

筆記試験や面接とちがって、集団討論はいまいち試験の内容がつかみずらく、どんな対策をしたらいいか不安になりますよね。
最近、2次試験で集団討論を課すところが増えています。
事前にしっかりと対策したひとと、そうでないひとの差が簡単に見えてしまう試験なので、筆記試験などと同じくらい気合をいれて取り組む必要があるんです。
まずは集団討論の概要と採点基準をおさえましょう。
目次
公務員試験「集団討論」の概要!
出題する自治体はとても多く、配点も低くない
試験種ごとの出題有無
試験種ごとに集団討論がどれだけ出題されているのかをまとめました。
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
小論文の出題 | ― | ― | ― | ― | 〇 | 〇 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(法律、経済、政治/国際区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
- 【小論文の出題】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「―:近年出題がない」の3つに分類しています。
- 個人の所感をふくめて作成したものです。
地方上級や市役所上/中級では、集団討論が課される自治体が多くなってきています。
以前の筆記試験重視から、公務員の採用試験は人物重視にシフトしているからです。
そのほかの試験種では、集団討論は出題されないように思いますよね。
たしかに人事院が行う試験には登場しません。
ですが、国家公務員試験の官庁訪問や、東京都特別区の区面接では集団討論が課されるケースが増加しています。
事前の告知なくとつぜん実施されることもあるので、注意が必要です。
集団討論の配点
多くの試験で登場する集団討論。配点はどれくらいでしょうか。
試験の配点を公開している自治体を抜粋してまとめました(平成29年度受験案内より作成)。
教養試験 | 専門試験 | 小論文 | 面接/集団討論 | ||
---|---|---|---|---|---|
地方上級 | 青森県 | 1/6 | 1/6 | 1/6 | 3/6 |
宮城県 | 1/6 | 1/6 | 1/6 | 3/6 | |
埼玉県 | 1/7 | 1/7 | 1/7 | 4/7 | |
高知県 | 1/6 | 1/6 | 1/6 | 3/6 | |
佐賀県 | 1/7 | 1/7 | 1/7 | 4/7 |
面接と集団討論は一緒に記載されているので、集団討論の正確な配点はわかりません。
だいたい「面接2:集団討論1」くらいの割合でしょうか。
仮にそうだとすれば、集団討論の配点は教養試験や専門試験と同じ。
配点が低いとは決していえませんよね。
出題形式はだいたいお決まり
さまざまな試験で課される集団討論ですが、その出題形式はだいたい決まっています。
- 【制限時間】:30分~60分が標準
- 【人数】:5人~8人が標準
- 【テーマ】:1つまたは複数提示される。複数の場合は1つを選んで回答
大まかな流れはこちらのとおりです。
- 【着席】:アルファべットや数字など記号が置かれた座席に案内され、着席する。討論中はグループのメンバーを記号で呼ぶ
- 【説明】:テーマや制限時間などが書かれた用紙が配られ、進め方や注意事項について試験官から説明を受ける。「討論開始前に各自が考える時間」「役割分担」「討論終了後の発表」などの有無は、試験によってことなるため説明をしっかりと聞くこと
- 【討論開始】:グループで討論をはじめる。討論の進行や管理はすべてグループに任される
- 【討論終了】:グループとしての結論を導き、討論を終える。時間内にグループ内でまとめを行う、あるいは終了後に試験官へ発表する場合などがある
出題テーマはさまざま
出題形式は似たりよったりの集団討論ですが、テーマはいろいろなものが出題されています。
少しだけ過去のテーマをみると、このとおりです。
- 地方公共団体では今後、高齢化の進展等により財源不足が予想される。そこで、将来を見据えた財源確保策についてグループで意見をまとめなさい。(神奈川県,平成25年)
- 子どもたちの郷土を愛する気持ちを育むために、行政としてどのような取組が必要かについて、グループで意見をまとめなさい。(和歌山県,平成25年)
- 原子力発電所を再稼働することについて、グループで意見をまとめなさい。(兵庫県,平成26年)
公務員試験「集団討論」の採点基準!
多くの試験で出題されていて、配点もあなどれない集団討論。
どんな基準で採点されるのか、とても気になりますよね。
一般的には次のような4つの基準で評価されるので、順番に確認していきましょう。
POINT.1 積極性
積極性は「どれだけ積極的に議論に参加しているか」が評価されます。
積極性を発揮するためには、次のポイントを意識しましょう。
- 前向きな発言で議論に参加する姿勢を示す
- リーダーシップをとって議論を方向づける
- 投げやりにならず意見をまとめるため尽力する
POINT.2 協調性
協調性は「どれだけメンバーの情況をはあくして、協調的な対応がとれているか」が評価されます。
協調性を発揮するためには、次のポイントを意識しましょう。
- 独りよがりにならず、メンバーの意見によく耳をかたむける
- メンバーの意見を批判せず、受け入れる姿勢を示す
- メンバーの意見を引き出し、整理する
POINT.3 貢献性
貢献性は「グループとしての合意を形成するため、どれだけ役に立っているか」が評価されます。
貢献性を発揮するためには、次のポイントを意識しましょう。
- 停滞した議論を前にすすめる
- わき道にそれた議論を正しい流れにもどす
- 制限時間内にグループとして納得できる結論を導きだす
POINT.4 論理性
論理性は「発言内容がどれだけ的確で有意義なものか」が評価されます。
論理性を発揮するためには、次のポイントを意識しましょう。
- 「なんとなくそう思う」ではなく、根拠と具体例のある意見を発言する
- 施策のメリットやデメリット、期待される効果などを補足する
- 議論のヌケやモレを見つけて提起する
採点方法
採点方法としては、各項目に満点時の点数が割りふられたうえで、受験生について3段階や5段階で評価し合計点を算出するというものがあります。
集団討論は主観的な評価になりがちです。
複数の評価者が採点し、その平均を得点にする方法がよく使われます。
最後に採点例を示しますね。
受験番号 | 合計点 (満点:100) |
評価項目 | |||
---|---|---|---|---|---|
積極性 (配点:25) [1,2,3,4,5]×5 |
協調性 (配点:25) [1,2,3,4,5]×5 |
貢献性 (配点:25) [1,2,3,4,5]×5 |
論理性 (配点:25) [1,2,3,4,5]×5 |
||
001 | 65 | [4]×5=20 | [3]×5=15 | [2]×5=10 | [4]×5=20 |

これで「集団討論とは?」の解説はおしまいです。おつかれ様でした。
この記事のまとめです。
- 小論文は国家公務員試験の官庁訪問や地方公務員試験で出題されることが多く、配点もけっして低くない。
- 小論文の出題形式は決まっているが、出題テーマはさまざま。
- 小論文の評価ポイントは「積極性」「協調性」「貢献性」「論理性」の4つ
はじめは集団討論って「どんなふうに進むんだろう?」「なにを話したら評価されるのかな」と、分からないことだらけでした。