

文系の学生にとって生物/地学は、安定して得点できる貴重な科目ですよね。
でも物理や化学とちがって、まったく勉強したことがないひとでも十分に得点源になります。
効果的な勉強法をお伝えしますね。
公務員試験「生物/地学」を知ろう!
まずは、生物/地学がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
生物/地学のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
分野は7つ/4つ
生物/地学はそれぞれ7つ/4つの分野に分かれています。
- 【細胞】:細胞小器官、動物細胞と植物細胞、体細胞分裂
- 【生殖/発生】:無性生殖と有性生殖、器官形成
- 【遺伝/DNA】:メンデルの遺伝法則、いろいろな遺伝、血液型、赤緑色覚以上、核酸、たんぱく質の合成
- 【代謝】:代謝と酵素、同化、異化
- 【動物の体】:神経細胞、脳のはたらき、自律神経、ホルモン、血液のはたらき、肝臓のはたらき、生体防御、走性、反射、刷込み
- 【植物の体】:オーキシンと光屈折、日照時間と花芽形成
- 【生態系】:食物連鎖と生態系、物質循環、個体群の相互作用
- 【地球の内部構造】:地震波、地球の内部構造、プレートテクトニクス
- 【岩石と地層】:火山と火成岩、堆積岩、地層、地球史
- 【気象現象】:大気圏、大気の運動、低気圧、日本の天気、海水の循環、フェーン現象
- 【宇宙】:地球の運動、太陽、惑星、恒星
出題数は少なめ
教養試験で生物/地学はどれくらい出題されるのかというと(平成28年度試験の結果より)、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
生物の出題数 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 |
地学の出題数 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 50 | 40 |
全体の出題数 | 40 | 40 | 40 | 44 | 50 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 必須 | 必須 | 選択 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
平成28年度の国家公務員試験では生物が1問で、地学の出題はありません。
数学/物理/化学/生物/地学など自然科学の出題数は、年度によって変わることがあります。
生物/地学を合計すると、市役所上/中級や地方上級では3問、東京都特別区では4問が出題されます。
すべての試験種で数学/物理/化学と同じように、少なめの出題数といえますね。
出題形式は3つ
問題の出題形式は大きく3通りです。
- 【知識問題】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【計算問題】:「~はいくらか?」「~として正しいのはどれか?」
- 【考察問題】:「図は~を示したものである。図に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
生物と地学どちらとも、知識問題からの出題がほとんど。
まれに計算問題や考察問題がみられますが、公式に当てはめたり落ち着いて考察すれば正解できるかんたんな問題なので大丈夫です。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、生物/地学の頻出分野と難易度を表にまとめました!
生物 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
細胞 | ― | △ | △ | △ | △ | |
生殖/発生 | ― | △ | ― | 〇 | ― | |
遺伝/DNA | △ | 〇 | △ | 〇 | 〇 | |
代謝 | △ | △ | △ | ― | △ | |
動物の体 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | |
植物の体 | △ | ― | △ | 〇 | △ | |
生態系 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
地学 | 国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 |
---|---|---|---|---|---|---|
地球の内部構造 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
岩石と地層 | ― | 〇 | 〇 | 〇 | △ | |
気象現象 | 〇 | ◎ | △ | ― | △ | |
宇宙 | 〇 | △ | 〇 | ◎ | 〇 | |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」「―:近年出題がない」の4つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
生物も地学も、とてもよく出る頻出分野はほとんどありません。
すべての分野からまんべんなく出題されています。
2つの科目をくらべると、生物のほうが地学より分野が広いという特徴があります。
難易度は?
国家公務員試験の問題は難易度がやや高めですが、基礎的な知識で解ける問題が多いです。
地方公務員試験は標準的な問題が多く出題されます。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- すべての分野からバランスよく出題される!
- 難易度はやや易しめからやや高め!
勉強の方針
ここまでをふまえて、生物/地学の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 初めてでも勉強する!
- 受験勉強の終わりに対策する!
初めてでも勉強する
生物や地学、それに数学や物理など自然科学の分野は勉強の分量が多いわりに、出題数が少ないのでコストパフォーマンスがわるい科目です。
でも自然科学の科目を合計すると、3~8問と無視できない出題数になります。
すべての科目をすててしまうのは不安ですよね。
いくつかの科目は勉強しておきたいところです。
高校時代に学習した科目は、ぜひ対策してみましょう。
高校時代に学習しなかったり、とても苦手だった科目はどうしたらいいでしょうか?
数学/物理/化学はいさぎよくあきらめることをおすすめします。
ほとんど高校3年間の範囲から出題されるので、勉強に時間がかかりすぎてしまうからです。
はんたいに生物と地学は暗記科目なので、初めてでも勉強すれば得点できるようになります。
生物は範囲が広めですが、地方公務員試験では2問が出題されますから、得点源になります。
地学は地方公務員試験では1問の出題ですが、範囲は生物よりぐっと狭いので、覚えた知識で確実に得点できるうまみがあります。
ただ国家公務員試験のばあいは、せっかく勉強しても出題されないことがあるので注意が必要です。
生物と地学は初学者でも勉強しやすい科目ですから、よゆうがあればぜひ対策しておきましょう。
受験勉強の終わりに対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、教養試験のおすすめ勉強順番はこちらです。
- 判断推理/数的推理/資料解釈
- 生物/地学:現代文/英文/古文
- 時事対策
- 社会科学:政治/経済/社会
- 人文科学:日本史/世界史、地理/思想/文学/芸術
- 自然科学:生物/地学、数学/物理/化学
生物と地学は初学者でも勉強するのがおすすめですが、あくまでもほかの科目の対策が終わってからとりくみましょう。
どちらも暗記科目なので、あまり早くに勉強して本番前に忘れてしまっても困りますからね。

公務員試験「生物/地学」が得点できる勉強法!
生物/地学を勉強するときに、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- 苦手な分野をつくらない!
- メカニズムを理解する!
- 知識は問題演習で定着させる!
POINT.1 苦手な分野をつくらない
生物や地学は頻出分野がなく、すべての分野からバランスよく出題されています。
出題数が少ないので取りこぼさないよう、苦手な分野をつくらずすべての分野を勉強しておくことが大切です。
問題も複数のテーマにまたがって出題されることがあります。
問題演習のときは、参考書のいろいろなページを行ったり来たりしながら、分野を横断しながら理解を深めると効果的です。
特定の分野にかたよらないで勉強するようにしましょう。
POINT.2 メカニズムを理解する
生物と地学は暗記科目ですが、単語を単純に覚える方法ではなかなか得点できるようになりません。
1問1答のように単語だけをシンプルに問う問題は出題されないからです。
因果関係を理解しながら、メカニズムをおさえるように覚えましょう。
たとえば「チロキシン=甲状腺」とだけ覚えるのではなく。
- 【間脳視床下部】:脳下垂体前葉に、甲状腺刺激ホルモン放出因子を分泌
- 【脳下垂体前葉】:甲状腺に、甲状腺刺激ホルモンを分泌
- 【甲状腺】:チロキシンを分泌し、体内の代謝が促進される
- 【間脳視床下部】チロキシンにより、甲状腺刺激ホルモン放出因子の分泌が抑制される(チロキシンはそれ以上分泌されない)
こうしてメカニズムを覚えてしまえば忘れにくいのでおすすめです。
もし「甲状腺を除去すると甲状腺刺激ホルモンの分泌はどうなるか?」と問われても、「甲状腺が除去されるとチロキシンが減少するので、甲状腺刺激ホルモン放出因子は増加し、甲状腺刺激ホルモンの分泌も増加するだろう」と考えられるので、応用力が身につきます。
POINT.3 知識は問題演習で定着させる
はじめのうちから、導入テキストで知識を完ぺきに暗記しようとするのは、よい方法ではありません。
知識を覚えるのは問題演習の役目なんです。
導入テキストはあくまで生物の全体像を理解するために読みます。
さっと読み流したら問題を解き、また導入テキストにもどって確認するという流れをくり返すことで、知識はどんどん定着していきます。
このとき正解肢だけでなく、誤肢(正解肢いがいの間違っている選択肢)の問題文も忘れずに復習することが大切ですよ。
誤肢がなぜ間違いなのかを頭のなかで説明し、あいまいな場合は解説や参考書を読んで確認しましょう。
生物と地学はこの方法で得点力がぐんと高まっていきます。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【センター試験 生物基礎(地学基礎)の点数が面白いほどとれる本】:導入テキスト
- 【公務員試験 過去問 新クイックマスター 自然科学II(生物・地学)】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- 面白いほどで基礎を理解する!
- クイマスをくり返し解く!
- 合格の500を解く!
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、生物や地学の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「生物/地学の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

生物と地学は出題数が少ない科目です。
でも物理や化学とくらべれば勉強しやすい科目なので、受験勉強の最後にぜひとりくんでみましょう。
生物と地学は高校のころに学んでいたので、公務員試験での勉強は楽でした。