

受験する自治体や年度によって、出題されるテーマはさまざまです。
それでも、筆記試験や面接と同じように、集団討論にも頻出テーマがあります。
よく出題されるテーマにしぼって対策しておけば、本番で少しかわった形で問われても対応できるので効率的です。
集団討論のテーマは大きく3つの型に分類されます。
それぞれの頻出問題を確認していきましょう。
目次
公務員試験「課題解決型」集団討論の頻出テーマ
課題解決型とは、「世界や日本、自治体を取りまく社会的な状況や課題について、行政はどんな取りくみを行う必要があるのか」あるいは「国や地方の行政機関があるべき姿や、必要な法整備、住民や企業との関わりはどうあるべきか」を問うテーマです。
この型で集団討論をするときのポイントは、
- 受験先はこれを問題と認識しているからこそ、出題している。「自分も同じく問題だと思っている」という姿勢をアピールすること
- 問題が生まれている背景を議論すること
- 背景に対して説得力のある対策を提案すること
課題解決型のテーマはさらに次のように分けられます。
- 【少子高齢社会/社会保障】
- 【労働/ワークライフバランス】
- 【環境問題】
- 【防災/防犯】
- 【地域活性化/観光】
- 【行政機関のあり方】
- 【法整備】
- 【住民や民間組織との関わり】
少子高齢社会/社会保障
知ってのとおり、日本は子どもが少なくお年よりが多い少子高齢社会です。
人口の減少や財政の圧迫につながる重要な社会問題のため、すべての試験種でもっとよく出題されるテーマといえます。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 男性の育児参画を推進するために必要な取り組みはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- 若者を地域に定着させるためのアイデアについて、グループとして意見をまとめなさい。
- 健康長寿な県づくりをすすめるために、行政はどのように取り組みを行う必要があるか、グループとして意見をまとめなさい。
労働/ワークライフバランス
日本人の労働時間は国際的にみて高止まりしています。
女性の社会進出もまだ十分には推進されていません。
過労死や少子化にもつながる重要なテーマなので、集団討論でも頻出です。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 雇用のミスマッチはどうしたら解消されるか、グループとして意見をまとめなさい。
- 女性が働きやすいのはどんな職場か、グループとして意見をまとめなさい。
- 残業時間を減らし有給休暇取得率を高めるにはどんな取り組みが効果的なのか、グループとして意見をまとめなさい。
環境問題
以前はとてもよく出題されていたテーマです。
近年は出題数が減少していますが、普遍的なテーマなので、もちろん今後もチェックが必要でしょう。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 地球温暖化対策をすすめるうえで、行政はどんな取り組みを行うべきか、グループとして意見をまとめなさい。
- 省エネルギー対策を実現するためのポイントはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- ゴミの回収に関する問題とその解決方法について、グループとして意見をまとめなさい。
防災/防犯
東日本大震災以降、危機管理のテーマは出題が急増しています。
近年は土砂災害や台風など大きな災害がひん発しているので、これからも出題は増加傾向が続くでしょう。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 災害時における要援護者対策について、グループとして意見をまとめなさい。
- まちの防犯機能を高める効果的な取り組みはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- 大規模な災害発生に備えてできることはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
地域活性化/観光
人口減少社会にある日本では、どの自治体も地域活性化に力をいれて取りくんでいます。
地方公務員試験で今後も安定して出題されるはずです。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 地域の文化を守り育てるにはどうするべきか、グループとして意見をまとめなさい。
- 地域の公共交通機関を守るために必要なことはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- 域外の人をこの地域でどうおもてなしするのがよいか、グループとして意見をまとめなさい。
行政機関のあり方
地方分権や財政健全化などを含むこのテーマは、国家公務員試験と地方公務員試験の区別なくよく問われます。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 将来を見据えた財源確保策について、グループで意見をまとめなさい。
- 道州制を導入するメリットやデメリットはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- 県庁に新たな部署を設けるとしたらなにがよいか、グループとして意見をまとめなさい。
法整備
規制緩和や規制強化、新たな法律づくりや現行制度の問題点などからなる法整備のテーマは、国家公務員試験や地方上級試験で頻出の分野です。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 義務教育における土曜日授業の制度化について、グループとして意見をまとめなさい。
- 臓器提供に関する意思表示はどうあるべきか、グループとして意見をまとめなさい。
- ドローン(小型無人飛行機)に関する規制はどうあるべきか、グループとして意見をまとめなさい。
市民や民間組織との関わり
厳しい財政状況のなかで市民の多様なニーズに対応するため、市民や民間組織との協働が全国的に推進されています。
市民や民間組織と直接関わることが多い市役所上/中級試験で頻出のテーマです。
派生するテーマも合わせると、このように出題されています。
- 市民とともに新たな総合計画を作成するとき、どんなことに留意するべきか、グループとして意見をまとめなさい。
- 市民からのクレームに対する適切な対応について、グループとして意見をまとめなさい。
- 民間組織との協働をスムーズにすすめるために必要なことはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
公務員試験「結論選択型」集団討論の頻出テーマ
結論選択型とは、「ある事案に対する施策がいくつか提示され、どちらの施策を支持するか」あるいは「ある事案に対する施策が1つ提示され、その是非はどちらか」を問うテーマです。
具体的な出題テーマは「課題解決型」とほとんど同じ。
課題解決型の頻出テーマについて、施策が1つまたは複数あたえられて討論がスタートするわけです。
この型で集団討論をするときのポイントは、
- 感情的にならず、相手の意見を受け止めること
- 「相手を屈服させるディベートとはちがう」と認識し、グループとして納得した結論を導くこと
- 多数決は絶対に避け、メンバーが納得できる客観的な基準を設けること
公務員試験「自由討論型」集団討論の頻出テーマ
自由討論型とは、「抽象的な問題に対して、グループとしてどのように合意形成を行うか」を問うテーマです。
課題解決型と討論のスタイルは似ていますが、「問いに対して出題者が期待する、一定の明確な正解がない」ことがちがいます。
ひとの価値観によって、答えはそれぞれということです。
頻出といえるテーマはありませんが、こんなぐあいで出題されます。
- 市の新しいマスコットキャラクターの名前を考え、グループとして意見をまとめなさい。
- もし市長になったとしたら実現したい公約はなにか、グループとして意見をまとめなさい。
- 輝ける未来のために公務員ができることはなにか、グループとして意見をまとめなさい。
この型で集団討論をするときのポイントは、
- いきなりアイデア出しをせず、まずは討論の前提を決めること
- ばらばらなアイデアをグループ分けして整理すること
- メンバーが納得できる基準を設けて、数あるアイデアのなかから結論を選ぶこと

これで「集団討論の頻出テーマ」の解説はおしまいです。おつかれ様でした。
この記事のまとめです。
- 【課題解決型と結論選択型の頻出テーマ】:「少子高齢社会/社会保障」「労働/ワークライフバランス」「環境問題」「防災/防犯」「地域活性化/観光」「行政機関のあり方」「法整備」「住民や民間組織との関わり」
- 【課題解決型のポイント】:「問題意識をもって討論する」「問題の背景を探る」「背景に対する解決策を考える」
- 【結論選択型のポイント】:「相手の意見を受け止める」「ディベートとのちがいを理解する」「客観的な基準で結論を導く」
- 【自由討論型のポイント】:「討論の前提を決める」「アイデアを整理する」「基準を設けて結論を選ぶ」
集団討論の出題テーマはたくさんあって、本番でどんなテーマが出るかまったく分からないですよね。