返し問われます。
過去問の演習で日本史/世界史の基礎知識は完ぺきにしたうえで、よゆうがあれば知識をたくわえていきましょう。
日本史ノート
公務員試験の日本史/世界史を勉強するときに大切なポイントがわかりましたか?
このポイントをおさえた学習ができるよう、「日本史ノート」をつくりました。
過去問演習をするときの「レジュメ」としてつかえるノートです。
ほしいひとは、こちらから見てくださいね。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【上・中級公務員試験 新・光速マスター 人文科学[日本史/世界史/地理/思想/文学・芸術]】:導入テキスト
- 【公務員試験 過去問 新クイックマスター 人文科学I(日本史・世界史)】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
参考書の特徴やおすすめする理由を知りたいときは、この記事を読んでくださいね。
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- 光速マスター
- クイックマスターをくり返し解く!
- 合格の500を解く!
勉強の効果をもっとも高める参考書の使い方を、くわしく知りたいときはこの記事を読んでくださいね。
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、日本史と世界史の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「日本史/世界史の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

これで日本史/世界史の勉強法の解説は終わりです。おつかれ様でした。
日本史/世界史はコツをおさえて勉強すれば、教養試験で得点源になります。
すてるのはもったいないですから、少しがんばってとりくんでみましょう。すぐに力がついてきますよ。
日本史と世界史はどっちも高校時代に勉強していたいので、公務員試験でも活かせました。