

財政学は財政制度、財政事情、財政理論に大きく分かれています。
それぞれ勉強の仕方が違うので、とまどいやすいですよね。
そして経済系科目のなかではミクロ経済学とマクロ経済学についで重要な科目です。
この記事では、
- 財政学の出題分野と形式
- 財政学の頻出分野と難易度
- 財政学の効果的な勉強方法
- 財政学のおすすめ参考書
- 財政学の試験種類ごとの勉強ポイント
をすべて解説します。
財政学を得意科目にして、本番で高得点をめざしましょう!
公務員試験「財政学」を知ろう!
まずは、財政学がどんな科目なのか見てみましょう。
それから難易度や頻出分野を確認し、大まかな勉強の方針を立てます。
どんな科目なの?
財政学のおもな分野、出題数、出題形式は次のとおりです。
「ふ~ん。そうなんだ」くらいに読み流して大丈夫ですよ。
分野は3つ
財政学は次の3つの分野に分かれています。
- 【財政制度】:予算、財政投融資、地方財政計画、公債、税制
- 【財政事情】:日本の財政、各国の財政
- 【財政理論】:租税の転嫁、財政の機能、乗数理論、公共財
【財政制度】は財政学の中心分野として、予算制度や税制度などを暗記します。
【財政事情】は前年度や近年の財政状況をあつかう、時事的な分野です。
【財政理論】はミクロ経済学とマクロ経済学の理論のうえに、財政学独自の部分をプラスして勉強します。
出題数はやや多め
専門試験で財政学はどれくらい出題されるのかというと、
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
財政学の出題数 | 5 | 5 | ― | 5 | 3 | 3 |
全体の回答数 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 |
全体の出題数 | 46 | 80 | ― | 55 | 40 | 40 |
回答必須/選択 | 必須 | 選択 | ― | 選択 | 必須 | 必須 |
受験案内 | 国総合 | 国一般 | 労基官 国税官 財務官 |
特別区 | ― | ― |
- 【国総合】:国家総合職(経済区分)
- 【国一般】:国家一般職
- 【国専門】:国家専門職(労働基準監督官、国税専門官、財務専門官)※労働基準監督官は出題なし
- 【特別区】:東京都特別区(東京都23区)※出題なし
- 【地上級】:地方上級(道府県庁、政令指定都市)
- 【市役所】:市役所上/中級(政令指定都市をのぞく市役所)
国家一般職や特別区では選択すれば5問の出題です。
地方上級や市役所上/中級では3問が必須回答。
政治学などより少し出題数が多く、主要科目の次に重要な科目に位置づけられます。
※【国家専門職】は各試験種によって経済学の出題数や必須/選択が分かれるため、ここでは割愛しています。
出題形式は3つ
問題の出題形式は大きく3通りです。
- 【文章問題】:「次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【グラフ問題】:「下図に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか?」
- 【計算問題】:「~はいくらか?」
財政制度や財政事情の分野の問題は、ほとんど文章問題として出題されます。
まれにグラフ問題もあるので注意が必要です。
財政理論からは計算問題と文章問題が出題されます。
それでは次に、財政学の頻出分野と難易度を確認してみます。
頻出分野と難易度をチェック
公務員試験の試験種別に、財政学の頻出分野と難易度を表にまとめました!
国総合 | 国一般 | 国専門 | 特別区 | 地上級 | 市役所 | |
---|---|---|---|---|---|---|
財政制度 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
財政事情 | ◎ | 〇 | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
財政理論 | △ | △ | 〇 | ◎ | △ | △ |
難易度 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
- 【頻出分野】は「◎:とてもよく出る」「〇:よく出る」「△:出る」の3つに分類しています。
- 【難易度】は「★:とても易しい」「★★:やや易しい」「★★★:標準」「★★★★:やや難しい」「★★★★★:とても難しい」の5段階で表示しています。
- 個人の所感により作成したものです。
- 国家専門職は国税専門官について記述しています。
頻出分野は?
【財政制度】は財政学の中心分野ですから、すべての試験種でもっともたくさん出題されます。
なかでも地方公務員試験では地方財政計画、国税専門官では税制度が頻出です。
【財政事情】は国家公務員試験で頻出。
東京都特別区をのぞく地方公務員試験でも、日本の財政事情はよく出ますが、各国の財政事情が問われることはまれです。
【財政理論】は東京都特別区で頻出の分野です。
国家公務員試験でも出題がありますので、要注意でしょう。
難易度は?
国家公務員試験の難易度はやや高め。
細かな知識を問う問題や、高度な処理が必要になる計算問題が出題されることもありますが、標準的な問題がベースです。
地方公務員試験は標準的な難易度です。
過去問題集に収録されている基本的な知識が、くり返し出題されています。
頻出分野と難易度の話をまとめると、
- 財政制度は頻出!
- 難易度は標準的!
勉強の方針
ここまでをふまえて、財政学の大まかな勉強方針を次のように決めましょう。
- 財政制度から勉強をはじめる!
- ミクロ経済学とマクロ経済学が終わってから対策する!
財政制度から勉強をはじめる
財政制度は財政学全体の半分以上の分量をしめている分野です。
すべての試験種で頻出の分野ですから、まずは財政制度の勉強からとりくみましょう。
ミクロ経済学とマクロ経済学が終わってから対策する
地方上級や市役所上/中級を受験するときの、おすすめ勉強順番はこちらです。
- 憲法
- 民法 or 行政法
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学
財政学のうち、「財政理論はミクロ経済学とマクロ経済学の知識を土台にしている」とお伝えしましたね。
経済学が終わった後に財政学にすすむのが効率的です。

財政学の特徴がよくわかりましたね。
それではいよいよ、公務員試験の財政学で高得点をとる勉強法を解説していきますよ。
公務員試験「財政学」が得点できる勉強法!
財政学を勉強するとき、本番直前まで心にとどめてほしいことがあります。
それをつねに意識しながら、導入テキストと過去問題集の使い方をマスターして学習していきましょう。
大切な3つのポイント
- 最重要テーマから勉強する!
- はじめは細かいことを気にしない!
- 最新のデータを確認する!
POINT.1 最重要テーマから勉強する
「財政制度から勉強しましょう」とお伝えしました。
財政制度の分野には、10以上のテーマがあります。
それぞれのテーマは財政制度の中心になるものと、そこから派生するサブ的なテーマに分かれるんです。
サブテーマを後回しにして、まずはメインの最重要テーマの学習にとりくみましょう。
くわしくは過去問演習のところで解説していきますね。
POINT.2 はじめは細かいことを気にしない
財政学の過去問題集のレジュメは、ほかの科目にくらべてページ数がたくさんあります。
テーマによっては10ページをこえるものもあり、読むだけでも一苦労です。
レジュメを1回読んだだけでは理解できませんし、その後に問題を解いても、「よく分からない」と感じてしまいがちです。
ですが、心配する必要はありません。
はじめはあまり細かいことを気にせず問題を解いて、「どのような知識がどのていどの深さで問われるのか」を体感できればいいんです。
財政制度のメインテーマを一通り学習すると、財政学の構造が理解できます。
それを土台にして、派生するテーマや財政理論の学習にとりくむとスムーズです。
POINT.3 最新のデータを確認する
財政事情の分野では、前年度の統計データから問題が出題されます。
過去問題集は必ず新しい年度に出版されるものを使うことを忘れずに。
最新版の過去問題集でも、収録されている問題の選択肢は昔のデータです。
さっと問題を読んだら、すぐに最新データをもとにした解説を参照し、昔のデータを覚えてしまわないように注意しましょう。
おすすめ参考書と使いかた
参考書選びはとても重要。
数ある参考書のなかで、おすすめはこちらです。
- 【公務員試験 新スーパー過去問ゼミ 財政学】:過去問題集
- 【公務員試験 合格の500】:総仕上げ
参考書の特徴やおすすめする理由をくわしく知りたいときは、この記事を読んでくださいね。
財政学のスー過去は、とくにレジュメがよくできています。
財政制度のメインテーマや日本の財政事情など重要なテーマのばあい、ページ数の多いレジュメのほかに、レジュメの要約版(2,3ページ)があります。
これが知識を覚えるのにとても役立ちます。
よい参考書をえらんだら、参考書を正しく使って勉強することが大切。
大まかな流れは次のとおりです。
- スー過去をくり返し解く!
- 合格の500を解く!
勉強の効果をもっとも高める参考書の使い方を、くわしく知りたいときはこの記事を読んでくださいね。
スー過去はまず財政学の基礎となる「財政制度のメインテーマ」「財政事情」からとりくみましょう。
スー過去ではメインテーマかサブテーマどちらなのか、はじめのページで分かるようになっているんです。
それを参考に取り組むテーマを決め、サブテーマや財政理論の分野は後回しにします。
1周目は解説を読んでも理解できないかもしれませんが、心配ありません。
「どのような知識がどのていどの深さで問われるのか」を体感するんでしたよね。
また財政事情の問題ではとくに、「解説の最新データを覚える」ことを忘れずに。
財政制度のメインテーマと財政事情の分野が終われば、財政学の基礎が身につきます。
それを土台にして、「そのほかのサブテーマ」「財政理論」の学習にすすみましょう。
ただし、地方公務員試験ではほとんど出題されないテーマもあります。
頻出テーマかどうかチェックすることを忘れずに。
試験種類ごとの学習ポイント
公務員試験には国家総合職や国税専門官、地方上級などたくさんの種類があります。
試験の種類ごとに、財政学の効果的な学習方法はちがうんです。
自分が志望するところの学習ポイントをおさえましょう。
国家公務員や裁判所職員、東京都庁職員、国立大学法人等職員はとくに難関の公務員試験です。
「財政学の独学はちょっと自信がない…」というひとは、公務員試験予備校の活用をかんがえてみましょう。
公務員試験予備校は、質の高い講師やテキストがそろっているのでおすすめです。

これで財政学の勉強法の解説は終わりです。おつかれ様でした。
財政学は制度の暗記、時事、計算といろいろな勉強方法が要求される科目です。
「なんとなく難しそう」というイメージがありますよね。
でも、中心となるテーマの学習を集中してすすめていけば、しだいに財政学は得点できるようになります。
公務員試験のなかではわりと重要科目ですから、気合をいれてがんばりましょう。
財政学は暗記もあれば、時事や経済学のような計算もあって、よく分からないって印象がありました。