【裁判所職員】採用試験の合格法を解説!

ハチミツちゃん

裁判所職員って、裁判官とはちがう人たちですよね。

どんな試験で採用されるのかな?

わんこ先生

裁判所職員は人気の公務員試験です。
併願先のひとつに選ぶひとも多くいます。

でも最初は、「裁判所職員ってどんな試験?」「どんな勉強をしたらいいの?」と疑問に思いますよね。

裁判所職員の試験内容や難易度、試験科目や学習のポイントをすべて解説します

 

 

裁判所職員の「仕事内容」

裁判所と聞くと、裁判官や法廷のことにばかり意識が向いてしまいますよね。

でも、裁判所で働いているのは裁判官だけではありません。
裁判実務を支えるスペシャリストとして、次のような職種の職員がいろいろなフィールドで活躍しています。

  • 裁判所書記官
  • 裁判所事務官
  • 家庭裁判所調査官

日々、裁判所に持ちこまれる事件の背景には、どれもちがった人間模様があります。

裁判は法律を機械的に適用する無機質なものではないんです。

ときに現場へ出て話を聞き、当事者が納得できる解決法を探る。
熱い情熱をもった多くの職員が裁判を支えています。

裁判所書記官

裁判所事務官は「裁判所書記官養成課程」を修了すると、裁判所書記官に任官されます

裁判所書記官は法律の専門家として特別な権限があたえられ、おもに次のような業務をおこないます。

  • 法廷立会い
  • 調書作成
  • 訴訟事項の証明
  • 執行文の付与
  • 支払い督促の発行

裁判所書記官は裁判の進行管理事務の中心です
適正で迅速な審理の実現にむけて、裁判官や裁判所事務官、検察官、弁護人と連携して準備をととのえます。

裁判所事務官

裁判所事務官になるには、採用試験に合格しなければいけません

裁判所事務官は各裁判所の裁判部門や司法行政部門で働きます。

  • 【裁判部門】:各種の事件を裁判官が審理し裁判する部門
  • 【司法行政部門】:人や設備などの面で裁判部を支援する部門

裁判部門では裁判所書記官のもと、裁判事務をおこない裁判所書記官をサポートすることが仕事です。
司法行政部門では総務課や会計課などで司法行政事務に従事します。

一定のあいだ実務経験をかさねると、裁判所書記官養成課程に入るための試験を受けることができます
試験に合格して養成課程を修了すると裁判所書記官になり、業務のはばが広がるので、それを目指している裁判所事務官は少なくありません。

家庭裁判所調査官

「家庭裁判所調査官補」の採用試験に合格し、そのあと養成課程を修了すると家庭裁判所調査官として任官されます

家庭内紛争の解決や非行少年の立ち直りにむけた調査をおこなうのが、家庭裁判所調査官の仕事です。

大まかな業務のながれはこちらのとおり。

  1. 【面談】:当事者から話を聞いて調査するとともに、行動科学の知見から必要な働きかけをおこなう
  2. 【報告書作成】:調査でえられた事実を分析し、意見をつけて報告書を作成する
  3. 【カンファレンス】:裁判官や裁判所書記官、裁判所事務官とチームと組み、調査結果を伝える
  4. 【立会い】:審判に立ち会ったり、調停委員会の進行をサポートする

 

裁判所職員の「異動/昇任/年収」

裁判所職員の異動は、裁判所事務官と家庭裁判所調査官でちがいがあります

昇任は学歴や採用年次にとらわれず、選考によってステップアップしていく仕組みです。

昇任するにしたがって、もちろん給与も増えます。
年齢ごとの平均的な年収は、大手企業の社員と同じか少しおよばないくらいのようです。

公開されている採用初年度の給与例はこちら。
(東京都特別区内に勤務するばあいの平成29年4月1日の給与例)

裁判所事務官 総合職 院卒者区分 251,280円
大卒程度区分 219,240円
一般職 大卒程度区分 213,840円
高卒者区分 175,320円
家庭裁判所調査官補 総合職 院卒者区分 251,280円
大卒程度区分 219,240円

 

裁判所事務官

裁判所事務官の異動範囲は、所属している裁判所を管轄する高等裁判所の管轄区域内。
採用された裁判所の所在する都道府県での異動がふつうですが、役職が上がると都道府県をまたいで行われやすくなります

裁判所事務官のばあい、裁判部門と司法行政部門のあいだで異動や昇任がおこなわれます。
異動のローテーションは3年が目安です。

裁判所職員の裁判部門での昇任イメージは、

  1. 裁判所事務官
  2. 裁判所書記官
  3. 主任書記官
  4. 次席書記官
  5. 主席書記官

司法行政部門に異動したときの昇任イメージは、

  1. 係長
  2. 課長補佐
  3. 課長
  4. 事務局次長
  5. 事務局長

家庭裁判所調査官補

家庭裁判所調査官補の異動は全国が対象です
欠員状況や本人の希望をもとに全国の家庭裁判所のなかから決定されます。

家庭裁判所調査官補の昇任イメージは、

  1. 家庭裁判所調査官補
  2. 家庭裁判所調査官
  3. 次席家庭裁判所調査官
  4. 主席家庭裁判所調査官

 

裁判所職員の「研修」

裁判所事務官

裁判所事務官として採用されると、所属庁での実務修習や研修所での合同研修などいろいろな研修をうけて、専門職として必要な知識をやしないます。

一定の期間が経過すると、裁判所書記官養成課程に入るための試験を受けることができます。
試験を受けて合格すると1~2年のあいだ研修を受け、修了すれば裁判所書記官に任官されます

  1. 【フレッシュセミナー(新採4月)】:裁判所職員として当面必要な知識を習得
  2. 【フォローアップセミナー(翌年2~3月)】:採用1年目の仕上げとして、それまで習得した内容を確認
  3. 【研修所入所試験】:裁判所書記官養成課程に入るための試験
  4. 【裁判所書記官養成課程】:1~2年の研修所での合同研修と所属庁での実務修習を経て、裁判所書記官を任官

家庭裁判所調査官補

家庭裁判所調査官補は採用直後から、「家庭裁判所調査官養成課程」にはいります

研修所での合同研修や所属庁での実務修習によって、執務に必要な法律知識や行動科学の知見/技法を段階的に習得していきます。

  1. 【実務修習(1か月)】:導入
  2. 【前期合同研修(3か月)】:基礎
  3. 【実務修習(13か月)】:実践
  4. 【合同研修(6か月)】:仕上げ

約2年間の養成課程を修了すると、家庭裁判所調査官に任官されます。

裁判所職員の試験には法律科目や心理系科目が多く登場します。

ですが、専門的な知識を細かく問うわけではありません。
専門の学部出身ではなくても、しっかり学習すれば試験をのりこえることは可能です。

裁判所職員は研修制度がとても充実しているので、専門家として必要な知識や技法は採用後に身につけられることも安心ですね。

 

裁判所職員の「試験種類/受験資格」

裁判所事務官と家庭裁判所調査官補の試験区分は、ぜんぶで6つあります。

1 裁判所事務官 総合職 院卒者区分
2 大卒程度区分
3 一般職 大卒程度区分
4 高卒者区分
5 家庭裁判所調査官補 総合職 院卒者区分
6 大卒程度区分 
  • 【総合職】:政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかをを重視して行う試験
  • 【一般職】:的確な事務処理に係る能力を有するかどうかを重視して行う試験

裁判所事務官には総合職と一般職の2つがあります。
どちらで採用されても職務内容やその後の昇任が大きくかわるわけでありません。

総合職で採用されると、採用初年度にかぎり裁判所書記官養成課程にはいるための試験について、筆記試験の免除または一部免除という特権があたえられます。

裁判所職員の受験資格は、

  • 【院卒者区分】:30歳まで(受験翌年4月1日時点の年齢)かつ、大学院修士課程(または専門職大学院)を修了
  • 【大卒程度区分】:22~30歳まで(受験翌年4月1日時点の年齢)

大卒程度区分に学歴要件はありません。
じっさいに大学を卒業していなくても受験することができます。

ただ、院卒者が大卒程度区分を受験することはできません。
大卒者が高卒区分を受験することもひかえましょう。

 

裁判所職員の「難易度/倍率」

裁判所職員のほかにも、公務員にはいろいろな種類があります。

種類ごとに大卒程度試験の難易度をランキングにしました。
難易度は筆記試験や面接試験、採用人数などから総合的に判断しています。

  1. 国家総合職
  2. 国家一般職、国家専門職(国税専門官/財務専門官/労働基準監督官など)、国立大学法人等職員、裁判所職員
  3. 地方上級(県庁/政令指定都市)、東京都庁
  4. 東京都特別区(東京都23区)
  5. 市役所(政令指定都市をのぞく)、警察官/消防官

裁判所職員の採用試験は、国家総合職についで難易度が高い試験です

学歴が高くても関係なく落ちてしまう試験ですから、かんたんではありません。

試験の難易度は受験年度や、どの試験区分を受験するかによって変わります。

難易度ランキングは参考ていどにとどめてくださいね。

裁判所事務官と家庭裁判所調査官補の倍率はこのとおりです。
(平成29年度試験)

上の「試験種類」で示した表の番号と対応しています。

  受験者 1次合格者 2次合格者 最終合格者 倍率
1 171 93 24 13 13.2
2 411 133 25 15 27.4
3 8,469 2,816 961 8.8
4 3,174 335 95 33.4
5 138 64 14 9.9
6 413 190 42 9.8

裁判所事務官の総合職(番号1,2)は倍率がとても高く、たいへんな人気です。

裁判所事務官の一般職(番号3,4)や家庭裁判所調査官補(番号5,6)も倍率は高く、どれも難関の試験といえます。

ここからは裁判所職員の試験種のなかで、大卒程度区分について解説していきますね。

 

裁判所職員の「勤務地」

裁判所事務官を受験するばあい、勤務地を選ぶことができます

1次試験は現在の住所にちかい試験地など都合のいい場所を選択できます。
2次試験の人物試験を受ける試験地だけは、希望する勤務地を管轄する高等裁判所の管轄区域内にある試験地を選ぶ必要があるので、注意が必要です。

高等裁判所 勤務地
東京高等裁判所 東京都
神奈川県
埼玉県
千葉県
茨城県
栃木県
群馬県
静岡県
山梨県
長野県
新潟県
大阪高等裁判所 大阪府
京都府
兵庫県
奈良県
滋賀県
和歌山県
名古屋高等裁判所 愛知県
三重県
岐阜県
福井県
石川県
富山県
広島高等裁判所 広島県
山口県
岡山県
鳥取県
島根県
福岡県高等裁判所 福岡県
佐賀県
長崎県
大分県
熊本県
鹿児島県
宮崎県
沖縄県
仙台高等裁判所 宮城県
福島県
山形県
岩手県
秋田県
青森県
札幌高等裁判所 北海道
高松高等裁判所 香川県
徳島県
高知県
愛媛県

必ずしも希望の勤務地に採用されるわけではないことを、あらかじめ覚えておきましょう。

 

裁判所職員の「試験日程」

  1. 【受験案内】:2月下旬~
  2. 【受験申込み】:4月3日~
  3. 【1次試験】:5月14日
  4. 【合格発表】:6月1日
  5. 【2次試験(筆記試験)】:6月10日(総合職)、5月14日(一般職は1次試験と同日)
  6. 【2次試験(人物試験)】:6月13日~
  7. 【合格発表】:7月7日(裁判所事務官総合職のみ)
  8. 【3次試験】:7月18日~(裁判所事務官総合職のみ)
  9. 【最終合格発表】:8月4日(裁判所事務官)、7月14日(家庭裁判所調査官補)

 

裁判所職員の「試験科目/配点」

裁判所事務官

裁判所事務官(総合職,大卒程度区分)の試験種目と配点などはこちら。

  試験種目 配点 時間 回答数
1次試験 基礎能力試験 2/15 3時間 40問
専門試験(多肢選択式) 2/15 1時間30分 30問
2次試験 専門試験(記述式) 4/15 3時間 3題
政策論文試験 1/15 1時間30分 1題
人物試験(面接)
3次試験 人物試験(面接/集団討論) 6/15

試験種目はとても多いことが特徴です。
2次試験の人物試験の結果は、2次試験の合否判定だけにつかわれ、最終合格者を決定するときには加味されません。

裁判所事務官(一般職,大卒程度区分)の試験種目と配点などはこちら。

  試験種目 配点 時間 回答数
1次試験 基礎能力試験 2/15 3時間 40問
専門試験(多肢選択式) 2/10 1時間30分 30問
2次試験 専門試験(記述式) 1/10 1時間 1題
論文試験 1/10 1時間30分 1題
人物試験(面接) 4/10

基礎能力試験や専門試験(多肢選択式)の問題は、総合職と共通です
専門試験(記述式)も回答数はちがいますが、問題は同じ。

家庭裁判所調査官補

家庭裁判所調査官補(総合職,大卒程度区分)の試験種目と配点などはこちら。

  試験種目 配点 時間 回答数
1次試験 基礎能力試験 2/15 3時間 40問
専門試験(記述式) 3/15 1時間30分 3題
2次試験 専門試験(記述式) 3/15 2時間 2題
政策論文試験 1/15 1時間30分 1題
人物試験(面接/集団討論) 6/15

1次試験と2次試験どちらも専門試験(記述式)が課されます。
基礎能力試験と政策論文試験は、裁判所事務官(総合職,大卒程度区分)の問題と共通です

院卒者区分も大卒程度区分と同じ試験種目については、共通の問題が出題されます。

院卒者区分を受験するひとも、記事の続きを参考にしてみてください。

基礎能力試験

裁判所職員の基礎能力試験は、よく「教養試験」とよばれるものと同じです。

各科目からぜんぶで40問が出題されます。
裁判所事務官と家庭裁判所調査官補どちらの試験も、問題の内容は共通です

基礎能力試験は「一般知能」と「一般知識」の科目にわかれます。

  • 【一般知能】:現代文、英文、判断推理、数的推理、資料解釈あわせて27問出題
  • 【一般知識】:社会科学、人文科学、自然科学あわせて13問出題

各科目ごとの出題数は、
(平成29年度試験)

科目 出題数
現代文 5
英文 5
判断推理 10
数的推理 6
資料解釈 1
社会科学 政治 2
経済 2
法律 1
人文科学 日本史 1
世界史 1
地理 1
思想 1
自然科学 物理 1
化学 1
生物 1
地学 1
合計 40

専門試験(多肢選択式)

裁判所職員の専門試験(多肢選択式)はマークシート方式です。

家庭裁判所調査官補では課されず、裁判所事務官でのみ課されます
総合職と一般職どちらも問題は共通です。

憲法と民法は必須回答。
そのほか刑法または経済理論どちらかの科目を選択して回答します。

各科目ごとの出題数は、
(平成29年度試験)

科目 出題数 回答数
憲法 7 全20問
必須回答
民法 13
刑法 10 1科目10問
選択回答
経済理論 10
合計 40 30

専門試験(記述式)

裁判所職員の専門試験(記述式)はマーシート方式とちがって、設問にたいして論述回答する試験です。

裁判所事務官

裁判所事務官は2次試験で専門試験(記述式)が課されます。

総合職は憲法、民法、刑法あわせて3問、一般職は憲法1問の出題
憲法の問題はどちらも共通です。

字数制限はありません。

科目 総合職 一般職
憲法 1 1
民法 1
刑法 1

専門試験(記述式)は2次試験の種目です。

ただ、「憲法」だけは1次試験と同じ日に実施されるので注意しましょう。

家庭裁判所調査官補

家庭裁判所調査官補は1次試験と2次試験どちらにも、専門試験(記述式)が登場します

1次試験の出題科目は、

科目 出題数 回答数
心理学概論 1 全15題中
3題選択回答
臨床心理学 1
社会心理学 1
社会学概論 1
現代社会論 1
社会調査法 1
社会福祉学概論 1
社会福祉援助技術 1
地域福祉論 1
教育学概論 1
教育心理学 1
教育社会学 1
憲法 1
民法 1
刑法 1
合計 15 3

すべて400字以内で回答する必要があります

2次試験の出題科目は、

科目 出題数 回答数
臨床心理学 1 全15題中
2題選択回答
発達心理学 1
社会心理学 1
家族社会学 1
社会病理学 1
社会福祉援助技術 1
児童福祉論 1
高齢者福祉論 1
教育方法学 1
教育心理学 1
教育社会学 1
民法 2
刑法 2
合計 15 2

1次試験とちがって字数制限はありません

政策論文試験/論文試験

政策論文試験は裁判所事務官(総合職)と家庭裁判所調査官補(総合職)で課されます。
いっぽう、裁判所事務官(一般職)で課されるのは論文試験です。

論文試験にはない政策論文試験の特徴は、問題文のほかに白書や報告書など複数の参考資料が示されること
参考資料から出題者の意図を読みとって論述することが、重要なポイントです。

それをのぞけば、政策論文試験と論文試験は大きくかわりません。

政策論文試験と論文試験は「採点基準」と「頻出テーマ」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。

人物試験(面接試験)

面接試験は裁判所職員すべての試験種で課されます。
配点も高いので注意が必要です。

一般的な面接試験の形式は、

  • 【面接時間】:15~30分程度
  • 【試験官】:3~5人程度
  • 【質問】:5~10項目程度

大まかな流れはこのとおりです。

  1. 【入室】:控え室から面接会場の入り口手前まで案内される。入室して席の前で待機し、促されたら着席
  2. 【説明】:試験官または司会から面接の時間や注意事項が説明される
  3. 【面接】:試験官からの質問に回答する。はじめに自己紹介や自己PRを求められるばあいがある
  4. 【退室】:退室を促されたら、挨拶して面接会場を出る

面接試験は「採点基準」と「定番の質問」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。

人物試験(集団討論試験)

集団討論試験は、裁判所事務官(総合職)と家庭裁判所調査官補(総合職)で課されます。
裁判所事務官(一般職)では登場しません。

一般的な集団討論試験の形式は、

  • 【制限時間】:30~60分
  • 【人数】:5~8人
  • 【テーマ】:1つまたは複数提示される。複数の場合は1つを選んで回答

大まかな流れはこのとおりです。

  1. 【着席】:アルファべットや数字など記号が置かれた座席に案内され、着席する。討論中はグループのメンバーを記号で呼ぶ
  2. 【説明】:テーマや制限時間などが書かれた用紙が配られ、進め方や注意事項について試験官から説明を受ける。「討論開始前に各自が考える時間」「役割分担」「討論終了後の発表」などの有無は、試験によってことなるため説明をしっかりと聞くこと
  3. 【討論開始】:グループで討論をはじめる。討論の進行や管理はすべてグループに任される
  4. 【討論終了】:グループとしての結論を導き、討論を終える。時間内にグループ内でまとめを行う、あるいは終了後に試験官へ発表する場合などがある

集団討論試験は「採点基準」と「頻出テーマ」をまずおさえてから、対策をはじめることが大切です。
こちらの記事をぜひ読んでみましょう。

 

裁判所職員の「勉強スケジュール」

裁判所職員の対策期間がだいたい1年間あるばあいのスケジュール例はこちら。

試験種目
8~12 1~3 4~5 6~7
基礎能力試験 一般知能  
一般知識    
専門試験(多肢選択式)  
専門試験(記述式)  
政策論文試験/論文試験    
人物試験(面接試験/集団討論試験)    
  • 【★】:注力して取りくむ試験種目
  • 【☆】:取りくむ試験種目

8~12月

試験勉強はまず基礎能力試験の「一般知能」と「専門試験の多肢選択式」からはじまります。

一般知能の科目は出題数がとても多く、毎日コツコツと問題を解きつづけることで得点力がみにつきます
専門試験の多肢選択式は記述式対策の土台になるので、早くから学習しておきましょう。

家庭裁判所調査官は専門試験の多肢選択式がないので、はじめから記述式にとりかかります。

1~3月

年明けからは「一般知識」と「専門試験の記述式」の対策が開始です。

一般知識は出題数が少なく、範囲がとても広い科目ばかり。
いろいろな科目の選択肢に登場する時事問題の学習に注力します

裁判所事務官(一般職)の論文試験は、2次試験でありながら1次試験と同じ日に課されます。
直前になってあせらないよう、早めに対策するのがおすすめです。

4~5月

政策論文試験や人物試験の本番はまだ先です。
だからといって、1次試験がおわってから全部を一気に対策するのはむりがあります。

公務員予備校の添削指導や面接指導の予約が空いているうちに、少しずつすすめておきましょう

6~7月

1次試験が終わると、2次試験の対策に集中できます。

専門試験記述式の追い込みです。
人物試験は配点がもっとも高いので、筆記試験と同じくらい力をいれて対策しておきましょう。

 

裁判所職員の「基礎能力試験科目の学習法」

裁判所職員の基礎能力試験は、各科目からぜんぶで40問が出題されます。

裁判所事務官の総合職と一般職、それから家庭裁判所調査官補すべての試験で問題の内容は共通です。

現代文/英文

現代文は身近な現代社会にかんするテーマがよく登場します。

出題形式は「内容把握」「文章整序」「空欄補充」が頻出です。
文章整序はかなりの長文で、手ごわい問題が多め

英文も身近な話題がテーマです。

ただ、問題文は長文が多く、選択肢も英語なので負担は大きいはず。
単語力はそこまで必要ありませんが、速読の力は大切です

現代文と英文どちらも過去問演習を第一に、学習をすすめましょう。

判断推理/数的推理/資料解釈

判断推理と数的推理は試験年度によって、出題分野や難易度に大きなバラつきがあります
出題傾向をはあくしづらいので、どんな問題が出題されてもいいように全分野の対策をしておくことが重要です。

判断推理はとくに特徴がつかめません。
過去全体としてみれば、「対応関係」がやや頻出で、全分野について基本問題から難問がはば広く出題されます。

数的推理は「図形」や「場合の数,確立」がよく出ます。
基本問題が多いので、確実に正解できるよう学習しておきましょう
「速さ」や「比と割合」などオーソドックスな問題も出題されますが、難易度は高いので過去問の応用問題で演習が必要です。

資料解釈は細かい部分まで問われる問題が登場します。
時間をかければ正解できるので、回答スピードを高める練習をしておくのがおすすめ。

社会科学(政治/経済/法律)

政治は「政治制度」「選挙制度」「国際政治」が頻出です。
やや深い知識が問われるので、専門試験の「政治学」や「国際関係」の関連分野を学習しておきましょう

経済は「金融政策,財政政策」「経済事情」が中心で、出題テーマは固定化されているんです。
過去問演習をくり返した後に、最新版の時事参考書をつかって時事的な知識をインプットします。

法律は日本国憲法からの出題がほとんど。
政治と同じように、専門試験「憲法」の学習をしておけば正解できます。

人文科学(日本史/世界史/地理/思想)

日本史は「近現代史」が頻出です
1問しか出題されないので、この分野にしぼって知識を整理しておきます。

世界史は世界各都市の歴史などマイナーな分野からの出題が多く、難易度も高めです。
高校で学習していなかったひとは、すててしまうのがおすすめ

地理は定番テーマからはば広く出題されますが、基本問題ばかりです。
浅く広く学習しておきましょう。

思想はほかの公務員試験にみられる、有名思想家とその説明の組み合わせる単純な形式の問題はあまり出題されません
出題形式は多様ですが、「西洋の近現代思想」「日本の近代思想」「諸子百家」の頻出分野を中心に、定番の思想家と主張のキーワードを整理しておくことが大切です。

自然科学(物理/化学/生物/地学)

物理は「力学」が出題の中心です。
化学や生物にくらべて覚える知識は少ないので、過去問演習で典型的な解法パターンを理解しておきます

化学は「酸化と還元」「塩と塩基」からの出題が多めです。
そのほか計算問題や、有機化合物の性質までおさえておく必要があります。

生物は「ヒト」の分野が頻出。
「細胞と組織」「代謝」「動物の恒常性」「遺伝」の4テーマは学習必須です
よゆうがあれば「植物の恒常性」「生態系」まですすめましょう。

地学の必須学習分野は「天気の変化」「地球の内部構造と地震」「火山」。
これらのテーマは中学理科の内容とかさなるので、中学の教科書があれば復習しておくと効果的です

 

裁判所職員の「専門試験科目(多肢選択式)の学習法」

裁判所職員の専門試験(多肢選択式)はマークシート方式です。

家庭裁判所調査官補では課されず、裁判所事務官でのみ課されます。
裁判所事務官の総合職と一般職どちらも問題は共通です。

憲法

憲法はすべての分野からはば広く出題され、マイナーな難問も目立ちます。
シンプルに問われるほかの公務員試験とちがって、倫理問題や長文の空欄補充問題などが登場することも特徴です。

対策方法は、あまり手を広げず過去問題集の範囲をかためるのがおすすめです

マイナーな分野の問題は正解できなくても、ほかの受験生と差がつきません。
定番分野の問題は難易度が高くないので、確実に点をとれるようにしましょう。

民法

民法は憲法とことなり、過去問題集にある定番分野からの出題が中心です。
問われ方も素直で、解きやすいでしょう。

ただ、ほかの試験よりも細かな内容が問われます
選択肢にひっかけのフレーズが巧みに盛りこまれ、迷って時間をロスしがち。

素早く回答するには、なによりも正確な知識が必要です。
過去問演習をくり返し、レジュメや解答を理解できるまでじっくり読みこみましょう。

刑法

刑法は主要な分野からの出題にほとんど限られています。
問い方も素直で、学説と事例を組み合わせた複雑な問題はみられません。

判例の知識をひととおりかためておけば、十分得点源になります
そのうえで主要な学説の対立について理解をつみあげていきましょう。

経済理論

経済理論はミクロ経済学とマクロ経済学からの出題です。
時事的な経済事情の問題は、ほとんど登場しません

ミクロ経済学はすべての分野がバランスよく出題されます。

マクロ経済学は「貨幣理論」「乗数理論」「成長理論」が頻出。
ほかの公務員試験のようなIS-LMモデルやAD-ASモデルはあまり登場せず、基本的な用語や概念の理解を確認する問題が中心です。

ミクロ経済学とマクロ経済学どちらも、定番問題が多く解きやすいです
計算問題も出ますが、難しくありません。

まずは導入テキストと過去問題集をつかって、全体を浅く広く学習します。
それから過去問演習をくり返して学習内容を深めましょう。

 

裁判所職員の「政策論文試験/論文試験の学習法」

政策論文試験は裁判所事務官(総合職)と家庭裁判所調査官補(総合職)で課されます。

いっぽう、裁判所事務官(一般職)で課されるのは論文試験です。

政策論文試験には複数の参考資料が示されることをのぞけば、政策論文試験と論文試験は大きくかわりません。

裁判所職員の政策論文試験/論文試験を突破するために必要なポイントは、次の4つです

POINT.1 正しい文章の書き方を覚える

ふだん文章を書き慣れてないと、文章を正しく書くことは意外と難しいものです。
原稿用紙の使い方や日本語の文法など、細かいルールはあまり覚えていないですよね。

論文試験は内容が優れていることのほかに、「文章が正しいかどうか」も形式面として採点基準になります
形式面の採点は減点法。
例えばある漢字を間違って記憶していたら、その漢字を使うごとに知らないうち減点され続けてしまうので、こわいですよね。

公務員試験の論文で、おさえておくべき正しい文章のポイントは多くありません。
すべて解説しますので、覚えてしまいましょう。

POINT.2 答案の構成を理解する

論文を書くたびに「書き出しはどうしよう?」「次の段落でなにを書こう?」と、悩んでいませんか。

論文はテーマを見ていきなり書き始めてはいけません。
まず答案の構成をつくりあげることが、なにより大切です。

構成をつくってから文章を書くと、論文全体に論理的なつながりが生まれるので、合格点を目指すことができます
「次になにを書こうか」と悩まないので文章を書く時間も短縮できるし、練習で書いた回答を1字1句記憶しておくのは無理でも、構成なら覚えられて本番で役立つんです。

どんなテーマでも使える論文の構成をマスターしましょう。

POINT.3 コツを意識する

POINT.2「論文の構成」のとおりに答案が書ければ、合格点は十分にねらえるはずです。
さらに高い得点を目指すときには、下の記事で解説するコツが役立ちます

コツといっても難しいものではありません。
文章を書くときの心がけのようなものです。

これを心がけて文章を書くようになると、数多くあるライバルの答案から抜け出し採点者の目にとまる論文になりますよ。

POINT.4 頻出テーマの答案をつくり、解答例と比べる

論文試験でよく出題されるテーマは決まっています。
下の記事で紹介している頻出テーマに対する答案を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。

練習として書いた答案は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。

添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう

解答例は平均的な答案として書いています。
自分の答案と比べると、かいぜんするポイントが見えてくるはずですよ。

 

裁判所職員の「人物試験(面接試験)の対策法」

面接試験は裁判所職員すべての試験種で課されます。

配点も高いので学習ポイントをしっかりおさえましょう。

裁判所職員の面接試験を突破するために必要なポイントは、次の4つです

POINT.1 回答の構成を理解する

面接で質問されると「どんな話をしよう?」「どういう構成で伝えたらいいだろう」と、焦ってしまいますよね。
面接独特の空気のなかで、質問にすばやく的確に答えるのは難しいものです。

でも、評価の高い面接の回答の構成には決まりがあります

この決まりを理解しておけば、本番でどう話したらいいか迷うことはありません。
落ち着いて自分をアピールすることができます。

面接官から高評価をもらう回答の構成を理解しましょう。

POINT.2 定番質問の回答をつくり、解答例と比べる

面接試験でよく問われる質問は決まっています。
下の記事で紹介している定番質問に対する回答を、あらかじめ考えておくのがおすすめ。

用意した回答は、公務員予備校の講師などプロに添削してもらうのが一番です。
よいところ、わるいところを客観的にアドバイスしてくれて、だいたいの点数も分かりますからね。

添削をお願いできるひとがいない場合は、この記事の解答例をよく読んでみましょう

解答例は平均的な回答として書いています。
自分の回答と比べると、改善するポイントが見えてくるはずですよ。

POINT.3 面接カードをていねいに作る

筆記試験を突破すると、面接カードとよばれる質問項目がならんだ用紙が配られます。
それに回答を書いて、面接時に持参するのが一般的です。

面接直前の控室で配られ、その場で記入するばあいもあります。

民間企業でいうエントリーシートのようなものです。

面接官は事前に面接カードを読み、面接の評価に加味をします。
じっさいの面接も提出されたカードにそって進行することが多いので、面接カードにどんな内容を書いておくかは、とても重要だと分かりますよね

面接官から高評価をもらう面接カードの書き方を理解しましょう。

POINT.4 落ちる人の特徴を知る

せっかくがんばって筆記試験を突破したら、「面接はぜったい落ちたくない」と思いますよね。
面接に「受かりやすいひと」もいれば、ざんねんながら「落ちやすいひと」もいるんです。

落ちやすいひとには共通点があります
こちらの記事をよく読んで、面接でこうなってしまわないよう注意しましょう。

あわせて対策法も解説するので、自覚があるひともきっと改善できますよ。

 

裁判所職員の「人物試験(集団討論試験)の対策法」

集団討論試験は、裁判所事務官(総合職)と家庭裁判所調査官補(総合職)でのみ課されます。

裁判所事務官(一般職)では登場しません。

裁判所職員の集団討論試験を突破するために必要なポイントは、次の3つです

POINT.1 進め方をおさえる

POINT.2 役割分担を知る

POINT.3 コツを意識する

 

裁判所職員の「独学/予備校」

裁判所職員を受験するひとの半分くらいは独学、のこりは公務員予備校にかよっています。

公務員予備校はお金がかかるので、どうしようか迷いますよね。

独学でも対策可能な試験種目

  • 教養試験
  • 専門試験(多肢選択式)

裁判所職員の教養試験と専門試験(多肢選択式)は、独学でも合格レベルまで得点力を高めることができます。
どちらの試験の科目も、質の高い導入テキストや過去問題集がそろっているからです

難関大学合格者や勉強に自信があるひとなら、市販の参考書をつかってひたすら問題演習に取りくめば合格点をこえることは難しくありません。

 

予備校で対策したほうがいい試験種目

  • 専門試験(記述式)
  • 論文試験/政策論文試験
  • 面接試験
  • 集団討論試験

裁判所職員の専門試験(記述式)の難易度の高さはピカイチです
多肢選択式の学習だけでは歯が立ちません。

論文試験や政策論文試験の対策は、頻出テーマの答案を作成し、専門的なスキルがあるひとに添削してもらう必要があります。
面接試験や集団討論試験は本番の形式で模擬練習をなんどもくり返すことが、合格への王道です。

どれも独学で対策するのは厳しい試験種目ばかり。

公務員予備校では、専門試験(記述式)について頻出テーマ分析や、答案作成、添削指導など万全の対策ができます。
論文や面接のサポート体制、先輩合格者の体験記などノウハウの蓄積も十分です。

裁判所職員は難関の公務員試験。
よほど筆記試験に自信があったり、論文対策や面接対策の環境を自前で用意できるひと以外は、公務員予備校をつかう方法がおすすめです

 

わんこ先生

これで「裁判所職員」採用試験の解説はおしまいです。

おつかれ様でした。