公務員試験【社会科学】の勉強法を解説!

ハチミツちゃん

社会科学は専門試験と内容が同じところがあるので、勉強しやすかったです。

わんこ先生

教養試験の社会科学は政治/法律/経済/社会を合わせたもので、専門試験と内容がかぶる分野もあります。

「専門試験の対策だけで十分?」「教養試験しか受験しないばあいは、どう勉強するのがいいの?」という疑問がよく聞かれます。

この記事では、

  • 社会科学の出題分野と形式
  • 社会科学の頻出分野と難易度
  • 社会科学の効果的な勉強方法
  • 社会科学のおすすめ参考書
  • 社会科学の試験種類ごとの勉強ポイント

をすべて解説します。

社会科学を得意科目にして、本番で高得点をめざしましょう!

 

 

公務員試験「社会科学」を知ろう!

まずは、社会科学の政治/法律/経済/社会がどんな科目なのかそれぞれ見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。

どんな科目なの?

政治/法律/経済/社会のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。

分野は4つ/3つ/4つ/2つ

政治/法律/経済/社会はそれぞれ4つ/3つ/4つ/2つの分野に分かれています。

政治

  • 【政治原理/政治制度】:絶対主義時代の政治思想、社会契約説、国家観の変遷、統治形態の分類、主要国の政治制度
  • 【選挙制度/政党/圧力団体】:選挙の基本原則/制度、政党の類型/システム、圧力団体の活動
  • 【行政/地方自治】:官僚制論、地方自治の基本理念/機能/財政
  • 【国際連合/国際社会】:国際連合の歴史/主要機関、核不拡散/人権擁護に関する重要な条約
法律

  • 【法律概論】:法源、法の解釈、法の分類
  • 【日本国憲法総論】:総論、基本的人権、統治機構
  • 【民法/刑法/その他】:民法の基本原理、刑法の基礎、その他
経済

  • 【ミクロ経済学】:需要曲線と供給曲線、消費者と生産者の行動、市場と経済厚生
  • 【マクロ経済学】:国民所得の決定、経済政策、金融政策、インフレーション
  • 【財政】:財政の機能、租税制度
  • 【経済事情】:経済史、世界の通貨\貿易体制、経済事情、経済/経営用語
社会

  • 【社会学/心理学】:社会学史、社会学の理論、心理学
  • 【社会事情】:労働、社会保障、科学、文化、環境問題、その他

教養試験の政治/法律/経済/社会は、それぞれ専門試験の科目と内容がかぶっている分野がとても多いんです。

政治は、政治学や行政学そして国際関係をあわせた科目。

法律は憲法が中心です。民法や刑法が問われることは、あまりありません。

経済はもちろんミクロ経済学とマクロ経済学、財政学から出題。

社会は社会学と社会政策、そしていろいろな分野にかんする時事的な問題がとても多く出題されます。

出題数は多め

教養試験で政治/法律/経済/社会はそれぞれどれくらい出題されるのかというと、

  国総合 国一般 国専門 特別区 地上級 市役所
政治の出題数 1 1 1 1 1 1
法律の出題数 1 1 1 2 3 2
経済の出題数 1 1 1 1 3 2
社会の出題数 3 3 3 4 4 2
全体の回答数 40 40 40 40 50 40
全体の出題数 40 40 40 44 50 40
回答必須/選択 必須 必須 必須 選択 必須 必須
受験案内 国総合 国一般 労基官
国税官
財務官
特別区
試験種の略称

  • 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
  • 【国一般】:国家一般職
  • 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
  • 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
  • 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
  • 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)

※平成28年度試験の出題数です。出題数は変わる可能性があります

政治/法律/経済/社会の合計出題数は6~11問ですね。

国家公務員試験のばあい、教養試験のなかでは数的処理(数的推理/判断推理/資料解釈)や文章理解(現代文/古文/英語)に次いで多い出題数です。

地方公務員試験ではさらに出題数が多く、文章理解と同じくらいか、それをこえています

いずれにしても重要科目ということが分かりますね。

出題形式は4つ

問題の出題形式は大きく4通りです。

  • 【知識問題】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」「次の空欄に当てはまる語句の組み合わせとして、妥当なのはどれか?」
  • 【時事問題】:「わが国の~に関する記述として、妥当なのはどれか?」「~が発表した~の内容に関する記述として、妥当なのはどれか?」
  • 【計算問題】:「~はいくらか?」「~として正しいのはどれか?」
  • 【グラフ問題】「次の図にかんする記述のうち、妥当なのはどれか?」

経済は知識問題や時事問題、計算問題やグラフ問題まではば広く出題されます。

ほかの科目は知識問題がメインですが、政治の国際社会や法律のその他など分野によっては、時事が問われることが多いので注意が必要です。

そして社会事情はほとんどすべて時事がからみます(図表を用いた問題もあり)。

頻出分野と難易度をチェック

公務員試験の試験種別に、政治/法律/経済/社会の頻出分野と難易度を表にまとめました!

政治 国総合 国一般 国専門 特別区 地上級 市役所
政治原理/政治制度
選挙制度/政党/圧力団体
行政/地方自治
国際連合/国際社会
難易度 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
法律 国総合 国一般 国専門 特別区 地上級 市役所
法律概論
日本国憲法総論
民法/刑法/その他
難易度 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
経済 国総合 国一般 国専門 特別区 地上級 市役所
ミクロ経済学  △ 
マクロ経済学
財政
経済事情
難易度 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
社会 国総合 国一般 国専門 特別区 地上級 市役所
社会学/心理学
社会事情
難易度 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
表の見方

  • 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」の3つに分類しています。
  • 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
  • 個人の所感により作成したものです。

頻出分野は?

政治はほとんどの分野からまんべんなく出題されますが、とくに国際連合/国際関係が頻出テーマです。

法律は圧倒的に日本国憲法が中心テーマ
民法や刑法が出題されることはあまりありませんが、その他として検察審査会や法テラスなど時事的な問題が出題されることはよくあります。

経済は試験種によってちがいがあります。
国家公務員試験や東京特別区ではミクロ経済学がほとんど出題されないのにたいして、地方上級や市役所上/中級ではもっともよく問われます
かわりに財政は国家総合職や国家一般職でよく出ます。
マクロ経済学はどの試験種でも頻出分野です。

社会は東京都特別区をのぞいて、社会事情からしか出題されません。

難易度は?

国家公務員試験の社会科学は難易度がとても高いです。

特別区の経済や地方上級もやや難しい問題が多く出題されます。

頻出分野と難易度の話をまとめると、

  • どの科目も頻出分野がある!
  • 難易度はやや高め!

 

勉強の方針

ここまでをふまえて、社会科学の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。

  • すべての分野にとりくもう!
  • 主要な専門試験科目が終わってから対策する!

すべての分野にとりくもう

「科目ごとに頻出分野がある」とお伝えしましたね。

でも、頻出ではない分野だからといって手を抜かず、すべての分野をしっかりと勉強しましょう。

社会科学は4つの科目がすべて1冊の過去問題集におさまっているのがふつうです。
1つの科目のさらに1つのテーマは分量が多くないので、頻出かどうかを気にせずすべてのテーマをつぶすのが効果的
試験でどの分野から出題されるかは、そのときにならないと分からないですからね。

あまり出題されないテーマもひと通り勉強し、頻出分野は完ぺきを目指す気持ちでとりくみます。

もちろん、国家総合職のミクロ経済学や、東京都特別区をのぞく試験種の社会学/心理学はとばしても大丈夫ですよ。

主要な専門試験科目が終わってから対策する

地方上級や市役所上/中級などを受験するときの、教養試験のおすすめ勉強順番はこちらです。

おすすめの勉強順番

  1. 数的推理/判断推理/資料解釈
  2. 文章理解:現代文/英語/古文
  3. 時事
  4. 社会科学:政治/法律/経済/社会
  5. 人文科学:日本史/世界史、地理/思想/文学/芸術
  6. 自然科学:生物/地学、政治/法律/経済/社会

政治/法律/経済/社会は専門試験科目と内容がかぶっています。
先に専門試験科目を個別に勉強してからとりくむのが効率的です。

社会科学は出題数が多く、得点もとりやすい科目ですから、教養試験科目のなかで後回しにせず早めに対策しましょう。
専門試験が必要ない受験者のばあいも、人文科学や自然科学よりも前に学習するのがおすすめ。

わんこ先生

社会科学の特徴がよくわかりましたね。

それではいよいよ、公務員試験の社会科学で高得点をとる勉強法を解説していきますよ。

 

公務員試験「社会科学」が得点できる勉強法!

社会科学を勉強するとき、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。

それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。

大切な3つのポイント

  1. 専門試験対策だけで終わらせず、社会科学も対策する!
  2. 教養試験だけのばあいでも、専門試験科目で対策する!
  3. 時事をてってい的に覚える!

POINT.1 専門試験対策だけで終わらせず、社会科学も対策する

社会科学は専門試験の科目と内容がかぶっています。

よく「専門試験対策さえしていれば、社会科学はあらためて勉強しなくても大丈夫」という声を聞きます。
それでもあるていど得点はできますが、社会科学対策はしておいたほうが得点力がアップするのでおすすめです。

社会科学は専門試験科目の基本事項が問われる問題も出題されます。
でも、なかには社会科学で初めての知識も登場しますし、時事的な問題がとても多いので独自の対策は必要です。

社会科学で基本をかためると、専門試験対策にも効果がありますよ。

POINT.2 教養試験だけのばあいでも、専門試験科目で対策する

専門試験が必要なく、教養試験だけのばあいはどうしたらいいでしょうか。

教養試験としての社会科学だけ過去問演習をする方法もあります。
ですが、専門試験科目で1つずつ対策をするのがおすすめです。

社会科学の4科目は1冊の過去問題集におさまっているので、演習の分量が足りないですし、体系的に理解するのも難しくなります。
また近年は教養試験といっても、社会科学の問題は専門試験と同じレベルの難易度で出題されるようになってきています

少し時間はかかっても、専門試験科目のテキストや過去問題集を使って勉強をすすめましょう。

  • 【政治】:政治学、行政学、国際関係
  • 【法律】:憲法
  • 【経済】:ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学
  • 【社会】:社会政策、時事

すべての分野を完ぺきにする必要はありません。
教養試験で問われる分野を重点的に対策すれば十分です。

POINT.3 時事をてってい的に覚える

社会科学は時事のからんだ問題がよく出題されます。

とくに社会事情は時事問題のオンパレードです。
出題数も多めですから、集中してとりくまないといけません。

時事は過去問題集では対策できません。
専用のテキストがあるので、それを使いましょう。

そして過去問演習のように2,3周読んだだけでは、時事を覚えきれないのがつらいところ。
長い期間をかけて何度もなんどもくり返す必要があります。

社会科学の対策をはじめてからでは遅いので、試験勉強の開始と同時にすぐ時事にとりかかり、毎日継続して数分ずつ勉強する習慣をつけるのがおすすめです

 

おすすめ参考書と使いかた

参考書選びはとても重要。

数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。

  • 【公務員試験 速攻の時事】【公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編】:時事対策
  • 【公務員試験 過去問 新クイックマスター 社会科学】:過去問題集
  • 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ

参考書の特徴やおすすめする理由を知りたいときは、この記事を読んでくださいね。

よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 速攻の時事をひたすら覚える!
  2. クイックマスターをくり返し解く!
  3. 合格の500を解く!

試験種類ごとの学習ポイント

公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。

試験の種類ごとに、社会科学の効果的な学習方法はちがうんです

自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。

国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です

「社会科学の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

 

わんこ先生
これで社会科学の勉強法の解説は終わりです。おつかれ様でした。

社会科学は教養試験のなかで重要な科目です。
専門試験科目の対策が必要だったり、時事対策がたいへんだったり、根気が必要な科目ですね。

でもその分、試験で確実に得点源になります。
社会科学が終われば、いよいよ勉強もゴールが見えてきます。あきらめずがんばりましょう!