

政治学はまさに暗記科目です。
学者の名前や理論をあるていど正確に覚えないといけません。
同じ暗記科目の行政学にくらべて、「分量が多くて覚えるのがつらい」という声を聞きます。
ですが、政治学は正しい方法で勉強すればかんたんに習得することができます。
この記事では、
- 政治学の出題分野と形式
- 政治学の頻出分野と難易度
- 政治学の効果的な勉強方法
- 政治学のおすすめ参考書
- 政治学の試験種類ごとの勉強ポイント
をすべて解説します。
政治学を得意科目にして、本番で高得点をめざしましょう!
公務員試験「政治学」を知ろう!
まずは、政治学がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
政治学のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
「ふ~ん。そうなんだ」くらいに読み流して大丈夫ですよ。
分野は7つ
政治学は次の7つの分野に分かれています。
- 【政治学の基礎】:政治権力、リーダーシップ、国家観、デモクラシー
- 【政治の制度】:権力分立制、政治制度、議会制度、選挙制度、
- 【政治の動態】:政党、圧力団体、マスコミ/世論
- 【政治の意識と行動】:政治意識、イデオロギー、政治的無関心、投票行動
- 【政治の思想】:西欧政治思想、日本政治思想
- 【政治の理論】:現代政治学、政治過程論、比較政治論、国家論
- 【政治の歴史】:欧米政治史、日本政治史
出題数はやや少なめ
専門試験で政治学はどれくらい出題されるのかというと、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
政治学の出題数 | 10 | 5 | 3 | 5 | 2 | 2 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 |
全体の出題数 | 55 | 80 | ― | 55 | 40 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 選択 | 選択 | 選択 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)※労働基準監督官は出題なし
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
政治/国際区分の国家総合職では、もちろん出題数は10問と多いです。
国家一般職で政治学は選択科目。5問が出題されます。
国家専門職は選択すれば3問の出題です。
地方上級や市役所上/中級は、2問の出題ですが必須回答。
民法や経済学にくらべれば出題数はやや少なめですね。
出題形式は2つ
問題の出題形式は大きく2通りです。
- 【五肢択一】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【妥当な組み合わせ】:「次の記述のうち、妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか?」
ほとんどの問題は【五肢択一】形式で出題されます。
【妥当な組み合わせ】のほうが正確な知識が必要ですから、1つの正解を選ぶ五肢択一が多い政治学の問題は答えやすいといえます。
それでは次に、政治学の頻出分野と難易度を確認してみます。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、政治学の頻出分野と難易度を表にまとめました!
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
政治学の基礎 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
政治の制度 | ◎ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | 〇 |
政治の動態 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
政治の意識と行動 | △ | 〇 | △ | 〇 | △ | △ |
政治の思想 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇 |
政治の理論 | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | △ |
政治の歴史 | 〇 | △ | △ | △ | △ | △ |
難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」の3つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
頻出分野は?
国家公務員試験では、△がついた分野もいくつかありますが、出題数が多いので全体の分野からまんべんなく問題が出されます。
地方公務員試験では、【政治の歴史】はあまり出題されない分野です。
ほかにも△がついた分野がありますが、はんたいに◎がついた分野はほぼないので、政治学は頻出分野が絞りづらい科目です。
難易度は?
国家総合職や国家一般職は難易度が高めです。
とくに国家総合職では、ほかの試験種で出題されることはない細かな知識が問われる問題が多くあります。
地方上級や市役所上/中級の難易度はあまり高くありません。
過去問題集に収録されている基本的な知識が、くり返し出題されています。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- 多くの分野からまんべんなく出題される!
- 国家公務員試験は難易度が高い!
勉強の方針
ここまでをふまえて、政治学の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 地方公務員試験は浅く広く、国家公務員試験は深く広く!
- 主要経済系科目の次に対策する!
地方公務員試験は浅く広く、国家公務員試験は深く広く
「政治学は多くの分野からバランスよく出題され、頻出分野を絞りづらい」とお伝えしましたね。
地方上級や市役所上/中級のばあいは、2問しか出題されないので、やはり特定の分野だけ力をいれて勉強することはできませんよね。
たった2問がどこの分野から出されるか分からないんですから。
ですが、地方上級や市役所上/中級の問題は基本的な知識が問われます。
つまり浅く、そして広く勉強する必要があるわけです。
国家総合職や国家一般職の場合は、出題数が多く、頻出分野も絞れません。
さらに問題の難易度は高いんでしたね。
そうすると、深く、そして広く勉強しなければいけないんです。
主要経済系科目の次に対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、おすすめ勉強順番はこちらです。
主要法律系科目と主要経済系科目の対策が終われば、専門試験の勉強はほとんど終わったようなもの。
のこりは暗記科目ばかりです。
このタイミングで、併願しやすい政治学または政治学の勉強にとりかかりましょう。
- 憲法
- 民法 or 行政法
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学
- 行政学 or 政治学

政治学の特徴がよくわかりましたね。
それではいよいよ、公務員試験の政治学で高得点をとる勉強法を解説していきますよ。
公務員試験「政治学」が得点できる勉強法!
政治学を勉強するとき、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- レジュメ→問題→解説の流れを意識する!
- 学者の理論は文脈のなかに位置付けて覚える!
- 覚えやすいゴロ合わせを考える!
POINT.1 レジュメ→問題→解説の流れを意識する
過去問題集のレジュメを読んでから、問題にとりくみ、解説を読みこんで知識を定着させる流れを意識して勉強しましょう。
レジュメを読んでも「どこを覚えたらいいんだろう」ととまどい、問題を解いても正解がわからず不安になるかもしれません。
ですが、解説を読むステップまですすめば、覚える知識がクリアになってきます。
問題を解くことだけがんばらず、レジュメから問題そして解説というステップをとおして理解する意識が大切です。
POINT.2 学者の理論は文脈のなかに位置付けて覚える
政治学にはたくさんの学者が登場します。
新しい学者を知るたびに、ひたすら名前や主張を覚えていくのはたいへんですし、知識が定着しにくいですよね。
学者の理論はそれ単発で覚えずに、類似する理論や前後に登場する学者と合わせて覚えるのが効率的。
ある学者の理論からスタートし、そこから発展した学説、それに対する批判をとなえる学者、現在の状況というふうに歴史の流れをつくりましょう。
たとえば、
【現代政治学】
- 【ウォーラス】【ベントレー】:従来の政治学を批判
- 【トルーマン】:後世にベントレーの功績を再発見
- 【メリアム】ウォーラスとベントレーにくわえ、行動科学の影響を受けてシカゴ学派を形成
- 【行動科学的政治学への批判】:シカゴ学派に対する激しい批判
- 【イーストン】:脱行動科学的政治学を主張
- 【現状】:脱行動論は理想的だが実践が困難なため、現在も行動科学的政治学は政治学の主流
POINT.3 覚えやすいゴロ合わせを考える
「理想の文脈づくり」で登場した、ウォーラスとベントレーの主張をかんたんにみてみましょう。
- 【ウォーラス】:従来の政治学は人間の知性を過大評価している。現実の政治は、人間の非合理的な衝動や本能によって動かされている
- 【ベントレー】:従来の政治学は制度の形式的研究に終始している。現実の政治は、政党、圧力団体、官僚制などの集団が動かしている
政治学にはこうした主張がたくさん出てきます。
文脈をつくっても、まだ覚えるのはたいへんな気がしますよね。
学者の名前と主張は、ゴロ合わせでひもづけるのがおすすめです。
たとえばウォーラスなら、
- ウォーラスの「ウォー」を英語の「war(戦争)」に変換
- ウォーラスの主張で大切な部分は「人間の非合理的な衝動や本能」
- 戦争はまさに人間の非合理的な結果と考えて、学者名「ウォーラス」と主張のポイント「人間の非合理的な衝動や本能によって動かされている」を関連づけて覚える。
ベントレーのばあいは、
- ベントレーの「ベント」を「弁当」に変換
- ベントレーの主張で大切な部分は「政党、圧力団体、官僚制などの集団」
- 弁当には1品だけでなくたくさんのおかずが入っていると考えて、学者名「ベントレー」と主張のポイント「政党、圧力団体、官僚制などの集団が動かしている」を関連づけて覚える。
ちょっとこじつけ感がありますか?
もちろん自分で覚えやすいような関連づけを当てはめれば、大丈夫です。
すべての理論にうまくゴロが合うわけではありませんが、ゴロで覚える理論が少しでもあると政治学の勉強がスムーズになりますよ。
コツは学者名をみた瞬間に感じるイメージを、主張に当てはめることです。
ですが、数秒でイメージがわかなければ、むりをしてゴロを考える必要はありません。
ゴロを考えるために時間をかけるのは、本末転倒ですからね。
主張のすべてを覚えなくても、試験で得点できるばあいが多くあります。
文章を丸ごと正確に暗記しようとするのではなく、主張の大事なポイントをゴロ合わせで覚えるようにしましょう。
ゴロ合わせの方法はほかの科目でもつかえますので、ぜひ試してみてください。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【公務員試験 新スーパー過去問ゼミ 政治学】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
参考書の特徴やおすすめする理由をくわしく知りたいときは、この記事を読んでくださいね。
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- スー過去をくり返し解く!
- 合格の500を解く!
勉強の効果をもっとも高める参考書の使い方を、くわしく知りたいときはこの記事を読んでくださいね。
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、政治学の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「政治学の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

これで政治学の勉強法の解説は終わりです。おつかれ様でした。
とにかく学者が多く登場するので、「暗記しづらい科目」といわれる政治学ですが、ポイントを理解して勉強すればかんたんに知識を覚えることができます。
超重要科目というわけではありませんが、勉強した分だけ得点になって返ってくるありがたい科目です。
長い公務員試験勉強のなか休みとして、集中して暗記にとりくみましょう!
政治学ってとにかく学者名とかたくさん出てくるんですよね。