

この記事のとおりに答案が書ければ、合格点は十分にねらえるはずです。
さらに高い得点を目指すときには、これから解説するコツが役立ちます。
コツといっても難しいものではありません。
文章を書くときの心がけのようなものです。
これを心がけて文章を書くようになると、数多くあるライバルの答案から抜け出し採点者の目にとまる論文になりますよ。
公務員試験【論文】コツ1.「短く言い切る!」
どことなく素人っぽい文章から、一気に「うまい」と思われる論文の文章にレベルアップするコツはなんでしょう?
答えは「短く言い切る」ことです。
接続詞を使ったり、「~であり、~だが、~」のようにして長々と言葉を続けると、論文にリズムがなくなります。
長い文章はそれだけで読みにくいですし、主語と述語が対応しなくなるミスをおかす危険が高くなるんです。
1つの文は1つの主語と述語が基本です。
文章を短くすると、明快で説得力ある印象になります。
短い文を1つずつ積み重ねるような気持ちで、論文を書いていきましょう。
- 【長すぎる文章】:
原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられ、バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化によって、企業は非正規雇用を増やし人件費を節減する必要に迫られており、他にも、柔軟な働き方を求めて自ら非正規雇用を望む労働者が増加したことが一因と考えられる。 - 【短く言い切る文章】:
原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられる。バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化によって、企業は非正規雇用を増やし人件費を節減する必要に迫られているのだ。他にも、柔軟な働き方を求めて自ら非正規雇用を望む労働者が増加したことが一因と考えられる。
公務員試験【論文】コツ3.「文章のつながりを作る!」
うまい文章を書くコツはもう1つあります。
それは「文章のつながりを作る」こと。
こちらの記事で、論文はいくつかの構成から成り立っているとお伝えしました。
構成同士を独立させるのではなく、自然なつながりをもたせることが大切です。
内容はよいことを書いていても、構成につながりがないと論理性にとぼしくなります。
各構成がぶつぶつとこま切れになっている印象です。
構成が論理的につながっていれば、説得力が増し、採点者もストレスなく読みすすむことができますよね。
具体的には各構成のはじめに、「問題提起の言葉を置く」のがもっとも簡単です。
- 【構成が独立している文章】:
近年わが国では非正規労働者の数が増加しており、大きな問題となっている。非正規労働者とは、・・・
企業の雇用慣行が変化していることが原因の一つとして挙げられる。バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化により、・・・
今後、深刻化している少子化に拍車がかかることが予想される。正規労働者に比べて非正規労働者の賃金は低いため、・・・
本人が望まない非正規雇用の増大を食い止めるため、行政は求職者と企業のミスマッチを解消する必要があると考える。なぜなら・・・ - 【構成がつながっている文章】:
近年わが国では非正規労働者の数が増加しており、大きな問題となっている。非正規労働者とは、・・・
その数が増加している背景には何があるのか。原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられる。バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化により、・・・
正規雇用を望んでいながら非正規雇用から抜け出せない労働者の増加を放置すれば、今後どんな影響が生じるだろうか。一つとして、深刻化している少子化に拍車がかかることが挙げられる。正規労働者に比べて非正規労働者の賃金は低いため、・・・
それでは、本人が望まない非正規雇用の増大を食い止めるため、行政はどんな取り組みを行う必要があるだろうか。私は、求職者と企業のミスマッチを解消することであると考える。なぜなら・・・
公務員試験【論文】コツ4.「見た目に気を配る!」
論文はもちろん内容がいちばん大事です。
でも、文章の「見た目」も重要なポイント。
見た目がいい文章は採点者に好印象をあたえるので、全体的に評価が高まります。
文字をていねいに書くことは基本です。
「文字が下手でしょうがない」というひとは、上手く書こうとせず、あくまでもていねいな文字を心がけましょう。
ていねいに書いた文字は誰が読んでもわかるものです。
ほかには次の3つのポイントを意識するといいですよ。
文末を変える
文末表現の同じ文がなんども続くと、稚拙な印象になりがちです。
できれば同じ文末表現は2回続けず、それが難しいときは3回以上くり返さないように気をつけましょう。
- 【文末が同じ文章】:
原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられる。バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化により、企業は非正規雇用を増やし人件費を節減する必要に迫られていると考えられる。他にも、柔軟な働き方を求めて自ら非正規雇用を望む労働者が増加したことが一因として挙げられる。 - 【文末を変えた文章】:
原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられる。バブル崩壊以降長引く不況や国際競争の激化により、企業は非正規雇用を増やし人件費を節減する必要に迫られているのだ。他にも、柔軟な働き方を求めて自ら非正規雇用を望む労働者が増加したことが一因であろう。
漢字を開く
論文の文章は漢字を使うのが基本です。
ただし、あれもこれもすべて漢字にしてしまうと、ごちゃごちゃと読みにくい文章になってしまいます。
漢字本来の意味からはなれた言葉は、ひらがなで書きましょう。
すっきりとして読みやすい答案になりますよ。
- 【事⇒こと】:原因の一つに、企業の雇用慣行が変化していることが挙げられる。
- 【所⇒ところ】:円滑なコミュニケーションが図られていなかったところに、要因がある。
- 【見る⇒みる】:施策を実施してみると、次の成果が得られたとされている。
- 【言う⇒いう】:「まちづくり未来会議」というワークショップが開催された。
- 【良く⇒よく】:地域活性化の担い手をいかに見つけ育成するかが、よく議題になる。
「 」を使う
大事な言葉やコンセプト、単語の列挙には積極的に「 」を使いましょう。
文章にメリハリが生まれ、「こなれ感」を出してくれます。
「 」内の最後の文末は句点「。」を省略できるので、削ってスッキリさせるのがおすすめです。
単語を列挙するとき、「 」と「 」の間に読点「、」を打つ必要はありません。
- 「公務員の使命は最小のコストで最大の成果を得ることである」と、インターンシップで教わった。
- 循環型社会とは、「大量消費」「大量生産」「大量廃棄」型の社会システムから脱却し、・・・
公務員試験【論文】コツ4.「当事者意識をもって文章を書く!」
採点者から好感をもたれるような文章を書くよう、心がけましょう。
論文ではときに、出題テーマに対する行政の現状や施策について記述するばあいがあります。
このとき行政の批判ばかりになってしまうと、印象はよくありません。
いろいろな課題はあるけれど、どうすれば改善できるのか前向きな意見を書くことが大切です。
論文も将来の公務員を選ぶための試験です。
受験者がたんなる批評家ではなく、当事者意識をもっているかどうか採点者はチェックしています。
行政を批判するだけの答案はよくありませんし、はんたいに賛美ばかりの答案にもならないようバランスを考えて書きましょう。
公務員試験【論文】コツ5.「時間配分を決める!」
試験本番の時間配分をあらかじめ決めておくことが大切。
構成を考えるのに時間をかけすぎて、文章が書き終わらなかったり見直す時間がなくなると、大変ですからね。
時間配分を決めるには、文章を書くスピードを知る必要があります。
原稿用紙をつかい時間をはかって、論文を書きましょう。
書いてから文字数を数えれば、「何分で何文字を書けるのか」が分かりますね。
このとき、構成を考えたり見直したりする時間は、文章をじっさいに書いている時間に含めないよう注意が必要です。
ていねいに文字を書く平均的なスピードは「1分間で20文字」といわれています。
見直しの時間を10分ていどとすれば、時間配分の目安はこちらです。
試験時間/文字数 | 構成 | 記述 | 見直し |
---|---|---|---|
60分/800字 | 10分 | 40分 | 10分 |
90分/1,200字 | 15分 | 65分 | 10分 |

この記事のまとめです。
- 【短く言い切る】:1文は1つの主語と述語を基本にして、短い文章を心がける
- 【文章のつながりを作る】:構成のはじめに問題提起の言葉を置いて、各構成を自然につなげる
- 【見た目に気を配る】:「文末表現を変える」「漢字を開く」、そして「 」を使う
- 【当事者意識をもって文章を書く】:批評家にならず、好感がもてる前向きな姿勢を示す
- 【時間配分を決める】:文字を書くスピードを知り、本番での時間配分を確認する
練習として何度か論文の答案を書くと、文章を書くこと自体には慣れてきます。
でも添削の点数がなかなか伸びなくて、自分でも「上達してる」と感じられるようになるまで、ずいぶん時間がかかりました。