【特別区】論文の「模範解答例」を一挙公開!

わんこ先生

旧帝大を卒業後、国家公務員として省庁で人事の仕事をしていました。

現在は退職し、公務員志望者の論文添削や面接指導などをおこなっています。

この記事では、特別区の職員採用試験の論文試験で出題される頻出テーマの模範解答例を公開します。

論文試験対策として毎年好評のため、2023年度版に更新しました。

ぜひ参考にしてくださいね。

公開する論文テーマはこちら。

  1. 住民との信頼関係
  2. 循環型社会の構築
  3. 高齢者の社会的孤立
  4. 少子化対策
  5. 雇用問題
  6. 公共サービスの持続化
  7. 育児支援制度のあり方
  8. ワークライフバランスの推進
  9. 社会保障制度のあり方
  10. 非常時における住民の安全確保
  11. 住民からの多様化する要望
  12. 財政健全化の取り組み
  13. 組織内コミュニケーション
  14. 行政職員のあり方

どんな試験区分でも出題頻度が高く、重要とされているテーマです。

論文試験のもっとも効果的な対策方法は、論文試験を「暗記科目」と考え、「頻出テーマの模範解答例をできるだけ多くインプットすること」です。

この記事の模範解答例をぜひ活用してくださいね。

模範解答例は回答時間80分、文字数1,000~1,500字程度の設定です。

それではどうぞ。

 

特別区では、区政の様々な分野で住民と協働した取り組みが展開されています。その基礎となるのが住民との信頼関係です。
住民との信頼関係の構築について、区政の第一線で住民と接する特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

【解答例】

(①定義)

特別区では、地域の防犯パトロールや食品ロスの削減活動等、地域住民や地域団体と行政が協働した取組みが様々に展開されいている。

(②背景)

なぜ近年、住民との協働が積極的に推進されているのか。
背景として、住民ニーズの多様化や特別区の財政が逼迫していることが挙げられる。
社会の成熟化や地域コミュニティの希薄化が進んだ現在、地域の抱える課題はますます複雑・多様化している。
また、人口減少・少子高齢社会を間近に控え、増大する社会保障費や老朽化が見込まれるインフラ対策など課題は山積しており、特別区の財政に余裕はない。
そこで、多様な住民ニーズに応えるため、地域住民や地域団体と協働した取り組みが求められている。

(③影響)

地域住民と行政が協働するにあたり、その基礎となるのが住民との信頼関係である。
信頼関係が構築されていなければ、協働の取り組みにより課題を解決し成果を得ることは望めない。
また、地域住民や地域団体の十分な担い手が集まらず、取り組みを継続することは困難である。
したがって、特別区は住民との信頼関係の構築に努める必要がある。

(④解決方針)

それでは、区政の第一線で住民と接する特別区の職員は今後、どのような役割を果たしていくべきか。
私は、多様化している住民ニーズをしっかりと把握すること、得られた住民の声が政策にどのように反映されているのかを分かりやすく周知することが求められると考える。
窓口での丁寧な対応や笑顔での対応はもちろん大切だが、さらに一歩踏み込み、地域の困り事に対して行政が誠実に対応していることを住民が実感できる取り組みを行うことが、信頼関係の構築には欠かせないからである。
具体的な取り組みを以下に述べる。

(⑤解決策)

第一に、住民の声を直接聞く機会をより大切にすることである。
例えば、杉並区で取り組まれている「すぎなミーティング」が参考になる。
これは無作為抽出により選ばれた区民が、区政の課題をテーマとして区長と直接意見を交換する場である。
ミーティングの運営は特別区職員が担当するため、区長だけでなく特別区職員にとっても多様化する住民二ーズを把握できるだけでなく、住民との交流を通して信頼関係の構築に直接つながる良い機会である。
ミーティングでは、区政の課題といっても堅苦しいテーマばかりではなく、「身近な体育館を自由に使えたらどうだろう」等、幅広い世代が関心を持って意見交換しやすいテーマを設定するとより効果的であると考えられる。

第二に、得られた住民の声が政策にどのように反映されているのかを分かりやすく周知することが重要である。
パブリックコメントや自治会の集会等で住民が意見を述べても、自分の声が政策に反映されているという実感がなければ、次回以降も意見を述べてニーズを示す意欲は低下してしまうだろう。
区のホームぺージや広報誌で、パブリックコメント等で得られた声がどのように新しい条例や決まり事に反映されたのか、どんな世代が見てもわかりやすいような表現で周知することが効果的だと考えられる。
専門用語を多用したり常用ではない漢字や表現を用いるのではなく、行政に詳しくない人が見ても理解しやすい言葉で表現するよう注意が必要である。
将来大人の住民となる中学生や高校生が見ても分かりやすい表現であれば、区政に意識の高い中学生や高校生からも信頼が得られ、将来的に官民協働の取り組みに前向きに参加してもらえることが期待される。
年齢に関係なく多くの住民が、自分の声が行政に反映されていることを実感できれば、信頼関係の構築につながると考えられる。

(⑥まとめ)

私は今後、特別区の職員として地域に飛び出し、住民と直接交流する機会を積極的につくり、住民との信頼関係の構築に貢献できるよう励みたい。

 

循環型社会を構築するために、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

【解答例】

(①定義)

循環型社会とは、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会システムから脱却し、廃棄物等の発生抑制、有益な廃棄物等の資源としての活用、適正な廃棄物の処理を行うことで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り減らしながら、持続的な経済活動を営む社会のことである。

(②背景 ③影響)

なぜ今、循環型社会の実現が求められているのか。
第一に、世界的な人口増加や経済活動の拡大により、天然資源の枯渇が危惧されているからである。
資源の大半を輸入に依存する我が国において、資源が激減すればエネルギーの安定供給に脅威を与えるだろう。
第二に、廃棄物の最終処分場の確保が逼迫してきていることが挙げられる。
廃棄物が処理不能になれば経済活動は大きく停滞する可能性がある。

(④解決方針)

それでは、循環型社会の構築に向けて、特別区の職員はどんな取り組みを行う必要があるか。
私は、民間事業者と区民が循環型社会の実現を推し進める両輪であり、区政はその両輪がうまく回転していくための環境整備の役割が求められると考える。
なぜなら、民間事業者と区民が当事者意識を持って環境に配慮した活動を自発的に行う必要があるが、二者だけでは実現困難な課題であり、区政のサポートが必要だからである。
具体的な取り組みを以下に述べる。

(⑤解決策)

第一に、民間事業者の活動の観点から、障害者雇用における法定雇用率制度を参考として、循環型社会の実現に資する具体的な達成目標を設け、その達成を区政は支援することが挙げられる。
障害者雇用においては、企業規模等の条件を考慮して一定の数値目標を定め、目標に満たない事業者にはペナルティとして納付金を課す一方、目標を超えた事業者には納付金を財源として助成金を支給している。
そして、行政は目標を下回る事業者をフォローアップしながら、上回る事業者の先進的な取り組みを顕彰する等、制度の効果的な運用を図ることで、障害者雇用は大きく伸びた。
循環型社会の構築においても、こうした施策の導入により、包装の簡易化やワンウェイプラスチックの削減、マイバックキャンペーン等に取り組む民間事業者を増やすことが可能と考えられる。

第二に、区民の活動の観点から、ホームページや広報誌等で環境に配慮した生活を実践するよう啓発することが挙げられる。
必要以上のものは買わないこと、ワンウェイプラスチック削減のためにマイバック・マイボトルの利用や簡易包装製品を選択すること、食品ロス削減のために食材の使い切りや過度な鮮度志向を抑制すること、フードドライブ活動への協力を促し、ごみの発生を抑制すること等を周知することにより、区民一人ひとりの意識改革と、それに基づくライフスタイルの変革を促す必要がある。
周知する際には、外国人住民も理解できるよう多言語で表現すると共に、子どもや高齢者も分かりやすい平易な表現を心がけることが大切である。
区民誰もが環境に配慮した活動に関して正しい知識を身に付けることが、循環型社会の実現につながると期待される。

(⑥まとめ)

今後、私は特別区の職員として、循環型社会構築の必要性を区民や民間事業者に粘り強く働きかけ、豊かな環境と経済発展が持続する社会の実現に貢献したい。

 

高齢者の社会的孤立を防ぐために、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

【解答例】

(①定義)

高齢者の社会的孤立とは、家庭や地域で人とのつながりがほとんどなく、社会的に孤立した状態に陥っていることである。
高齢者単身世帯が増加している我が国において、問題は深刻になりつつある。

(②背景)

なぜ近年、社会的孤独が深刻化しているのか。
それは、高齢者を見守る地域および家族の機能が低下していることが原因であると考えられる。
価値観の多様化や個人のプライバシー保護を背景に、地域コミュニティの高齢者を見守る機能は弱まっている。
また、核家族化の進行により家族のつながりは以前より薄れている。
したがって、現代の高齢者は地域からも家族からも切り離され、孤独に苛まれている場合が多いと考えられる。

(③影響)

この問題はどのような影響をもたらすだろうか。
高齢者個人にとっては、生活の質が直接的に低下することを意味する。
社会的な生き物である人間が社会とのつながりを断ち切られれば、晩年の生きがいを失うことになるからだ。
また、地域にとっても影響は大きい。
地域に暮らす人同士の関わりが弱まることで、地域に対する愛着が薄れ、若者を中心に人口の流出が起こり、さらに地域コミュニティが衰退することになりかねない。

(④解決方針)

特別区の職員は、この問題に対してどんな取り組みを行う必要があるだろうか。
私は、高齢者の見守り機能を担っていた地域の社会的な結びつきを再生することであると考える。
なぜなら、高齢者を社会的孤独から守るためには、多くの人の協力が必要となるため行政だけで解決することは困難であり、地域住民の協力が不可欠だからである。
具体的な方策を以下に述べる。

(⑤解決策)

第一に、地域住民の交流機会を増やすことが重要である。
例えば、港区で行われている「芝の家プロジェクト」が参考になる。
これは、港区が区内の大学と協働して喫茶店を運営し、地域住民が集まるスペースを提供する取り組みである。
これにより、地域住民が交流する機会が増えるとともに、大学生と高齢者という世代を超えた交流が生まれることも期待できる。
また、豊島区では「地域貢献型空き家利活用事業」を行っている。
これは、地域に貢献したいと考える空き家のオーナーと、 NPO法人や社会福祉法人等をマッチングする事業であり、実際に空き家をブックカフェへ改修し、地域住民の交流の場として活用した事例がある。
このような取り組みは、地域の社会的な結びつきを再生することが期待されるだけではなく、空き家の発生予防にもつながる。

第二に、高齢者の地域参加を促す取り組みが重要である。
少子高齢化が進む中、地域コミュニティを活性化するためには、高齢者の役割が重要となる。
特別区内にはまだまだ元気な高齢者が多く在住しており、こうした高齢者が地域で活躍できるよう環境を整備する必要がある。
例えば、目黒区では「めぐろシニアいきいきポイント事業」を実施している。
これは、区内在住の65歳以上の方が「いきいきサポーター」として登録後、特別養護老人ホーム等で活動すると、区内の商品券と交換可能なポイントが付与される取り組みである。
こうした取り組みは、高齢者に地域活動への参加にインセンティブを与え、その後の地域イベントにも継続的に参加しやすくなる効果が期待される。

(⑥まとめ)

今後、私は特別区の職員として、積極的に地域へ飛び出し、住民との協働により地域の社会的なつながりの再生に貢献したい。

 

少子化対策について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。

【解答例】

(①定義)

少子化とは、特殊合計出生率が人口置換水準を長期間にわたって相当程度下回っている状態である。
我が国の特殊合計出生率は近年微増傾向ではあるものの、人口置換水準を大きく下回るため少子化が進行しており、全人口に占める年少者の割合は低下している。

(②背景)

少子化が深刻化しているのはなぜか。
原因の一つに価値観の多様化や若者の所得減少により、生涯未婚率の上昇と晩婚化が進んでいることが挙げられる。
また、男性の家事育児参画が進まないことや、女性が社会に進出して活躍する機会が増えたことにより、出産育児の負担感が増加していることも挙げられる。

(③影響)

少子化を放置すれば今後どんな影響をもたらすか。
一つは、社会保障への影響が考えられる。
少子化により労働力人口が減少することで、現役世代の社会保障費の負担が増え、高齢者の暮らしを支えることは困難になる。
また、地域社会に与える影響も大きい。
地域から子供が減り高齢者が増えれば、地域コミュニティの活力がなくなり、若者が地域の外に流出してしまったり、高齢者が社会的孤独に陥ってしまう可能性がある。

(④解決方針)

少子化を食い止めるため、特別区の職員はどんな取り組みを行う必要があるか。
私は、子育てしやすい環境整備が重要であると考える。
なぜなら、都市部では待機児童問題に代表されるように、若い人が子どもを生み育てることが難しい環境であるとされているからである。
具体的な方策を以下に述べる。

(⑤解決策)

第一に、保育施設と保育人材の充実を図ることである。
公共施設の一部や空き家店舗等を活用し、保育施設をさらに増やすことが求められる。
保育施設の運営には保育人材の確保も必要になるが、様々な業種で人材不足が問題となっている現在、どのように確保するべきか。
保育士の処遇改善に努めると共に、以前に保育の仕事をしていたが離職してしまった人や子育て経験者まで、担い手を幅広く集めることが考えられる。
充実した保育環境を整えることで、女性の出産への不安を解消することが期待される。

第二に、子育ての不安や悩みを解消できる場を提供することである。
核家族化が進む中、頼りにできる親類が近くにいない子育て世帯や、増加傾向にあるワーキングマザーにとって、子育てに関する不安は大きい。
公民館等の施設を活用し、地域の親子が子育ての相談や交流ができる機会を増やすことが重要である。
また、子育ての援助を希望する保護者と、それを支援したい子育て経験者や高齢者を仲介する取り組みも有用である。
こうした施策により、育児の不安や負担の減少につながると期待される。

(⑥まとめ)

今後、私は特別区の職員として、積極的に地域に飛び出し、多様化する子育て世帯のニーズの把握に努め、さらなる保育環境の整備に貢献したい。

 

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