

集団討論では「司会」「書記」「タイムキーパー」という3つの役割を分担することがあります。
もちろん、司会をしたからといって不合格になることはありません。
じつは、それぞれの役割にはメリットとデメリットがあるんです。
役割を活かして高評価をもらう方法、はんたいに気をつけるポイントを説明しますね。
公務員試験【集団討論】「司会のポイント!」
司会の役割
司会は討論全体の進行を担当します。
ただしリーダーとちがって、優先的な発言権や決定権があるわけではありません。
グループのメンバーはみな平等ということを理解しておきましょう。
司会の重要な役割は、
- メンバーの意見を引き出す
- グループとして結論をまとめる
ほかのメンバーの意見をうまく引き出すことが、司会には期待されます。
発言している相手の目を見てうなずきながら話を聞き、発言の後に「なるほど、確かにそうですよね」「~がよく分からなかったのですが、どういう意味でしょうか?」と共感や疑問を投げかけましょう。
発言の機会が少ないひとに「~さんはいかがですか?」と話をふることも大切です。
まとめのステップにはいったら、議論が収束するよう導くことが司会の役割。
これまでの議論を整理したり書記にふり返りを促したりしてから、「結論に向けて議論をまとめていきましょう」「意見は大きく~と~に分けられると思います。それぞれのよいところを合わせるのはどうでしょうか?」と、まとめの発言を求めます。
司会のメリット
- 積極性やグループへの貢献をアピールできる
- 「集団討論の進め方」のとおりに議論を導くことができる
司会は自分の意見を発言するほかに、メンバーに話を振ったり、議論をすすめる発言をしたりします。
グループのなかでも発言回数は多くなるので、「積極的に議論に参加している」として高く評価されやすいんです。
ほかのメンバーの意見を引き出したり、まとめを促す役割も司会にはありますね。
「グループの合意が形成されるよう貢献している」として、これも評価につながります。
こちらの記事で、高評価される集団討論の進め方を解説しました。
司会をすると、この「集団討論の進め方」にそって実際の試験の議論を進めることができるメリットがあります。
もしほかのメンバーが司会を引き受け、これとはまったくちがう進め方を提案して残りのメンバーも賛同すればどうなるでしょう?
それでも上手くいけばいいのですが、「いきなり解決策から話し始め、議論がかみ合わなかった」「時間配分を決めず、時間内に終わらなかった」となれば、グループ全体が低い評価です。
自分が司会をすれば、「集団討論の進め方」を自然に実現できます。
司会の注意点
- 出しゃばりすぎないこと
- 議論の方向性をまちがえないこと
司会の役をするときは、長々と話しすぎたり、なんでも自分が決めたがったりしないよう注意が必要です。
司会はリーダーではありません。
独善的にふるまえば、積極性として評価されないばかりか「協調性がたりない」とマイナス評価される危険があります。
司会や場を仕切る経験がなくて、議論をまちがった方向に導いてしまうわないようにも注意しましょう。
グループ全体の議論が不調だったり、どうしようもない発言ばかりするメンバーがいたりして、満足な結論がえられなかったとしたら、司会の責任にはなりません。
「明らかに司会の進行がつたない」と判断されたばあいに、司会者はマイナス評価されます。
ただ、この点はあまり心配する必要はないでしょう。
集団討論の進め方は決まっているので、先ほど紹介した記事を読んでおけば十分に司会の役をこなせるからです。
公務員試験【集団討論】「書記のポイント!」
書記の役割
書記は討論の内容を整理して書きとめ、ときおり議論の内容をメンバーに共有します。討論終了後に採点者にまとめを発表するばあいもあります。
書記の重要な役割は、
- メンバーが頭を整理できるよう、これまでの議論をふり返る
- これから議論が必要なポイントを提案する
各メンバーの発言や議論のながれを記録しておくだけでなく、それを分かりやすくみんなに報告することが大切です。
原因分析が終わった後や解決策がたくさん挙げられたタイミングで、「いちど議論をふり返っておきませんか?」と声をかけましょう。
これまでの内容を報告するだけでなく、抜けているポイントや意見の対立点を示し、「この点についてこれから議論が必要ではないでしょうか?」と、次の議論のながれを提案することも書記の重要な役目です。
書記のメリット
- ふり返りで、グループへの貢献が高評価される
- 次の議論のポイント提案で、積極性や論理性が高評価される
書記はメンバーの意見を書きとる献身的な役割です。
タイミングをみてこれまでのふり返りをするだけで、グループへの貢献が評価されます。
少し難易度はあがりますが、ふり返りにくわえてこれから議論が必要なポイントを提案することで、積極的に議論に参加している姿勢をアピールすることができます。
議論の方向性を示すのは司会の仕事と思いがちですが、これを書記ができれば司会より高い評価をえることも可能です。
これまでのふり返りをするだけで司会に主導権を返してしまうのは、もったいないですよね。
書記の注意点
- 書きとることに集中しすぎないこと
- 発言を正しく書きとること
メンバーの発言を書きとることに集中しすぎないよう注意しましょう。
自分の発言が少なくなったり、下を向いて黙々とメモをとっていたりすると、マイナス評価をされてしまいます。
「自分は書記という役割を担当しているので、あまり発言しなくても大丈夫」というひとがいますが、役割だけで加点されることはありません。
メンバーの発言内容を正しく書きとることも忘れてはいけません。
ふり返りをしたときに、誰が聞いても「そんな発言あったかな?」「意味がよく分からない」と思われてしまっては、せっかくのアピールチャンスもむだになります。
書記は相手の目を見てうなずきながら話を聞き、発言の内容を正しく書きとって、議論の流れを整理して次の論点を提案する必要があるわけです。
かんたんな役割ではないことを覚えておきましょう。
公務員試験【集団討論】「タイムキーパーのポイント!」
タイムキーパーの役割
タイムキーパーは時間配分を管理し、現在の議題に使える残り時間を報告したり、次の議題にすすむように促します。
タイムキーパーの重要な役割は、
- 適切な時間配分を提案し、決まったとおりに議論のとちゅうで時間を報告する
- 議論のながれに応じて、時間配分を柔軟に管理する
議論の時間配分はタイムキーパーが中心となって考えます。
決まった時間のとおりに、残り時間や次の議題にすすむ提案を忘れずに行うことが最大の役割です。
試験会場には時計がないこともあります。
自分がタイムキーパーになるかもしれないので、会場に腕時計をもっていくようにしましょう。
議論がすすむと、当初の予定とは状況がことなってくるばあいがあります。
状況の変化に応じて「時間配分を変更しましょうか」と、柔軟に対応することもタイムキーパーの役目です。
タイムキーパーのメリット
- 柔軟な時間管理で、グループへの貢献が評価される
- 「集団討論の進め方」のとおりに議論を導くことができる
決められた時間配分にしたがって「そろそろ時間なので、次の議題にうつりましょう」と発言するだけでは、ざんねんながらタイムキーパーが高評価されることはありません。
議論がすすむなかで当初の時間配分が適切ではなくなったとき、柔軟に時間配分の変更を提案したり、「この点についてもう少し議論が必要なので、~分延長しましょうか?」という提案ができてはじめて、グループへ貢献する姿勢が評価されます。
タイムキーパーには司会と同じように、「集団討論の進め方」にそって実際の試験の議論を進めることができるメリットがあります。
タイムキーパーが決まったということは、その後に時間配分を決めるということです。
「集団討論の進め方」にそって必要な項目をタイムキーパーは自然に提案することができ、「タイムキーパーが言うのだから」とメンバーの賛同をえやすくなります。
タイムキーパーの注意点
- 時間の報告をぜったいに忘れないこと
- はじめに決めた時間配分にこだわりすぎないこと
タイムキーパーは決められた時間にそって報告を行うのがメインの役割なので、司会や書記にくらべればかんたんです。
そのぶん、時間の報告を忘れてしまえば大きくマイナス評価されてしまいます。
議論が白熱していたり、自分の発言が続いていたりすると、つい時間のことがあたまから抜けてしまいがち。
2,3分前からよゆうをもって時間を確認しておきましょう。
はじめに決めた時間配分は予定として、あまりこだわりすぎないことも大切です。
議論がすすむと、「原因分析をもう少し深めよう」「2つの対象について、それぞれ原因分析と解決策提案をくり返そう」など、予定外の流れになることが多くあります。
そんなとき「原因分析の時間はもう終わりです」「原因分析がすべて終わってから、解決策提案にうつることになっています」という融通のきかない発言はひかえましょう。
メリットのところで伝えたように、柔軟な対応をしてこそタイムキーパーは高く評価されます。
「では原因分析の時間を5分のばします」「まとめの時間をのぞいた残り時間を半分に分けて、2つの対象について時間を配分しますね」と対応すればスマートです。
公務員試験【集団討論】「役割がないときのポイント!」
集団討論の役割はおもに3つ。
グループの人数は6名くらいですから、半分以上のひとは役割がありません。
じつは、役割がないときにも大切な「役割」があります。
それは司会や書記、タイムキーパーのサポートをすることです。
集団討論はチーム戦なので、だれかを蹴落として自分だけ目立とうとしても合格はできません。
役割をもったほかのメンバーが困っていてもほっとくようなことは、しないようにしましょう。
司会が次に議論をどう進めたらいいか分からずにいれば、「小論文の進め方」にそった流れを提案します。
書記がメモを取るのに必死になっていたら、「書記の方はなにか意見ありますか?」と気づかうことが大切です。
「司会でもないのに勝手にメンバーに意見をふったり、議論の流れをつくっていいのかな」と悩む受験生がいます。
司会をおしのけて無理やり自分が主導権を握ろうとするのはよくありません。
ですが、司会が抜けている点をうまくサポートすることは、むしろ歓迎され大きな評価ポイントになります。
ほかのメンバーへの心づかいが、結果的に自分の評価につながることを理解しておきましょう。

これで「集団討論の役割分担」の解説はおしまいです。おつかれ様でした。
この記事のまとめです。
- 【司会】:「小論文の進め方」にそって議論を導き、積極性をアピールする。出しゃばりすぎに注意
- 【書記】:発言の内容を正しく書きとり、議論の流れを整理して次の論点を提案する。メモをとるばかりにならないよう注意
- 【タイムキーパー】:状況に合わせて時間の管理は柔軟にする。時間の報告忘れはぜったい注意。腕時計持参
「集団討論で役割、とくに司会を引き受けると落ちる」という噂がよく流れていたので、本番ではなにも担当しませんでした。