公務員試験【集団討論の進め方】を解説!

ハチミツちゃん

集団討論はいつも「はじめになにを話そう?」「議論をどう進めたらいいんだろう」って、悩んでしまいます。

わんこ先生

集まったメンバーによって、議論の中身は毎回ちがったものになります。

でも、評価の高い集団討論の進め方には決まりがあるんです

これを理解しておけば、なにを話したらいいか迷うことはありません。
自分がリーダーシップをとって、グループの議論をスムーズに進めていくことができます。

採点者に好印象をあたえるポイントがたくさんあるので、すべてお伝えしますね。

 

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.1「試験開始前に仲良くなる!」

試験前に待合室で説明用紙が配られると、自分と同じグループのメンバーが誰なのか分かります。
自分たちの出番まで時間があれば、メンバーに声をかけてあいさつしておきましょう

初対面のひと同士でいきなり集団討論がはじまると、みんな緊張して遠慮し合ったり、他人の意見を批判してしまったり、うまくグループで連携することができません。

討論開始前に少し言葉を交わしておくだけで初対面の緊張はほぐれ、「自分の意見は相手に受け入れてもらえる」という安心感をもつことができます。
出身地や併願先などの話で打ち解けたひとのほうが、あいづちを打ったり、笑顔で意見を聞いたりが自然にできますよね。

メンバーとなごやかにコミュニケーションをとることは、採点者からも高く評価されます

もし時間によゆうがあれば、次のステップの「役割分担」をどうするか、あらかじめ話しておくと討論の出だしがスムーズです。

仲よくなりすぎて、待合室であまり大きな声でさわがないよう注意してくださいね。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.2「役割を分担する!」

討論が開始して「よろしくお願いします」とにこやかにあいさつしたら、まずはメンバーの役割を決めましょう。
役割を分担すると、討論がスムーズに進行しやすく、グループで協調する体制ができあがるのでおすすめです

役割は一般的に「司会」「書記」「タイムキーパー」の3つがあります。

司会は討論全体の進行を担当。リーダーとちがって、優先的な発言権や決定権があるわけではありません。
書記は討論の内容を整理して書きとめ、ときおり議論の内容を振りかえるためメンバーに共有します。討論終了後に採点者にまとめを発表するばあいもあります。
タイムキーパーは次のステップで決める「時間配分」を管理し、現在の議題に使える残り時間を報告したり、次の議題にすすむように促す役割です。

役割分担の提案を自分がするときは、

  • はじめに役割を決めませんか?
  • 司会や書記、タイムキーパーがいれば討論がスムーズになりそうですね

と発言します。
討論開始直後にリーダーシップを採点者にアピールすることができますよ。

もしほかのメンバーが「自由な討論をしたいから役割は決めたくない」というのであれば、役割分担することにこだわるのは控えましょう。
試験官から役割を決めないよう指示があったばあいも、それに従います。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.3「時間配分を決める!」

役割を分担したら、次に討論の時間配分を決めましょう。
どの作業にどれだけの時間を使えるのか分かっていると、「最後のまとめの時間がなくなってしまった」「前提条件に時間をかけすぎて、かんじんの解決策の内容が薄かった」という失敗をさけることができます

討論は大きく「1.役割分担と時間配分」「2.前提条件の明確化」「3.原因分析」「4.解決策提案」「5.予備時間とまとめ」に分けられます。
それぞれの時間配分の例はこんなぐあいです。

試験時間 1.役割分担と時間配分 2.前提条件の明確化 3.原因分析 4.解決策提案 5.予備時間とまとめ
30分 2分 3分 5分 15分 5分
60分 5分 5分 10分 30分 10分

こうしてみると、試験時間が30分のばあいはそれぞれの時間がとても短いですよね。
グループの人数が6名だとすれば、自分の発言時間はぜんぶで5分ほどの計算ですから、短時間でアピールすることが大切です。

役割分担の提案を自分がするときは、

  • 計画的に議論するために、大まかな時間配分を決めませんか?
  • 前提条件の明確化や、原因分析、解決策提案、予備時間とまとめに分けてそれぞれの時間を決めましょうか

と発言します。
グループへ貢献する姿勢を採点者にアピールすることができますね。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.4「前提条件を明確にする!」

これから解説につかう集団討論の題材はこちら。

雇用のミスマッチを解消するための取り組みについて、グループとして意見をまとめなさい。
(制限時間30分、人数6名)

もしこれを読んで、いきなり各メンバーが意見を言い出したらどうなるでしょうか?

あるひとは「若者が就職してすぐに辞めてしまわないよう、行政は~をしたらいいと思う」、またあるひとは「出産後の再就職を目指す女性を支援するため、会社は~する必要があります」、そしてまた別のひとは「誰もがやりがいをもって働ける社会の実現には、働く個人が~すると効果的です」とバラバラの方向をむいて、かみ合わない議論になってしまいます。

メンバーがテーマを読んで、それぞれちがった解釈をしていることが原因です

議論をはじめる前に、テーマの前提条件をグループで明確にしておきましょう。

上のテーマなら「雇用のミスマッチとはだれに対するなにを指すのか?」「取り組みを行う主体はだれか?」を決める必要がありますよね。

もしあらかじめ時間配分を決めていなくて、明確化の提案をこれから自分がするときは、

  • テーマの認識についてグループ内でズレがないよう、共有しておきませんか?
  • 抽象的なテーマなので、対象や範囲を明確にしましょう

と発言します。
落ち着いていて、論理的な思考力があることを採点者にアピールできます。

この記事では与えられたテーマについて「雇用のミスマッチを”非正規労働者の拡大と中小企業の人材不足というミスマッチ”と定義し、その解消にむけて”行政が取りくむ施策”を提案する」と明確にして、話をすすめていきますね。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.5「原因を分析する!」

ここからいよいよ本格的な討論にはいっていきます。

具体的な解決策や取りくみを考えるまえに、まずはその問題がおこっている原因を考えてみましょう。

手あたりしだいに解決策を挙げるだけでは、説得力がありません。
はじめに原因がなにかを分析したあとに、それを解決するアイデアを提案することができれば、グループ全体の評価が高まります

もしあらかじめ時間配分を決めていなくて、原因分析の提案をこれから自分がするときは、

  • 解決策を提案するまえに、問題の原因を考える必要がありませんか?
  • 明らかになった原因に対して、効果的な解決策を挙げていきましょう

と発言します。
前提条件の明確化と同じように、落ち着いていて、論理的な思考力があることを採点者にアピールできます。

この解説のテーマについて「非正規雇用者と中小企業のミスマッチの原因は、”非正規雇用者が大企業や有名企業ばかり志望していること”である」と原因を分析して、話をすすめていきますね。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.6「解決策を提案する!」

ここが討論のメインです。

まえのステップで挙がった原因を整理し、それに対して効果的な取りくみを提案しましょう。
原因がたくさんあってすべての解決策を考えている時間がないときは、「いくつかにしぼりましょう」と提案するのがおすすめです。

解決策は「1.結論」「2.根拠」「3.具体例」の順番で、言いたいことをコンパクトにして発言します
集団討論の制限時間は短いです。まずは結論をはっきりと言いきります。
結論だけでは論理性が足りないので、結論の根拠も示します。
最後に具体的な取りくみ内容を伝えましょう。

  1. 【結論】:中小企業や福祉業界の魅力をPRすることが必要です。
  2. 【根拠】:労働者は中小企業や福祉業界について知る機会がなく、もし仕事のやりがいや待遇を知ることができれば、大企業にこだわる労働者は減少すると考えられます。
  3. 【具体例】:具体的には福祉業界の魅力を発信する就職フェアを開催することや、中小企業向けのインターンシップを推進することが効果的です。また企業が求職者を3か月間雇用し、労働環境を知ってもらった上で正規雇用契約を交わすトライアル雇用を、ハローワークと協力して充実させることも挙げられます。

解決策のステップは、採点者にもっともよく観察されます
積極的に発言して高い評価をしてもらいましょう。

ある解決策に対して反対する意見があったり、結論とする取りくみをしぼる必要があるときは、次のステップ「結論のまとめ」にいく前に議論しておく必要があります。

  • 反対の方、なにか代案はありますか?
  • たしかにデメリットはありますが、それを解消する方法はありませんか?
  • どちらの案がよいか、客観的な基準をもうけて決めませんか?

と発言すれば、リーダーシップやグループに貢献する姿勢をアピールできます。

 

公務員試験【集団討論の進め方】STEP.7「結論をまとめる!」

討論も終盤。さいごはグループの結論をまとめましょう。

まとめは書記や司会がおこなうのが一般的です。
これまでの討論のながれをていねいに振りかえります

  1. 【前提条件の明確化】:まずは与えられたテーマについて「雇用のミスマッチを”非正規労働者の拡大と中小企業の人材不足というミスマッチ”と定義し、その解消にむけて”行政が取りくむ施策”を提案する」として議論をすすめました。
  2. 【原因分析】:次に問題の原因は「非正規雇用者と中小企業のミスマッチの原因は、”非正規雇用者が大企業や有名企業ばかり志望していること”である」としました。
  3. 【解決策提案】:そして問題に対して必要な取りくみとして「中小企業や福祉業界の魅力をPRすることや、~が効果的である」と結論づけました。

「以上でまとめてよろしいですか?」「修正や付け足しはありませんか?」とメンバーの確認をとりましょう。
グループとして納得いく合意形成ができたかどうかが、集団討論では大きく評価されるからです

注意点は必ず制限時間以内に討論を終了すること。
時間前に「討論は以上です。どうもありがとうございました」とメンバーに気持ちよくあいさつして終えましょう。

じつは集団討論の進め方と小論文の構成はとてもよく似ています。

小論文の構成は下の記事を読んでみてください。

 

わんこ先生

これで公務員試験「集団討論の進め方」の解説はおしまいです。おつかれ様でした。

この記事のまとめです。

  1. 試験開始前にメンバーにあいさつして仲良くなる!
  2. 「司会」「書記」「タイムキーパー」の役割を分担する!
  3. 討論の時間配分を決める!
  4. 与えられたテーマの抽象的な部分を明確にする!
  5. 問題がおこっている原因を探る!
  6. 原因にたいする解決策を「結論」「根拠」「具体例」の3点セットで提案する!
  7. 討論を振りかえり、グループの合意を確認する!