

公務委員試験では論文が課されるばあいがよくあります。
教養試験や専門試験などの筆記試験とちがって、「論文はなにを勉強したらいいんだろう」「どうしたら得点が高くなるのか分からない」と疑問に思いますよね。
勉強の仕方が明確な筆記試験より、対策も不十分になりがちです。
でも、論文は筆記試験や面接と同じくらい重要で、合否に影響する試験なんです。
まずは論文という試験のことをよく知って、次に論文で高い得点をとるために大切な採点基準をおさえていきましょう。
公務員試験「論文」の概要!
論文が出題される公務員試験がどのくらい多いのか、配点はどれだけ高いのかをみていきますよ。
それから論文の出題形式や出題テーマを確認しましょう。
出題する試験はとても多く、配点も低くない
試験種ごとの出題有無
試験種ごとに論文がどれだけ出題されているのかをまとめました(平成29年度受験案内より作成)。
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
論文の出題 | ◎ | ◎ | ― | ◎ | ◎ | ○ |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
【論文の出題】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「―:近年出題がない」の3つに分類しています。
表のとおり、ほとんどの試験で論文が出題されていますね。
国家専門職をのぞく国家公務員試験や東京都特別区では毎年の出題。
地方上級ではごく一部の自治体をのぞいてすべて出題されるので、こちらも頻出です。
市役所上/中級では、地方上級ほどではありませんが、多くの自治体で論文が課されます。
近年は筆記試験だけでなく、論文や面接などを重視する自治体が増えていて、今年の出題はなかったとしてもこれから出題されることは十分考えられるので、注意が必要です。
論文の配点
多くの試験で登場する論文。配点はどれくらいでしょうか。
試験の配点を公開している国家公務員試験や自治体を、抜粋してまとめました(平成29年度受験案内より作成)。
教養試験 | 専門試験 | 論文 | 面接/集団討論 | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
国家総合職 | 2/15 | 3/15 | 2/15 | 3/15 | 5/15(専門記述式試験) | |
国家一般職 | 2/9 | 4/9 | 1/9 | 2/9 | ||
地方上級 | 青森県 | 1/6 | 1/6 | 1/6 | 3/6 | |
宮城県 | 1/6 | 1/6 | 1/6 | 3/6 | ||
埼玉県 | 1/7 | 1/7 | 1/7 | 4/7 |
国家公務員試験をのぞけば、論文の配点はおおむね教養試験や専門試験と同じくらいのところが多いですね。
東京都特別区は配点を公開していませんが、教養試験:専門試験:論文の配点比率は「1:1:1~3」ともうわさされています。
公務員試験において論文の配点が低いとは、決していえませんよね。
※細かい試験区分などは割愛していますので、受験先の案内をご確認ください。
出題形式はだいたいお決まり
さまざまな試験で課される論文ですが、その出題形式はだいたい同じです。
- 【制限時間】:60分~90分が標準
- 【文字数】:800文字~1,200文字が標準
- 【テーマ】:1つまたは複数提示される。複数の場合は1つを選んで回答
多くの試験では、60分で800文字、90分で1,200文字くらいを目安に出題されるのが一般的です。
文字数は「○○○文字程度」「○○○文字以上~○○○文字以内」などのパターンがあります。
とくに以上や以内の制限は必ず守らないと、それだけで不合格になる可能性があるので注意が必要です。
テーマは1つまたは複数提示されるので、複数のばあいは回答しやすい方を選びましょう。
また文章で示されるのテーマが一般的ですが、図表とともに示されるばあいもあります。
文章で示されたときもそうですが、図表が示されたときは出題者の意図をくんで回答することがとくに大切です。
出題テーマはさまざま
出題形式は似たりよったりの論文ですが、出題テーマはいろいろなものが出題されています。
少しだけ過去のテーマをみると、このとおりです。
- 県職員として、どのような姿勢で仕事に臨むべきか、あなたの考えを述べなさい。(青森県,平成25年)
- 都市の機能を維持しながら、誰もが暮らしやすい都市環境の創出をさらに推進していくために、都は今後どのような取り組みを行うべきか、あなたの考えを述べなさい。(東京都,平成25年)
- 人口減少によって生じる課題を挙げ、それを解消するために県としてどのような取り組みを行うべきか、あなたの考えを述べなさい。(広島県,平成26年)
公務員試験「論文」の採点基準!
多くの試験で出題されていて、配点もあなどれない論文試験。
どんな基準で採点されるのか、とても気になりますよね。
大きく形式面と内容面の2つに分かれるので、順番に確認していきましょう。
形式面の採点基準
形式面の採点とは、「論文が正しい文章で記述されているかどうか」を評価することです。
「日本語に間違いがないか」といってもいいでしょう。
なので、基本的に採点は減点方式です。
具体的な採点項目はこのようになっています。
- 【漢字/仮名使い】:漢字、送り仮名、仮名使いが正しいこと。略語や話し言葉がないこと
- 【解答用紙】:原稿用紙の使い方が正しいこと
- 【文字】:文字がていねいに書かれていること。文章が読みやすいこと
- 【文法】:主語と述語、目的語、接続詞、修飾語、句読点の使い方が正しいこと
- 【文体】:文体表現(~です。~ます。/~である。~だ。)が統一されていること
たとえば誤字脱字があれば、その部分について「1点減点」されるというぐあいですね。
ていねいな文字と正しい日本語で文章を書いて、なるべく減点を少なくすることが大切です。
内容面の採点基準
内容面の採点とは、「論文の論述はどれだけ優れているか」を評価することです。
形式面とはちがって加点方式で採点されます。
具体的な採点項目は各自治体でことなりますが、おおむねこのようになっています。
- 【問題把握】:課題の意図を正しく認識し、その問いに答えていること
- 【論理性】:文章が論理的に構成されていること
- 【独自性】:独創的な着眼点から内容を論述していること
- 【表現力】:文章がわかりやすく、正確に書かれていること
各項目は満点時の点数が割りふられたうえで、論文の良し悪しで3段階や5段階に分けられています。
形式面とちがって、内容面は主観的な評価になりがちです。
複数の評価者が採点し、その平均を得点にする方法がよく使われます。
最後に形式面と内容面の採点例を示しますね。
受験番号 | 合計点 (満点:100) |
内容面 | 形式面 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
問題把握 (配点:30) [1,2,3,4,5]×6 |
論理性 (配点:30) [1,2,3,4,5]×6 |
独自性 (配点:20) [1,2,3,4,5]×4 |
表現力 (配点:20) [1,2,3,4,5]×4 |
|||
001 | 58 | [4]×6=24 | [3]×6=18 | [3]×4=12 | [2]×4=8 | ー4 |

これで「論文の概要と採点基準」の解説はおしまいです。おつかれ様でした。
この記事のまとめです。
- 論文は公務員試験で出題されることが多く、配点もけっして低くない。
- 論文の出題形式は決まっているが、出題テーマはさまざま。
- 論文の採点基準は「正しい日本語で書かれていること」「論述の内容が優れていること」
筆記試験の勉強はがんばっていたけど、論文はいまいちどう対策していいか分かりませんでした。