【東京都庁】論文過去問の模範解答例を一挙公開!

模範解答例

こんにちは!

「定番テーマに王道の解答を! 公務員試験 論文解答ライブラリー」の編集長です。

このブログは、公務員採用試験の論文試験でよく出題されるテーマや、試験種ごとの論文試験の過去問について、模範解答例を紹介しています。

 

模範解答例を書いた人

編集長
編集長

旧帝大を卒業後、国家公務員として省庁で人事の仕事をしていました。

現在は退職し、公務員志望者の論文添削や面接指導などをおこなっています。

 

この記事では、東京都庁の論文試験の過去問について、模範解答例を紹介します。

模範解答例は、論文指導のプロが予備校の論文構成に準じて答案を書き、推敲を重ねた良質な答案です。

この模範解答例を読めば、答案を書くために必要な知識を効率的にインプットすることができます。

また、模範解答例をお手本にしながら自分で答案を書いてみることで、万全な論文対策が可能です。

これから受験を控える皆さんに、ぜひ活用してもらえると嬉しいです。

 

【東京都庁】論文模範解答例「2022年過去問:首都直下地震」

【東京都庁】論文テーマ

(1)別添の資料より、首都直下地震から命と財産を守るとともに、社会経済活動の麻痺による甚大な影響を回避するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。

 

【東京都庁】論文模範解答例

(1)
首都直下地震に備える上で課題は何か。
第一に、建物の耐震化・不燃化が道半ばであることだ。
これまで、都は耐震化・不燃化の取り組みを進めてきた。
しかし、資料1の通り、建物の倒壊や火災によって未だ大きな被害が想定される。
第二に、交通寸断が長期化することだ。
資料2の通り、震度5強の地震でさえ都内で交通寸断が生じたと指摘されている。
道路や鉄道が長期間にわたり機能停止すれば、救助活動や復旧活動の妨げになるだけでなく、物流が滞り企業活動が停滞し、我が国の経済に甚大な被害が及ぶ可能性がある。

(2)
以上の課題に対して、都はどのような取組を行う必要があるか。
第一に、耐震化・不燃化や出火防止の取組を一層強化し、倒れないまち・燃えないまちの実現を目指すべきである。
まず、耐震化・不燃化については、これまで耐震診断や耐震改修、木造住宅除却などの財政的支援を行ってきた。
しかし、対象建築物であるにも関わらず耐震診断を行っていない、あるいは耐震診断後に必要があっても改修を行っていない建物などがあり、計画通り進まない現状がある。
原因として、改修費用が高額になることへの懸念や、住み慣れた自宅を取り壊したくないという住民の思いがあるのだろう。
そこで、安価で信頼できる新たな耐震改修工法・装置の提案を企業に呼び掛け、都民に分かりやすく周知広報を行うことが有効である。
また、戸別訪問や専門家派遣を繰り返し行い、所有者との信頼関係を構築した上で、改修や除却の必要性を丁寧に説明する姿勢が求められよう。
次に、出火防止対策については、感震ブレーカーを普及することが極めて効果的である。
なぜなら、近年の地震火災の出火原因のうち、電気関係に起因するものが大半を占めるからだ。
したがって、木造住宅密集地域に居住する都民に対して、感震ブレーカーの配布や設置助成を行うとよい。
こうした取り組みにより、建物の倒壊や火災による被害を大幅に軽減できるだろう。

第二に、災害に強い交通インフラを構築し、交通寸断の長期化を回避するべきである。
道路や橋梁、港湾施設などの多くは高度経済成長期に整備され、今後一斉に更新時期を迎えることになる。
したがって、従来以上に緊急性や重要性を考慮した耐震補強を行うとともに、定期点検により修繕を実施することが重要だ。
このとき、道路や港湾施設の損傷個所や劣化度をAIによる画像診断技術で自動判定するシステムを活用し、予防保全型管理に努めると有効であろう。
しかし、都の取組だけでは十分とは言い切れない。
なぜなら、都内道路の9割を区市町村道が占めるからだ。
したがって、区市町村に公共インフラ管理の技術的支援や財政支援を行い、都内の面的な交通ネットワークを強化する必要がある。
たとえば、都のこれまでのノウハウをまとめたマニュアルを作成し利用を促すとともに、先進的な手法の導入に取り組む区市町村に対して補助金を支出するとよいだろう。

東京は我が国の社会経済の中心である。
都は上記の取組を通じて、高度な防災都市を築かなければならない。

 

【東京都庁】論文模範解答例「2021年過去問:ワークライフバランス」

【東京都庁】論文テーマ

(1)別添の資料より、首都直下地震から命と財産を守るとともに、社会経済活動の麻痺による甚大な影響を回避するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。

 

【東京都庁】論文模範解答例

(1)
誰もが働きやすい社会を実現する上で課題はなにか。
第一に、ワークライフバランスが保たれていないことだ。
資料1上図の通り、12年経過しても希望と現実が乖離している。
要因として、「仕事」の大幅なギャップが、「家庭」や「地域・個人の生活」との調和を阻害していることが読み取れる。
第二に、女性が働き続けられる環境が整っていないことだ。
資料1下図の通り、女性の就業率は男性に比べて10%程度低く、M字カーブも完全には解消していない。
要因として、資料2の通り、初職離職の最重要理由として結婚・子育てが上位であることが考えられる。

(2)
以上の課題に対して、都はどのような取組を行う必要があるか。
第一に、企業に対して長時間労働・長時間通勤の是正を促し、ワークライフバランスの実現を図るべきである。
まず、長時間労働の改善に取り組みたい。
具体的には、時間内労働を徹底する周知広報や、働き方改革に関するアドバイザー派遣などの取り組みを強化することが重要である。
しかし、それだけでは十分ではない。
なぜなら、都内企業の大半が中小企業であり、人手不足や低い生産性によって、長時間労働に頼らざるを得ない状況があると考えられるからだ。
したがって、中小企業の実情に合わせてきめ細やかに対応する必要がある。
たとえば、雇用のミスマッチを解消し人手不足を補うことや、ICTの導入により生産性を向上することなど、企業がワークライフバランスを推進しやすい環境を同時に整えると有効であろう。
加えて、長時間通勤を改善するため職住近接の取り組みを促す。
職場と従業員の自宅が近いことは、通勤手当の削減や非常事態への対応のしやすさなど企業にとってもメリットは大きい。
そこで、社宅や住居手当を支給する企業に対して、区市町村や不動産団体と連携し都内の住居を活用するよう協力を要請することが有用である。

第二に、女性が結婚・子育てを経ても働き続けられる環境を整えるべきである。
具体的には、経済団体と連携し女性活躍に積極的な企業の周知広報を強化する。
このとき、女性目線による企業の紹介や女性登用制度・休暇制度の情報を充実する視点が欠かせない。
一方、キャリアアップを望まない女性が増加していることに留意が必要だ。
いわゆる「ゆるキャリ」志向の女性が働きやすい企業も交えて紹介することが望ましい。
しかし、女性に対する取組だけでは不十分である。
女性が働き続けられるためには、男性が育児や家事に積極的に参加できる環境が不可欠だからだ。
現状、男性は育児休暇の取得によって給与や昇進で差別されるのではないか、とためらう場合が少なくない。
そこで、経営者や管理職に向けて、男性の育児休業に関するセミナーや研修を開催し積極的な取組を促す必要がある。
このとき、男性の育児休業制度を整備した場合、そうでない場合と比べて従業員の仕事への意欲や生産性が向上する研究結果などをアピールすると有用であろう。

今後、都内でも生産年齢人口が減少する一方、共働き世帯が増え、仕事と育児や介護の両立を望む労働者が増加すると見込まれる。
都は上記の取組を通じて、労働意欲のある全ての者が働きやすい社会を実現する必要がある。

 

【東京都庁】論文模範解答例「2020年過去問:高齢化」

【東京都庁】論文テーマ

(1)別添の資料から、高齢者が安心し、生きがいを持って暮らしていくために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。

 

【東京都庁】論文模範解答例

(1)
第一に、高齢者の外出時の障害が多く存在することだ。
高齢者が生きがいを持って暮らすためには、社会参画しやすい環境整備が重要である。
しかし、資料1の通り、高齢者人口が増加傾向にある一方、歩行や公共交通機関の利用がしにくい現状が読み取れる。
第二に、インターネット上の医療・健康情報が活用されていないことだ。
健康に関する有益な情報は、生活の安心につながる。
しかし、資料2の通り、高齢者のインターネット利用は広がりつつあるが、医療・健康情報を調べている者は約30%に留まり、調べても行動根拠にしない者が約35%に上る。

(2)
以上の課題に対して、都はどのような取組を行う必要があるか。
第一に、歩道や公共交通機関のバリアフリー化を一層推進し、高齢者が社会参画しやすい環境を整備するべきである。
まず、歩道について、多くの人が利用する公共施設や生活関連施設を結ぶ都道を優先的に、歩道の段差解消や休憩できるベンチの設置などを行う。
このとき、災害対策として無電柱化を併せて実施すると効率的であろう。
ただし、都の取組だけでは十分とは言い切れない。
なぜなら、都内道路の9割を区市町村道が占めるからだ。
したがって、区市町村と連携し、都内の面的なバリアフリー化を推進し、移動における高齢者の利便性向上を図る必要がある。
次に、公共交通機関について、都営交通を中心にバリアフリー化を推進する。
具体的には、都営地下鉄の全ての駅にホームドアを設置すること、都営バスに車内の段差を解消したフルフラットバスを導入することが重要だ。
こうしたハード整備に加えて、都営交通で働く職員に対して、駅や停留所で困っているお年寄りがいたら積極的に声を掛け、手を差し伸べる姿勢をあらためて周知徹底することが求められよう。

第二に、高齢者の情報リテラシーの向上を図り、インターネット上の有益な情報の活用を促進するべきである。
具体的には、高齢者を対象に講習会を定期的に開催することが挙げられる。
題材として、一般的に高齢者が関心を持ちそうなテーマのほか、医療や健康に関する情報を中心に扱う。
また、講師について、現役のときにIT企業に勤めていた高齢者や、日常的にインターネットの情報を生活に役立てている高齢者から募集すると有効だ。
同年代が教えることにより、インターネットに接することへの不安を払拭したり、高齢期ならではのインターネットの役立て方を共有しやすくなるだろう。
こうした取組により、高齢者の健康維持に資するとともに、インターネット上で紹介されている様々な社会活動の存在を知り、高齢者が社会参画するきっかけになると期待される。

超高齢社会を迎える中、社会でいきいきと活躍する「元気な高齢者」の重要性が増しつつある。
都は上記の取組を通じて、高齢者が安心し、生きがいを持って暮らせるよう環境を整える必要がある。

 

【東京都庁】論文模範解答例「2019年過去問:高齢化」

【東京都庁】論文テーマ

(1)別添の資料から、東京の成長に欠かせない中小企業の支援のために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。

 

【東京都庁】論文模範解答例

(1)
都内中小企業を支援する上で課題は何か。
第一に、中小企業の人材不足が深刻化していることだ。
資料1の通り、労働力人口の高齢化が進み、生産年齢人口が減少傾向にある。
加えて、大卒予定者求人数と就職希望者数の乖離は、大企業に比べて中小企業が大きく、中小企業は人材確保が困難になりつつある状況がうかがえる。
第二に、ICTの活用による利益の享受が見込めないことだ。
資料2の通り、IoTやAIの活用によって実質GDP押し上げの拡大傾向が期待できるにも関わらず、これらを既に活用している・これから活用予定の企業は1~2割に留まる。

(2)
以上の課題に対して、都はどのような取組を行う必要があるか。
第一に、中小企業の人材確保を支援し、持続的な成長を促すべきである。
まず、中小企業で働く魅力を広く発信したり、就職フェアを開催したりすることが重要だ
しかし、それだけでは十分ではない。
なぜなら、求職者は大企業志向が強い上に、あらゆる企業が人材不足のため採用活動に力を入れているからだ。
そこで、潜在的な労働力の掘り起こしを行う必要がある。
具体的には、一人親や引きこもりの若者を支援するNPOと連携し、彼らが中小企業で働きながら必要な技術や資格を取得し、正社員として定着できる取り組みを推進すると有効であろう。
このとき、行政は予算的な基礎付けを確保し、現場の活動はNPOの助けを借りるなど役割分担を行う。
さらに、学校と協力し、子ども達に工場見学や商店街散策などの機会を提供する。
これにより、地域産業への親近感が醸成され、地域の中小企業の未来を担う人材が育まれるはずだ。

第二に、中小企業のICTの活用や設備投資を支援し、経営強化を図るべきである。
今後、生産年齢人口が一層減少すると予測されている中、中小企業が生産性向上を図るためには、最適な設備投資が欠かせない。
しかし、資料2の通り、IoTを「活用すべき分野がない」「導入する予定はない」との回答が約半数に上る。
これは、最先端技術について企業が理解を深めいてないゆえの結果ではないだろうか。
したがって、都はICTの活用に消極的な企業に対して、ICTの活用方法や導入効果、先進事例などの情報提供を一層強化することが重要である。
一方、ICTの導入にはコストが掛かる。
そこで、導入コストを補助することが考えられるが、国が様々な補助金を用意しているため、これを活用したい。
都においては、節約した予算でICT導入の専門家を企業に派遣する取り組みを行うと有用である。
このとき、業務プロセスの見直しから、導入に向けた課題抽出や事業計画の策定を専門家がサポートすれば、検討を進める企業が導入に踏み出しやすくなるだろう。

中小企業は東京の産業を支える重要な基盤である。
都は上記の取組を通じて、中小企業の振興に努めなければならない。

 

【東京都庁】論文模範解答例「2018年過去問:ボランティア」

【東京都庁】論文テーマ

(1)別添の資料から、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けて、ボランティア活動への参加を促進するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。

(2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。

 

【東京都庁】論文模範解答例

(1)
ボランティア活動への参加を促進する上で課題は何か。
第一に、参加の阻害要因となる時間的制約を解消すること、第二に、参加方法などを分かりやすく周知することである。
大会成功に向けて、資料1で約6割を占めるボランティア未経験者の参加促進が欠かせない。
資料2の通り、大会のボランティアへの応募用件として、事前の研修参加と最低5日以上の活動が求められる。
しかし、資料1の通り、ボランティア活動に参加したことがない人の大半が、ボランティア活動に参加するためには時間が必要と回答している。
また、参加方法などに関する分かりやすい情報や、興味のある活動内容も必要であることが示されている。

(2)
以上の課題に対して、都はどのような取組を行う必要があるか。
第一に、就業者や大学生がボランティアに参加しやすいよう、時間的制約を解消するべきである。
大会ボランティアの主力と考えられる大学生は、授業や試験の日程次第ではボランティアへの参加が困難になる。
そこで、国や大学と連携し、授業日程を柔軟に変更した上で大学に対してボランティアへの参加を呼び掛けることが重要である。
また、就業者がボランティアに参加する場合、休暇を取得する必要がある。
しかし、ボランティア休暇制度は大企業において整備が進みつつあるものの、人手不足感の強い中小企業において整備が十分ではない現状がある。
したがって、企業のボランティア休暇制度の整備を含め、従業員のワークライフバランスの促進を一層強化する必要がある。
都は、ボランティア休暇制度助成金などの助成について周知するとともに、ワークライフバランスの先進事例や企業のメリットをまとめて冊子を作成し、各事業所に配布する。
こうした取組により、大会への貢献意欲のある企業の積極的なボランティア参加が見込めるだろう。

第二に、多様な主体に対して、大会ボランティアに関する情報発信を強化するべきである。
都は、大会ボランティアの活動内容や参加方法を、ウェブサイト「東京ボランティアナビ」上で紹介している。
しかし、この存在が未だ多くの人に認知されているとは言い難いのではないか。
そこで、「東京ボランティアナビ」の存在をアピールするポスターやリーフレットを作成し、駅や図書館などの公共施設に掲示するほか、大学や企業に配布を依頼したり、都内で開催される各種イベントで配布し、周知を徹底することが重要である。
加えて、スポーツをはじめ各分野の発信力のある団体と連携し、ボランティアの魅力や活動の意義をSNSやイベントを通じて発信し、幅広い都民にボランティア活動に対する関心を高める必要があるだろう。

大会の成功はボランティアの活躍に掛かっているとともに、レガシーとしてボランティア精神が受け継がれることが期待される。
都は上記の取組を通じて、ボランティア活動への参加を促進しなけれなばらない。

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